angel observerⅡ 六神の加護

蒼上愛三(あおうえあいみ)

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オリュンポスの神々

海底魔郷神 ネプトゥヌス

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 海のさざ波が、この道の奥から聞こえてくる。海開きこそしていないが、その美しいクリアブルーの景色を一目見ようと、現地の人も観光客の人も多勢いた。
 純白のビーチで肩を寄せ合うカップルや、愛犬と水遊びをして楽しむ子供たちなど、目的は様々で、その様々な目的の1つに、私の兄姉探しも含まれているわけだが。一向に進展せずに、ただ寄せてはかえす波のように、一歩も進めずにいた。
 私は、そっと砂浜に座り込んだ。
「はあ、何やってるのかしら私」
やるべきことが、1つも果たせずにいる現状に、情け無くなる。
 午後3時頃だと思うが、人は増えていく一方だ。「んっ」と私は人々が、なぜ集まってくるのか。その原因がわかった気がする。
 海の破格の大きさの蟹が砂浜に上がって来た。体長3メートルほどの巨大な怪物。
「何っ、あの蟹」
他の人には、どうも見えていないようで、巨大な体でスルスルと、人々の間をすり抜けて、こちらにやって来た。
 私は、サッと剣の柄を掴み警戒する。
 そして、蟹は動きを止め大きい方のハサミを甲羅の後ろに回して、再び前に戻す。その時に誰か人を掴んでいた。
 砂浜に降り立った人物は、「手間をかけたな、帰っていいぜぇ」と言って、蟹のハサミに手を置くと、蟹はのそのそと海に帰って行った。
「さあて、微弱な神格を感じて出て来てみれば、何用かなお嬢ちゃん」
「あの、誰ですあなた?」
「おや、オリュンポス族の神格の波脈を感じたんだが、まあいい。我が名はネプトゥヌス。海洋神のネプトゥヌス」
 声高らかに、自分の名前を二度言う。
 はいはい、二回言わなくても聞こえてますよ。
 中年というほどではなく、若のちょっと年上のように彼は見える。しかし服装が年寄りを思わせるのでよくない。アロハだ、アロハ。下は短パン、シャツ無しアロハ。そのせいで、どこぞの南国村長のような風貌である。
 ふむ、だがネプトゥヌスということは、私の兄か。んっ、
「ええー」
私は、絶叫した。
「んっ、どうした、どうした。俺の凄さにようやく気づいたか。んっんんー」
 彼は、私の兄のようだが、何というか、鬱陶しい。色々と立ち姿を変え、ポーズをとっているが、どれもあまり格好良くない。
「えっと、とりあえず、叫んでしまってごめんなさい。私はヒルデ。ゼウスとも呼ぶ人はいるわね」
「なるほどねぇ」
 ネプトゥヌスは、案外落ち着いている。驚き絶叫した私は、何とも情けなく、恥ずかしい。
「父さんと母さんからは、男の子と聞いていたんだが、こんな可愛らしいお嬢ちゃんだったとは、まさか女装?」
「正真正銘の女よ」
「これは嬉しい限りだね。姉さんたちは、誰に似たんだか、ゴリラばっかりだからなぁ。はっはっは」
 姉さんたちには、まだあったことないけれど、この人そのうち、痛い目にあいそうね。
「それはそうと、あなたが兄さんかどうかは後にして、神だというなら、1つお願いがあるんだけど」
「ああ、何でも尋ねてくれ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 私は、これまでの出来事を、事細かく話した。その間彼は、以外と何も言わずに静かに聞いてくれた。
「・・・と言うのが今の状況なの、父さんが、クロノスがどう言う意図で、兄さんや姉さんを見つけろと言ったのかはわからないのよ」
「それは、時が来ればわかるさ。神々は、それぞれの兄弟姉妹のネットワークを構築することで、より強力な信仰力を得られる。それと同時に、信仰力の均等分配も可能になるんだ。それのおかげで、一定の信仰力の補給ができて、消滅ないし転生することはないんだよ」
 でも、私は転生した。どういう状況だったのか、当時のことを知っているものはいない。母さんは、消滅したと聞いている。なら私はいったい、
「しかし、お嬢ちゃんがゼウスだっていうのに、なんにも繋がりを感じないな」
「多分、私が一度転生しているからじゃない」
ネプトゥヌスが腕を組む。
「いやあ、さっきも言ったようにそれはない。俺たちがいりゃあ転生は起こんねぇんだから」
やはり、何かが噛み合わない。
 私は本当に神なの。翼は生えるし、聖剣も扱える。(どちらも今は無理だが)あっ、神格を抜き取られたから?
「もしかして、神格を抜き取られたからじゃない?この話する前に説明したでしょ」
「ははあん。こいつはどうも怪しくなって来やがったな」
 そう言うと、ネプトゥヌスは砂浜に何か描き出した。
 他の人には、ネプトゥヌスは見えていないらしいので、おそらく不自然に砂浜に絵か図が、浮かび上がるように見えていることだろう。
 だいぶ日も傾いて、真っ赤な太陽が水平線に浮かぶ頃、
「出来た」
とネプトゥヌスの描いたものを見ると、何かの陣のようだ。
「これで、何がわかるの」
「とりあえず、俺のねぐらに帰るのさ。これは、俺が来た時みたいに海洋生物を呼び出すための召喚陣。何が出るかはお楽しみなんだ。なっなっ、面白いだろ」
 くじ引き式なのね。タコとかイカとかは、ごめんだわ。
「我がネプトゥヌスの名において、我こそは、海。海こそは、我が魂。海底魔郷のことわりをもって、ここに告ぐ。出でよっ、我が忠勇なる獣」
「うっ」
 閃光とともに、陣は激しく脈打ち、今にも暴れ出しそうだ。その眩さに、私は思はず手をかざす。
 他の人に見られてないわよね。
 砂埃の中、巨大な影だけが目に入る。
「何っ、これ」
「これとはこいつに失礼だぜ。何を隠そう、こいつが海のギャングことシャチのレックスだ」
うん、でかい。ただただでかい。なんでこんなに大きくしたの、なんでこんなに危ない生物呼んじゃったの。
 言いたいことは、いろいろあるが、今は黙って、彼の話を聞いていよう。
「レックスは、最高時速400キロ並みの新幹線、ああ、わかるか?新幹線。メイドインジャパンのモンスターマシンの・・・」
なんか違う。彼、新幹線をわかってない。そもそも、私、日本から来たし。
 ダメだわ、私。この人といると調子が狂っちゃう。なんというか、ツッコまずにはいられない。
「アハハ、ナニソレスゴーイ」
「あっ、オメェ全然そう思ってねぇだろ」
チィッ。感のいいヤツめ。
「こいつのすごいとこは、スピードだけじゃねえ。海岸に上がってもバックできるんだぜ。便利だろ」
「どうかしら?亀とかの方が落ち着いてて、私は好きよ」
「はあー。だから女は」
「ああっ、そういう発言は良くないと思いまーす」
ネプトゥヌスの人種差別的な男性の決まり文句に、私は抗議する。
「お嬢ちゃんといると、調子が乗らねぇ」
お生憎様、私も調子が乗らないわ。
 兎にも角にも、私たちは巨大シャチのレックスの背びれ横に乗った。
 レックスは、乗りやすいように、胸ビレで背中まで押し上げてくれた。なんとも紳士だ。どっかのアロハ短パンジジィとは、比べ物にならない。
「背びれをしっかり掴んどけよ」
「わかったわ」
「それじゃあ、レックス行ってくれ」
「キュー」
 鳴き声は、可愛いのね。イルカ系の生物だし当然か。
 尻尾を左右に振って、レックスは器用に入水した。
 そう言えば、水の中で息できない。
「ねぇ、息ってどうするの」
「はぁあ、止めとくだろ普通」
そんなこと言っても、どれだけ時間がかかるかわからないし、
「すぐ着くって、安心して大船に乗ったつもりでいろ」
いや、確かに大きいけど。
 なんて、ツッコんでいると、レックスの体はみるみる沈んで行き、全身が海に沈んだ。すると、レックスはスピードを上げ一気にトップスピードまで加速する。
 その加速のせいで歯をくいしばるので精一杯の私は、唇が開き水流に揉まれる。
「アニポレー、ファアスフィー」
「ああん、なんだって」
なんだっては、こっちのセリフよ。なんで貴方は、普通に話せるわけ。
 この勢いの水流では、何も話せないのは明白である。ここは大人しく、息を保つことに集中しよう。
 正直なところ、ジャグジーの泡に顔を近づけているような勢いの、10倍の水圧が顔にかかる。普段から空中で感じている圧力よりだいぶ体力を使っている。
「そら、到着だ。なっあっという間だっただろう。サンキューなレックス」
 ネプトゥヌスは、レックスの鼻先を撫でている。その様子は、さながら調教師のようだ。
「お嬢ちゃんも礼くらい言ってやってくれ。こいつも喜ぶからよ」
 そう言われて、恐る恐るレックスの鼻先に手を伸ばすと、カプッと頭を咥えられて、ぺろっと顔を舐められた。
「きゃあ」
スポンとレックスの口から頭を出すと、
「キュー、キュー」
とレックスは鳴く。
「はっはー。よかったなーお嬢ちゃん。レックスがお嬢ちゃんのこと気に入ったようだぜ」
「あはは、それはよかったわ」
 ところでここは、どこだというのは野暮なことか。ネプトゥヌスの寝ぐらであることは、説明済みだが。
「驚いてる、驚いてる?驚くよねー普通。海の中なのに空気があって、濡れなくて、それでもやはり景色は海中で、となると結局ここは、海の中で底なんだよ」
言い回しが酷いわ。
「ようは海の中なんでしょ、もう、面倒くさい言い方しないでよね」
「はっはっは。喜んでくれて何よりだ」
はあ。先行きが不安なのだけれど、大丈夫かしら。
 傍にいたレックスの姿は既になく、ここには私とネプトゥヌスの2人だけ、
そして目の前には、どこにでもありそうな、普通の家。
「まあ、ここまで来たんだ、何か地中海料理をご馳走するぜ」
「いや、貴方がここまで連れて来たんでしょ」
「あれれ、そうだったか?まあ、いいじゃねぇか。ゆっくり話せるしよ」
確かにそうなんだけど、そうなんだけど。ああもう、ここまで来たしやれることはやって行くっきゃない。
 ネプトゥヌスが家の中に通してくれると、中もやはり普通の家。イメージとしては、アメリカなどでオーソドックスな平家といったところか。
 システムキッチン完備、大型のL字ソファにお洒落なスタンドライト。ポセイドンは、以外とお洒落さんなのかもしれない。認めたくはないが、アロハ短パンの格好は、この家では様になっている。
「まあ、座れや。久しぶりの会話なんで、俺も腕がなるぜ」
そう言って、ネプトゥヌスはグラス2つと瓶を一本持って来てソファに座った。
 注がれるそれは、透明かと思いきやグラスに入るたびに、紅く色が変わり行く。
「何これ?」
「海底の地下水とエデン産のワイン割だ。高濃度な水素が多量の酸素に触れることで上手くなる。あー、色が変わるのは、わからん」
「えー」
 持ち出した本人ですら、よく理解していないものを口にしろと。
「そんな顔すんなって、味だけは保証してやる。まあ、飲んでみな」
しぶしぶ私は少し口にする。
「あ、美味しい」
 お酒なのはお酒なのだが、後味がスッキリしていて、喉越しがいい。
「これ、アルコール入ってる?」
「いや、色が変わると同時に抜けちまう」
なるほど、さしずめ色が変わるのは、アルコールを飛ばしているわけか。
 飲み物の話は、ここまでとして私は本題を切り出す。
「それで、神格を抜き取られてまずいことって、具体的にはどういうことなの?」
「まず、お嬢ちゃんは神で間違いない。だが、その欠けた神格は、おそらくオリュンポスのネットワークだ。んでもって、お嬢ちゃんが一度転生してると言っていたが、お嬢ちゃんは転生していない」
んっ、それはおかしい。なら以前からの記憶は、男として生まれた記憶はどう説明するというのか。
「それなんだが、お嬢ちゃんもともと記憶が無かっただろう?」
「そうね。こちらの世界に来てから、記憶があやふやだった時期があったわ」
「だろうな、だって今お嬢ちゃんの心象を感じねぇ」
 ちょと待って、ネットワークもないし、心象もないどういうこと、話についていけない。
 私は、口を閉ざす。脳内が必死に答をだそうと、思考がぐるぐると頭を巡る。
「心象も抜き取られたってこと?」
「いや、心象はもともとない。お嬢ちゃんにはな」
「でも、心象は有るわ。私自分の心象に行ったことあるもの」
「じゃあ、聞くが心象に入り込んでいるときは、大抵寝てる時か?」
そう、私はよく眠っていたり、気を失ったりしているときに心象世界、アーバンデクラインにいることが多い。
 だから、私には心象があるはずなのだ。
「それは・・・、そうね」
「やはりな。お嬢ちゃん、悪いがそいつは、お嬢ちゃんの心象じゃない。誰かが上書きした仮想空間だ。だから、そもそも、転生もしていないし、ありもしねぇ記憶が上から無理くり塗りつけられてんだよ。ほら、よく草はアオイて言うだろ。なのに視覚では緑だ。しかし、その草が緑だと知らない奴がアオイと聞いて、絵を描かせたら草を本当に青くしちまうみたいなことだ」
つまり、私以外の何ものかの手によって、記憶が上書きされ、ネプトゥヌスの言う例の緑の草が、青の草にすり替えられている状態だったと言うことか。 
 そうなって来ると、誰かがやったのか、はたまた第三者に操られてやったのかは、まだわからなさそうだな。
 にしても第三者か・・・、前回の騒動も結局クロノスが主犯では無かった。父さんもといクロノスは、黒幕と思われる人物に反転させられていた。
 そして今回の出来事も必ず裏で何が蠢いているはずだ。でなければ、私が人間に捕まったり、神格を抜かれたりするはずがない。あいつは、私が神だと理解していた。
「その第三者って・・・」
「おそらく、俺たちの上位存在、ティタン一族の連中か或いは、もっと上位の存在か」
 ティタン一族、オケアノスやクロノス、テテュスにムネモシュネそれからコリオスとクリオス。彼らが俗に言うティタン一族であり、神々の力の分担体制の基礎となる存在だ。ネプトゥヌスの上位存在として、オケアノスが当てはまるのは、人間界では、有名な話かもしれない。
 しかし、オケアノスは大洋神でポセイドンは海洋神。少しばかり意味合いが違ってくるのだが、海の神であることに変わりない。
 それでも、私はネプトゥヌスの推理に疑問を持つ。なぜならば、私は彼らティタン族と協力し、彼ら自身の邪神化した、兄弟姉妹を打倒してのだから。
「私、ティタン族と一緒に、彼らの兄弟姉妹と戦ったわ。もちろん、父さんともね・・・」
「へぇー。そりゃまたご苦労さんなことで、でラスボスは誰だったんだよ」
私は少し口に出そうか迷った。だが、
「・・・邪神化したクロノス」
と控えめな声量で答えた。
 すると、ネプトゥヌスはため息を吐いて、「なんてこった」と呟いた。
「お嬢ちゃん、これは仮説だが本筋かもしれねぇ。1つだけ質問していいか」
「別にいいけど・・・」
「お嬢ちゃんの心象と言っている世界に親父がいて、そいつを打倒したら、世界が歪んで心象にそれきりは入れなくなった。違うか?」
「すごい。正解よ」
 私は、クロノスを浄化後、心象にダイブすることが叶わなくなった。オケアノスもテテュスも原因はわからないと言っていたが、ネプトゥヌスならこの問題が、どういう訳かわかってしまうかもしれない。
「お嬢ちゃん、いや妹よ。あんたの心象に上書きをしたのは、親父だ。浜辺で聞いた謎の依頼主は誰かはわかんねえが、お嬢ちゃんの心象をいじったのは、親父で間違いねぇ」
そんな、でもそれならクロノスは、何のためにわざわざ心象に手を加えたのか。謎は深まるばかりだ。
 「キュー」
 レックスの鳴き声が、玄関の方から聞こえ、私は我にかえる。
 思考がなかば強制的に停止させられてしまった。今では、何をそんなに必死に思いつめていたのか、不思議に思う。
「迎えだな。レックスには太陽が傾いたら、ここに来るように言ってあったんだ。だから、今日は一度地上に戻れ。話せて良かったぜ」
「私も話せて嬉しかった」
 そして玄関から表に出ると、また水の中。もちろん私は、息が出来ないので急いでレックスに乗っかると、
「釜料理が楽しめる店に行きな。俺からのアドバイスだ。じゃあなまた会おうぜ」
私は手だけを小さく振る。
 全く、返事さえさせてくれないなんて。
 私は、また会おうと心に決めた。まだ言えていない「ありがとう」を言うために。
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