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しおりを挟む目を覚ますと、部屋の中も外も随分暗い。
「もう夜になってたんだ」
心なしか気分も良くなってる気がする。
一日寝てれば治るような風邪だったんだ。
よかった。
部屋の電気をつけて時計を見ると、7時を過ぎている。
気分は良くなったものの、やっぱりまだフラフラする。
課長からもらったイオン水でも飲もうと立ち上がったとき
ピンポーンピンポンピンポンピンポーン!
何度も玄関のチャイムが鳴った。
パジャマに髪の毛ボサボサのスッピンだけど、着替える気力もないし宅急便くらいならこのまま出ても大丈夫か。
フラつく足でドアを開けるとそこには課長が立っていた。
「坂井、大丈夫か!?」
課長の綺麗な顔が必死の形相になっている。
「え? あ、はい…寝たらだいぶ良くなりましたから」
「今朝も連絡無かったから心配したんだぞ」
「は? 朝、連絡しましたよ」
「昨日な」
「はい!? 昨日?」
「悪いけど、勝手に上がるぞ」
「あ、ちょっ!」
そう言うと、部屋に入ってくるなり荷物を置いてワイシャツの腕を捲り上げた。
「なんも食ってないだろ。作るから待ってろ」
「いや、でも課長」
「おまえ、ずっと寝込んでてどーせ何も食べてないんだろ。顔が真っ青だぞ」
そういえばお腹空いたようにも感じるけど、時間の感覚が掴めなくてお腹空いたのかも分からない。
「とりあえず寝てろ。出来たら持っていってやるよ。台所も勝手に使わせてもらうからな」
「す、すみません…」
拒否する気力もなく、ベットで横になってキッチンに立つ課長の後ろ姿を眺めていた。
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