二次ヒーロー: 親友である女主人公が異世界に召喚され、私も一緒に異世界に引きずり込まれ「脇役勇者」にされてしまう。

冒険3：彼女の夫になる

第14章: 主人公の力

悪魔との戦いは終わりを迎えたものの、空気にはまだ緊張感が漂い、何かが起こる予感が消えることはなかった。リーダーの悪魔は倒されたが、その手下たちは依然として存在し、戦場に消えゆく闇では脅威を完全に拭い去ることはできなかった。

エミは、アレックスの力が自分の中を流れる感覚を感じながら、素早く立ち上がった。そのオーラは変化し、以前よりも強く、決意に満ちていた。彼女の魔法の光はさらに輝きを増し、その立ち姿はまるで生まれついての戦士のようだった。アリアは黙ってエミを見つめ、その変貌に驚きを隠せなかった。

「これが…主人公の力なの？」アリアはその劇的な変化に驚き、小さくつぶやいた。

アレックスは疲れ果てていたが、エミを見て穏やかにうなずいた。

「そうだよ…これが主人公であるということだ。」
アレックスはエミが確固たる自信を持って次の悪魔に立ち向かう姿を見つめながら答えた。

エミは純粋なエネルギーの光で闇を切り裂く強烈な光線を放ち、戦場を明るく照らした。その戦いぶりに、アリアは息を呑んだ。エミの魔法はこれまで見たどんな力をも凌駕しているようで、まるで限界がないかのようだった。

「すごいわ…！」アリアは思わず声を上げた。

アレックスはエミの戦いぶりを見ながら、自然と微笑んだ。彼女がその戦場を支配する様子には魅了されるものがあり、彼女の自信とスキルに目を奪われた。しかし、その一方で、彼の心の中にはある疑問が浮かんでいた。

自分にとって、これが何を意味するのだろう？

エミが主人公として示す影響は、戦場にとどまらず、予想以上に彼自身にも及んでいた。彼女との距離感、力、その眼差し――それらすべてが、求めていない運命へと彼を巻き込もうとしているようだった。

「こんな形で彼女の人生に関わることになるなんて、思いもしなかったよ…」アレックスは小声でつぶやいた。そして、慌ててその考えを振り払った。「いやいや、そんなの僕の平穏な生活には無理だ。」

彼の思案深い表情に気づいたアリアは、いたずらっぽい笑みを浮かべて近づいた。

「何か悩んでるの？」アリアは楽しげな口調で尋ねた。

アレックスは少し戸惑ったが、彼女の表情を見てため息をつきながら答えた。

「ただ…こんな風になるとは思わなかった。こんなにも近く彼女の人生に関わるなんて…。」
彼はエミを見つめながら言った。彼女は驚くべき速さで進み、悪魔たちを次々と倒していった。

アリアは眉をひそめたが、その表情にはわずかな挑発的な輝きがあった。

「心配しないで、アレックス。私は簡単には諦めないから。」
彼女は腕を組み、エミを一瞬見つめた後、再び彼に向き直った。

「そうなの？」アレックスは片眉を上げ、からかうように微笑んだ。

アリアは挑戦的な眼差しで微笑み返した。

「ええ、まだ諦めないわ。私だってあなたの主人公になりたいもの。」
彼女は決意に満ちた視線を送りながら言った。

アレックスは彼女を見つめ、首を振りながら少し真剣な表情になったが、その顔はほんのり赤く染まった。

「それなら…かなり努力しないといけないよ。」
彼は少し照れながらも、軽く笑った。

アリアは腕を組み直し、エミとアレックスを交互に見た。

「簡単じゃないけど、やり遂げるわ。エミにできるなら、私にだってできるはず。」
彼女は力強い声で言い切った。

その間も、エミは輝くエネルギーを纏いながら前進し、次々と悪魔を倒していった。彼女の魔法の光は戦場全体に広がり、まるで主人公としての光があらゆる場所に届いているようだった。アレックスの力はエミの中で流れ続け、彼女の強さをさらに引き上げていた。そして、戦場の空気そのものが彼女の影響に応じて変わっていくように感じられた。

アレックスはそんなエミの姿を見つめながら、心配を拭えないながらも、その圧倒的な存在感に感銘を受けていた。彼女は手の届かない存在のように見え、どんな状況も支配できる力を持っているかのようだった。しかし同時に、それがさらなる問題を引き起こすのではないかとも思っていた。

そして、自分自身のことも考えずにはいられなかった。この状況の中で、自分の役割とは何なのだろうか。

戦場は徐々にその闇を消し去り、静けさを取り戻しつつあった。