異母姉妹たちに虐げられ、追放された私はもふもふと幸せに生きます ~今さら私の才能に気づいた家族が戻ってきてほしいと懇願するけど、遅いです~

木嶋隆太

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第26話


 それにしても、今回は少なかったんだ。
 ……確か、女性の合格者は4人だったかな? 最後まで試験を見ていたけど、萎縮してしまってまったく動けていない人たちばかりだった。

「そういえば、ルクスさんの隣にいるワンちゃんは……なんですか?」
「誰がワンちゃんだ」
「わっ! な、なんか威嚇されてしまいました……!」

 ティルガが吠えたことで、アレアがびくっと肩を上げる。
 もう、ワンちゃんの方が通しやすいんだからそれでいいのに。
 ティルガは変なところでプライドがあるんだから。

「このワンちゃんは私のペット。一応魔物で、私の魔力でサイズを変えられるんだ」
「おい、ルクス。訂正をするんだ。我は誇り高き白虎の――」
「ちなみにこの子、顎の下を撫でられるのが好きだから。撫でてあげると喜ぶ。アレア、やってみるといい」

 私はアレアの背中を押し、ティルガの前に出す。
 アレアは一瞬びくついていたが、それでもそろそろとティルガの方に手を差し出した。

「そ、そうなんですね。し、失礼しますワンちゃん……!」
「だからオレはワンちゃんではなく……う、うう……こ、こやつ撫でるのが……上手……!」

 ティルガはすっかり気持ちよさそうな声を上げ、アレアに顎の下を撫でられている。
 良かった。和解できたようだ。

「も、もふもふです……。な、なんですかこの子! 滅茶苦茶毛並みいいですね!」
「うん、それだけが自慢」
「他にも自慢はあるぞ! 牙だって鋭くたくましいのだからな! あっ……撫でるな……っ!」

 ティルガは吠えていたがすぐに撫でられて大人しくなった。
 しばらく撫でまわした後、私たちは宮廷を歩いていく。
 案内の看板が置かれているので、迷子になることはない。

 『新入精霊術師はこちら』、と書かれた看板に従って進んでいく。
 やがて、私たち以外の精霊術師たちの姿も見えてきた。
 すでに列ができていて、恐らく合格者と思われる人々が並んでいる。

「わわわ! ち、ちちち遅刻しちゃいました……!?」
「そんなことはない」

 まだ三十分ほど前のはずだ。こちらに気付いた精霊術師たちは、私たちに一瞥だけを返したが、すぐに顔を前に戻した。

 男性2人、女5人だ。

 私たちもそちらへと向かったところで、前のほうに待機していた男性が立ち上がった。
 胸にかかれた数字は、1番だ。第一師団の人だろう。

 よく見ると、その数字は金色で書かれていた。
 私やアレアたちのバッジは銅色。
 ファイランのは確か銀色だった。そして、ベールド様のは金。

 ……もしかしたら、各師団長たちは金色なのかもしれない。
 そして副師団長が銀色とか……?
 そちらをじっと見ていると、ぞろぞろと人がやってきた。各師団長なのだろう。

 それぞれ、個性的な服装で現れた。
 ベールド様がその中ではもっとも落ち着いた服装をしていた。
 そんなベールド様は、私の前に立つとにこりと微笑んできた。
 あの裏で一体何を企んでいるのやら。

 そんな彼らとは別に一人の女性がやってきた。
 胸には零と書かれたバッジがついている。それも金色で書かれていた。
 彼女をみた瞬間、ベールド様たちの師団長たちが揃って頭を下げた。
 それを見た女性は満足そうに一度頷いたところで改めてこちらを見て来た。

「これより、入団式を行う!」

 あの零の女性がもっともこの中で偉いのだろうことは、彼らの様子を見れば一目瞭然だ。
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