異母姉妹たちに虐げられ、追放された私はもふもふと幸せに生きます ~今さら私の才能に気づいた家族が戻ってきてほしいと懇願するけど、遅いです~

木嶋隆太

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第41話



「生意気なのよあんたたち。まだ、20にもなってないんでしょ? なのに、なんで宮廷精霊術師になんかなってんのよ?」
「ほんと。マジありえない」

 向かいの二人が苛立った様子でそんなことを言っている。
 そっか。向こうの二人が怒っていたのはただたんに嫉妬していたからなんだ。
 でも、そんなこと口に出したら火に油を注ぐようなもの。

「はぁ!?  そっちが落ちこぼれなだけでしょうが! 勝手に嫉妬してんじゃないわよ!」

 本当に喧嘩が得意なんだねラツィ。
 ラツィが目を吊り上げ、二人を睨みつける。そんなことを言ったものだから、向かいの二人も厳しい声を上げる。

「うるさいわね! 私たち、先輩なんだけど? 口の利き方知らないの?」
「関係ないわよ。実力こそすべての世界なのよ? あんたとあたしたちは、同期なんだから! こんな若いあたしたちとね!」
「ああ、イライラするわね! 本当、学もないただの平民なんでしょ? そんなのが宮廷精霊術師になれるなんておかしな時代よね!」
「いい時代じゃない! 才能ある若い子が宮廷にいくらでも入れるんだから!」
「はあ!? 誰がババアよ!」
「そこまで言ってないわよババア!」
「今言ったじゃない! ぶっ飛ばすわよ!」
「やれるもんならやってみなさいよ!」

 ラツィと向かいの二人が睨みあう。
 隣に座っていたアレアが私の肩を掴んで揺らしてくる。やめて、酔っちゃう。

「と、ととと止めたほうがいいんじゃないですか!?」
「やりたいならやらせたほうがお互いいいかも」
「そんな!?」
「喧嘩で芽生える友情もある」
「そ、そうなんですか!?」
「こともある」
「芽生えなかったらどうするんですか!?」
「お互い傷だらけ?」
「任務前なんですよ!?」
「うるさいわよあんたたち!」

 苛立った様子で向かいの女性が叫んできた。
 私はぺこりと頭を下げると、女性はガシガシと頭をかいて、席に座りなおした。

「ああ、もう……! いらつくわね! 言っておくけど、町についてからは別行動よ」
「はぁ? どういう意味よ?」
「私たちは私たちで行動するから。こっちの邪魔すんじゃないわよってこと! もちろん、私たちが事件を解決したら私たちだけの手柄だから?」
「ふんっ! あたしたちに勝てると思ってるの!? ねえ、ルクス、アレア!」
「頑張って」
「うん頑張る! じゃない! あんたも一緒に頑張るの!」

 なぜか私たちのチームが結成されてしまったらしい。

「そ、そんな……みんなで仲良く――」
「アレア、甘いわよ! これはピチピチ対ババアの勝負よ!」

 アレアがそういうと、向こう二人が掴みかかってきた。

「さっきからうるさいのよ! 誰がババアよ! まだ24歳よ、私たちは!」
「うるさい! 先にそっちが年齢で喧嘩吹っ掛けてきたんでしょうが!」
「黙れチビ! 何もかもちっちゃいのよ! ガキと間違えるような見た目しやがって!」
「ムキー! だ、れ、が! チビよ!」

 再び顔を突き合わせるように睨み合う両者。

「と、止めないと大変なことになっちゃいますよ!」
「……確かにこれはまずいかも」
「る、ルクスさん! よ、よし! 止めますよ!」

 アレアにこくりと頷き、私は二人に声をかけた。

「うん、二人とも。馬車を壊さない程度の喧嘩にしておいてね」
「そんなやんわりとじゃないですよ! もっとちゃんと止めましょうよ!」

 一応どっちも宮廷精霊術師になったくらいなんだし、そのくらいの常識はあるんじゃない?
 
 結局両者は口喧嘩程度でとどまり、私たちは無事フィロッソに到着した。
 
 旅自体は一日半ほどかかり、到着したのは夜の時間だった。
 旅の疲労は僅かにあったが、宮廷精霊術師としてすぐに仕事へと移る必要がある。
 これは中々大変かもしれない。

「ティルガ、微精霊たち。街の調査をお願いね」
『あいー! わかったよ!』
「……ああ。そして、ルクス。一つ報告がある」
「……なに?」

 私は他の人たちに聞かれないように小さな声で問いかける。

「魔人がこの街にいるのは確実だ。感じるぞ、気配が」
「……うん、分かった」

 魔人、か。
 これ以上被害を出さないように頑張ろう。
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