異母姉妹たちに虐げられ、追放された私はもふもふと幸せに生きます ~今さら私の才能に気づいた家族が戻ってきてほしいと懇願するけど、遅いです~

木嶋隆太

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第42話




 街を移動し、私たちは騎士団の詰め所に到着した。
 一室へと案内された私たちは机に置かれた地図を囲むように立った。
 遅れてこの街の管理をしているという騎士長がやってきて、私たちに事件の状況について話し始めた。

「こちらで一ヵ月ほど調査を行いました。……ただ、敵の尻尾はつかめていません。どういった魔法を使っているのか分かりませんが、姿も確認できず……。子どもが狙われることが多いため、今は孤児院の警備を強化しています」

 騎士は孤児院の場所を示すように、地図に書かれた丸を指さした。

「孤児院が主に狙われていて、最近ではそちらに人を配置したことで……被害自体は減っていますが、そうなると今度は個人の子どもが狙われている状況です。夜間の巡回等を増やしましたが……最近ではその騎士や精霊術師までも犠牲になってしまっています」

 子どもを狙っての計画的な犯行。
 そして、騎士や精霊術師を退けるほどの力も持ってるってこと、かぁ。

「なるほど、分かりました」

 答えたのは新人の二人だった。二人の名前は途中で聞いたが、パーニュとスティーナというらしい。
 パーニュもスティーナもどちらも好戦的な性格をしているが、スティーナの方が25歳、パーニュが24歳ということでスティーナの方が偉ぶることが多い。
 ラツィとよく喧嘩するのも、スティーナだ。
 そのスティーナが、騎士に対して微笑みかけている。
 彼女の微笑は、馬車にいた時とはまるで別人。
 人ってここまで変わることができるんだ、と驚いてしまう。
 
「それでは、私たちはこれより孤児院の様子を見に行こうと思います」

 まさに二重人格。そう思ったところで、

「まるで、二重人格ね……」

 ぼそり、とラツィが呟いた。
 ラツィはもうちょっと思ったことを口に出さない努力をした方がいいと思う。
 スティーナの眉間がぴくりと揺れ、ひくひくと頬を引きつらせている。
 騎士は気づいていないようで、スティーナの宣言に安堵の息を漏らしている。
 スティーナも、さすがに自覚はあるようでここで喧嘩を吹っ掛けてくることはしない。
 スティーナの発言の通り、私たちは騎士の詰め所を後にして孤児院へと移動した。



 孤児院に到着した私が真っ先に観察したのは外観だった。
 子どもが何度か襲われていると聞いたが、特に建物自体が傷つけられているということはないようだ。
 私たちを出迎えてくれた孤児院の院長は、あまり元気のない様子で視線を落としている。
 それから、状況についてを教えてくれた。

「……週に一度程度、子どもが誘拐されていってしまうんです。犯人の姿を見たものはいません。一緒の部屋で眠った子どもも、そして騎士たちも一緒に行動してくれていたのですが……それでも、ふとどこかで突然消えてしまうんです」

 ……だから、消息不明。
 一体何が原因なんだろうか?
 スティーナが顎に手をやる。

「時間帯とか、例えば曜日とかに規則性はありますか?」
「……特に、これといってありませんね。今のところは週のどこかで一人……といった感じです、現在この孤児院の被害は五名になっています。今週、初めて二名も消えてしまって……」

 だから、宮廷に依頼だが出されたんだろう。
 院長は唇をぎゅっと噛み、涙をこらえているようだった。
 スティーナは院長をじっと見ながら、問いかける。

「そうなんですね……。子どもの年齢とかは分かりますか?」
「それは――」

 それから、院長から色々と情報を聞いていったけど、少なくとも話を聞く限り何も共通点などはなさそうだった。
 男も、女も、子どもと考えられる12歳以下の子たちは皆消息不明となっているそうだ。
 
 被害は孤児院だけじゃない。
 ……相手が何か特別な魔法を使っているのは確かだ。

 スラムの子は、そもそも街としてどれだけ子どもがいるかを把握していないため、正確にどの程度消えているかも分からない。
 スティーナがそれからも色々と質問を投げかけていたが、あまり犯人に繋がる情報は出てこなかった。
 今の情報だけで、犯人の断定は難しい……かな。
 一通り情報を聞いたところで、スティーナが私たちを睨んできた。

「二手に分かれるわよ。私たちは、街の巡回に行くわ。あんたらは、この孤児院の調査でもしていてちょうだい」
「ちょっと! なに勝手に決めてるのよ!」
 
 スティーナは一方的にそう言って、さっさとパーニュを連れていってしまった。
 ラツィが目を鋭く尖らせたが、それも無意味に終わる。

「ま、まあまあ。今日は孤児院の情報でも集めていましょうよ」
「……でも、直接犯人探しに行った方が捕まえられる確率高いでしょ!? あいつらー!」

 ラツィがきっとスティーナたちが去っていった方を見ていると、アレアがじとっとした目をラツィに向けた。
 これまでとは違った凄みを持っていたアレアに、ラツィが怯んでいる。私も。

「勝負じゃないですよ!」
「ひっ!?」
「被害を出さないことが大事なんです! 勝負とか考えないで、子どもたちを守ることを考えるんです! ほら、まずは孤児院を見ていきますよ!」
「は、はい!」

 ……うん、アレアの言う通り。
 ラツィの言い分も分からないじゃないけど、今は被害を出さないことが先決だ。
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