悪役貴族に転生した俺が鬱展開なシナリオをぶっ壊したら、ヒロインたちの様子がおかしいです

木嶋隆太

文字の大きさ
7 / 58

第7話

しおりを挟む



 女神様との通信制限が解除される条件はよくわからない。月一とかではないようだ。
 もしかして、料金未払いなんじゃないの?と疑うこともあったが、さすがにそれはないとのこと。

「バカにしないでください」と女神様がぷんぷんしていたが、これまでありえないミスをしていたのだ。疑われるようなことをしている女神様が悪い。

 さて、ひとまずの目標は強くなること。気持ちを引き締め、心の中で決意を固めた。

 勇者である妹が魔王軍に命を狙われるようになるまでに、なんとしても物語をクリアさせなければならない。妹の無事を守るため、俺はこの世界で戦う覚悟を決めた。

 原作主人公が達成した魔族との共存した世界を作り上げれば、妹が狙われるということもなくなるはずだ。少なくとも、原作のような酷い環境での生活を送る必要はないと思う。希望の光が見えた気がした。

 順調にいけば、なんとかなるだろう。世界の歴史を変えると何がおこるか分からない、と言われるがそんなもの知らん。俺の存在が既にイレギュラーだからだ。

 もう俺という存在がいる時点で、イレギュラーは発生しているわけで、どこでどんな問題が発生するかなんて分からないだろう。

 とりあえず、俺はまず原作のストーリーを大雑把に思い出していく。記憶の中にある断片を繋ぎ合わせながら、これからの計画を練った。

 【ドラゴニックファンタジー】はかなり暗い世界観だ。内容としては、王道な魔王VS勇者。ただ、世界のすべてが魔王たちに支配されていて、人間たちは魔王とその手下である魔族たちの家畜として生かされているだけの存在だ。

 魔王や魔族たちは人々の負の感情がエネルギーになるため、時々魔界から人間界にやってきては、人間たちに理不尽な行いをしていく。だから、人々はいつ襲われるかわからない恐怖が常に付きまとっていた。

 ……例えば、剣士を目指す少年の腕をもいだり、サッカーが好きな子の足をもいだり……とか。胸が締め付けられるような光景が、俺の脳裏に浮かんで消えない。

 とにかく、胸糞悪い最悪な行為を行う奴らだ。もちろん、それらとは違って人間を対等に見ているのもいるし、実際ゲーム本編でもそういった優しい魔族の存在もいるからこそ、勇者は魔族との共存の道を選ぶようになる。

 とにかく、全体的に暗いストーリーなので、俺はこの世界に転生するのが嫌だった。理不尽な運命に抗うのは大変だからだ。一般人だとしても、恐らくおちおち生活もできたものじゃないだろうしな。

 そんな理不尽な魔族たちに絶望していた人間たちだが、それでも希望はあった。

 それが、勇者の存在だ。勇者が生まれることは分かっていたため、人間たちはその勇者を待ち続けていた。
 もちろん魔王たちは自分の命を守るため、勇者を殺すために躍起となり数多の命が奪われていく。

 ……そして、俺の父もまた、魔王によって殺される一人だ。それもまた、酷いものだ。
 父が魔王によって殺されるのは俺が十五歳の誕生日を迎える時だ。魔王がフォータス家の屋敷へとやってきて、父と対面。そして、息子に絶望を与えるために、と父の四肢をもいでいく。

 父は絶望していたが、息子に自分の意思を託すことに成功した、と思っていたのだが、そこでルーベストくんは父の目の前で魔王と仲良く肩を組み、これまでにやっていた奴隷の購入などの悪事を伝えていく。

 それを見て、父は絶望の淵に陥り、完全に壊れ、息子が魔族側についたことに、母もまた精神崩壊となり、魔王にとって美味しい餌となるわけだ。

 魔王軍に忠誠を誓ったルーベストの覇道はまだまだ終わらない。匿った勇者たちを魔王軍に引き渡すという、魔王軍からはファインプレーのようなことをやってのける。狡猾な計略、お見事さんという感じだ。

 女神様は、何を見てゲームで活躍した貴族だと思っているのだろうか?
 確かに中盤の出番は多かったが、だからといってそれは決して褒められるものではない。むしろ、全プレイヤーによって憎むべき敵として恨まれていた。

 これでゲームで活躍した、と思っていたのなら俺とは感覚がズレている。女神様の無能さに呆れるばかりだ。

 おまけに散々利用されたルーベストは、勇者たちに殺されかけて魔王様のところに逃げ込むのだが、あっけなく魔王によって殺される。そして、自我を残したまま、体だけが操られて動かされるおもちゃのゾンビとなり、勇者たちの前に立ちはだかるが、まあそんなに強くはなかった。

 ルーベストくんの物語はこれでおしまいだが、勇者はそこから能力を覚醒させ、友好的な魔王たちと同盟を結ぶ……あるいは討伐し、最後の大魔王と戦い、世界を平和へと導くことに成功する。

 とまあ、それが俺の原作での役目。そして、この世界自体が生きるのが大変だということにも繋がる。
 ……ここに至るまでに、かなりのキャラクターが死ぬわけで、それを妹に体験させたくはないので俺が原作開始前にクリアしておく必要があるということだ。

 とりあえず、今日からやるべきことは自分の能力を鍛えていくことだ。
 ……もう、こうなってしまった以上は仕方ない。
 気持ちを新たに、前を向くしかないな。
 ステータス画面はないのだが、今の俺は【ファイナルクエスト】でいうレベル1の状態だ。

 この時点でも俺はかなり戦えるはずだ。

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...