16 / 63
16
しおりを挟むようやく、オークとかと戦っても問題ないくらいのレベルになったのではないだろうか?
少なくとも、この周囲にいる魔物相手だと苦戦することはないな。
まあ、レベルだけじゃなくて称号や装備の関係もあるのかもしれないな。
一度、トイレにも行きたくなってきたので、俺は一度ゲームからログアウトを行った。
軽く背中を伸ばし、階段を降りていく。ガチ勢たちはトイレの時間も惜しむほどにゲームをしているのかもしれないが、俺はあくまでエンジョイ勢。
トイレから出るとちょうど階段を駆け降りる音が聞こえてきた。
天使だ。ではなく、舞だ。
「あっ、兄貴ー。兄貴もトイレタイム?」
「そんなところだ。そっちはまだ配信してるのか?」
「うん、やってるよ。あっ、今ちょっと休憩挟んでるから、兄貴ちょっと待ってて!」
舞がそう言ったので、俺は階段付近で休んでるとトイレと手洗いを終えた舞が戻ってきた。
「どうしたんだ?」
「いや、情報共有しようと思ってさ。兄貴は今どんなか感じかなっておもって! あたしたち、結構いい感じにレベル上げも出きてるんだよね!」
ドヤ顔とともに胸を張る舞はまさに天使だ。
「おお、さすが舞だな!」
やはり俺の義妹は天才だな……。
「へへ。今レベル9なんだよ。トップの攻略組と同じペースでレベル上げられてるからすごいっしょ」
「……え? 今はレベル9がトップなのか?」
「うん!」
笑顔で頷いた舞に、俺は少し悩む。
……あれ? 俺のレベルいくつだっけ? 16じゃなかったっけ?
もしかして、俺かなり進んでる? 個人的にはエンジョイ勢のつもりだったが、なんか攻略組みたいなハイペースじゃない?
あっ、ソロで狩りしてるからか? こういったゲームだと経験値が分配されるだろうしな。
俺が驚いて黙っているのだと思ったのか、舞が口を開いた。
「あっ、あたしたちって『ディメンション』の攻略担当だからね。ちょっとばかりガチでやってるけど、でも一緒にやるときとかは気にしなくていいからね兄貴!」
「そうか……」
「ちなみに兄貴はレベルいくつなの? パーティーとかは組んでるの?」
舞にどう答えようか迷う。
それから、少し迷ったが……俺は真実を伝えることにした。
「聞いて驚け。俺はレベル16だ」
だって、舞に褒めてほしいし!
「え!? ほんと!?」
「ああ。ほんとだ。ちなみにソロでやっててな。ずっと東の村を拠点に戦ってたんだよ」
「……え? 東って……あそこに最初から行ってたの!? あそこの難易度やばいって噂だよ?」
驚きながらも目を輝かせている舞。それはまるで自慢の兄に注ぐ視線のようで、俺は優越感があった。
これからも、舞に尊敬の目を向けられるよう、攻略組並みに頑張っていくしかねぇなこれは!
「そうでもないぞ? 出てくるモンスターはナイフモンキーっていう魔物だけでな。群れで動くけど、動きは単調だし、慣れてくれば余裕余裕」
「そうなんだ……。あっ、お兄ちゃん! 戦闘動画とかない!? ちょっとみたいんだけど!」
「おお、いいぞぉ。最初にカメラオンにしてたから映ってるはずだ」
ぴょんぴょん俺の背後をついてくる舞が非常に可愛い。
部屋に戻った俺は、VRマシンが接続されているパソコンを確認する。
容量はまだまだ全然余裕であるな。そちらに現在まで録画されている動画を開き、舞がみたいという場所を見ていく。
俺が東の森でナイフモンキーと戦っている映像だ。
すでにその時にはモンキーナイフを一本手に入れているので、だいぶ狩りやすくなったときだな。
今回見ているのは俺の背後から映した三人称視点のものだ。
四体のナイフモンキーがこちらに襲いかかってくるが、俺はそれをすべて紙一重でかわしながら短剣を振り抜いている。
背後からの奇襲も、一目も向けずにかわして捌いている姿を、舞は目をキラキラとさせながら見ていた。
「あ、兄貴……す、すっげぇ! すっごいよ! この戦闘動画、めちゃくちゃかっこいいよ! でもなんでこんなひょっとこの仮面なの?」
カメラで見て気づいたが、俺は仮面をつけてたんだな。
視界が妨げられることがなかったので、まったく気づかなかった。
「顔隠すのにちょうどいいと思ってな。ほら、なんか体いじるとうまく使えないとか書いてあったから……」
「……え? じゃあ、今のまんまの顔でやってるの!? あれって、別に顔はいじっても大丈夫だよ?」
「え? マジか……」
「あ、兄貴そんなにおちこまないで……」
背中を撫でてもらった。お兄ちゃん、元気一杯。
59
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる