HP2のタンク ~最弱のハズレ職業【暗黒騎士】など不要と、追放された俺はタイムリープによって得た知識で無双する~

木嶋隆太

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 ゴブリンを三体ほど倒したところで、レベルが上がった。
 魔物を倒すと経験値が入るのだが、一人で狩った方がレベルは上がりやすいそうだ。

 レベルが2になったことで、各ステータスが上がり、スキルポイントが1ポイントもらえた。
 これを職業スキルに割り振ることで、一定レベルに到達したときに職業に関連したスキルが獲得できる。

 このスキルポイントは振りなおしができない。
 どれに振るかどうかで今後にかなりの影響が出てくるのだ。

 俺が持っているスキルは三つ。
 【暗黒騎士】【暗黒魔法】【暗黒騎士強化】だ。
 俺は前世に目に穴が空くほどに読んだ暗黒騎士に関するいくつもの本を思い出す。
 外れ職業と言われても、いつか芽が出るようにとそういった不人気職業を獲得してしまった人はわりと

 まあ、本自体はそれなりに貴重なものだ。そんな外れ職業を手に入れてしまった人がわざわざ本を購入して読めるほどの余裕はないというのが残念な話なんだけど。

 本などの知識から俺は自分のスキル振りについてはある程度考えていた。

 基本は【暗黒騎士】を上げていくのがいいだろう。
 【暗黒騎士】はソロで活動するなら、必須ともいえるスキルが多く手に入る。

 暗黒騎士は攻撃が得意なタンクというのが特徴なため、タンクとして立ち回りたい場合は【暗黒騎士強化】を上げる必要がある。

 ただ、【暗黒騎士強化】はもちろん良いスキルもあるのだが、そればかりを上げても駄目なので難しい。
 【暗黒騎士強化】は、レベル5で一応【誘い】という挑発スキルを獲得できるため、仲間と活動するようになってから上げていけばいいだろう。

 【暗黒魔法】はネクロマンサーのようなスキルを獲得できる。一時的に死霊を召喚し、自分とともに戦ってもらうとかだ。
 こちらも便利なスキルは多いのだが、召喚した死霊はスキルレベルと自身のステータスに比例しての能力になる。最優先で上げるべきスキルではない。

 ひとまずは、すぐに攻撃スキルが手に入る【暗黒騎士】をレベル1にして、新たな攻撃スキル【ブラッドスイング】を獲得した。
 これは、HPを消費して強力な一撃を放つことができるスキルだ。

 早速、ゴブリンに使用してみようか。
 現れたゴブリンと向かい合い、攻撃を誘ってから距離を詰める。
 そして、【ブラッドスイング】を放つ。

 振りぬいた一撃が黒い光を放ち、ゴブリンの体に直撃した。
 ゴブリンは吹き飛び、そのまま霧のように消滅した。
 ……さすがに素晴らしい威力だな。

 このスキルが強いことは前世でも知っていた。この時は俺もやれるんじゃないかと思っていたものだ。
 まあ、【根性】がないと敵の攻撃が激しくなるランクの高い迷宮では無理だったけど。

 【ブラッドスイング】はHPを消費するスキルなので、俺は自分のステータスを確認する。

 HPは2から1に減っている。ちなみに、HPを1の時に使ってもスキルは不発に終わる。
 ただ、HPを1でも消費すればスキルとして機能してくれるので、ぶっちゃけかなり効率の良い攻撃スキルだ。

 HP自体は自然回復もしてくれるしな。だいたい一分ほどかかるけど。
 多少効率が良くなったところで、再びゴブリン狩りを行っていった。


 それから休みを挟みながら夕方近くまでゴブリンを狩り続けた俺は、レベル6まで上がった。


 
 帰り道。ゴブリンが二体現れ、俺の行く手を阻んだ。
 もうさっさとギルドに帰りたかったというのに。
 多少の不満があったせいか、多少動きが雑になっていた。

 俺は左腕にゴブリンの棍棒を受けた。

「いってぇ……っ!」

 痛みが左腕に広がる。
 慌てて俺は自分のステータス画面を開いた。
 攻撃をくらったのは初めてだ。そして、先ほどの攻撃ならばまず間違いなくHPは0になるはずだ。
 しかし、しかしだ!

 HPは1になっていた。

 【根性】が、発動した。
 俺の机上の空論は実現した。
 嬉しさがこみ上げてくるが、今は気持ちに身を任せている場合ではない。

 目の前のゴブリンに集中しないとな。
 疲れが出てきたからって、そんなの言い訳にはできない。

 改めてゴブリンへと視線を向け、剣を構える。
 HPが0になっても死ぬということはないが、ステータスの恩恵を受けられなくなってしまうのだ。
 スキルは使えないし、高い身体能力もなくなる。

 Gランク迷宮ならばなんとかなるかもしれないが、高ランクの迷宮でステータスがなければだいたいの人は死んでしまう。
 ゴブリンの攻撃をかわし、まずは一体を確実に仕留めた。
 
 その間にHPも回復し、スキルが使用できるようになった。
 【ブラッドスイング】を放ち、ゴブリンの頭をかちわってやった。

「よし、こんなところか」

 魔石を回収しながら、俺は額に浮かんだ汗を拭った。
 
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