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第二章 自立
第10話 イベリア歴620年 おもい
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アン吉のヤツ……おもー……(重い)。
「実はここに来たのは、理由があります。私は首都パンプローナの南部地区に店舗兼住宅を構えて二十年になります。町から出る事はここ数年なく、前回の出張が二年ぶり、二回目になります。……実は、ここに来る前日の深夜、夢で神からお告げがあったのです」
アントニオは胸の前で手を組み、うっとりと祈るポーズをとった。
「ニャンコか!」
「ニャンコ? ……あの神々しい姿と、包み込む様な優しい声……。オー……女神様……私は貴方の僕(しもべ)です……。今でも私の記憶にしっかりと刻まれ……」
「あのさ~……本題にいってちょうだい~……」
「コホン。失礼。女神様は、『信心深い我が子らよ、ここに向かいイザベルの仕事を手伝いなさい。イザベルを支援する事で多大な恩恵を受けるでしょう』とお告げになりまして。初めは『その村にそんな人物がいるのか?』と疑いましたが、気になって朝早く家を出て、ここに向かったのです」
「ふーん……本題!」
「失礼! ……村に到着して情報収集したら、イザベルさんが実在する事がわかりました。何やら新しい暖房器具を作ったとか、巫女だとか、姉が駆け落ちしたとか……コイン一枚でよく話す女性が教えてくれたのですが。ともかく、具体的使命がそこにあると確信しました」
「うぜー……雑貨屋のババァ~……間違いない……。それで、あーしの仕事の支援してくれるんだよね~……神様繋がりで……」
「もちろんです。任せて下さい。……有料になりますが」
「タダ友じゃないんだー……」
「申し訳ございません。仕事にお金が発生する事案と、商材の仕入れに関してはよろしくお願いいたします」
「ま、こんなあーしでも、最低限の節度と常識は持っているから」
「ありがとうございます! ご理解いただけて幸いです。それと、ここからが本題になります」
「えーーー、今の前振りかよ」
「実は、あれから家に帰った深夜、夢の中に再び女神様が現れまして。大変褒められ、私、天にも昇る高揚感が……」
「あのさ、いい加減にして!」
「失礼……。実はお姉さまの話です……」
その瞬間、あーしの胸の奥で何かが崩れ落ちた。
「何処にいるの? 姉ちゃんの話をするってことは……知ってんだよね~」
「知っています。いや、女神様から教えてもらいました。……イレーネさんは、今この世にいません。ヘルマンも同じです……」
「えっ、ウソ……」――驚きで声がかすれた。
「ヘルマンは悪人に騙され、多額の借金を抱えていました。イレーネさんを連れて来ることで、借金が帳消しになる程の金貨が手に入る手筈だったようです。イレーネさんがヘルマンを好いていたのが功を奏してしまった。貴族との結婚を避けるための駆け落ちは、イレーネさんにとって最悪のタイミングだったのです。ヘルマンはイレーネさんの気持ちなど理解していなかったし……」
「ひどい……」怒りで手の震える
アントニオは、まるで見てきたかのように語り始めた。
「……ヘルマンは、借金を取り立てにくる男――物静かに脅してくるその男の目と態度が怖くて怯えていたそうです。彼が来る月末になると憂鬱で落ち着かず、知人に名前を呼ばれるだけでびくついていた。いつも冷静を装っても心の中は破裂しそうで、心臓の音が外に聞こえるくらいドクドクと鼓動していた。」
「フン!」
「駆け落ち当日、ヘルマンは指定の宿屋で待機している取り立ての男を探して……
男は、金貨の入った小袋をヘルマンに放り投げた。
それをキャッチしたヘルマンは、イレーネさんに背を向けて出口へ向かう。」
「ィヤ!」
「イレーネさんがヘルマンの名前を呼んでも、彼は振り向かなかった……」
「やめろ~……」
◆◇◆◇◆◇◆◇
外伝 『ブルーノ戦記』 を公開しました! 短編・全2話完結の物語です。
この外伝では――
イザベルから授けられる“チート”
ブルーノの無双劇(!?) が描かれ、物語世界の裏側に迫ります。
現在、本編は 「第40話 マシュー王子助ける」 まで執筆済み。 続く展開もぜひご期待ください。
本編と並行して楽しめる内容となっていますので、ぜひご覧ください!
「実はここに来たのは、理由があります。私は首都パンプローナの南部地区に店舗兼住宅を構えて二十年になります。町から出る事はここ数年なく、前回の出張が二年ぶり、二回目になります。……実は、ここに来る前日の深夜、夢で神からお告げがあったのです」
アントニオは胸の前で手を組み、うっとりと祈るポーズをとった。
「ニャンコか!」
「ニャンコ? ……あの神々しい姿と、包み込む様な優しい声……。オー……女神様……私は貴方の僕(しもべ)です……。今でも私の記憶にしっかりと刻まれ……」
「あのさ~……本題にいってちょうだい~……」
「コホン。失礼。女神様は、『信心深い我が子らよ、ここに向かいイザベルの仕事を手伝いなさい。イザベルを支援する事で多大な恩恵を受けるでしょう』とお告げになりまして。初めは『その村にそんな人物がいるのか?』と疑いましたが、気になって朝早く家を出て、ここに向かったのです」
「ふーん……本題!」
「失礼! ……村に到着して情報収集したら、イザベルさんが実在する事がわかりました。何やら新しい暖房器具を作ったとか、巫女だとか、姉が駆け落ちしたとか……コイン一枚でよく話す女性が教えてくれたのですが。ともかく、具体的使命がそこにあると確信しました」
「うぜー……雑貨屋のババァ~……間違いない……。それで、あーしの仕事の支援してくれるんだよね~……神様繋がりで……」
「もちろんです。任せて下さい。……有料になりますが」
「タダ友じゃないんだー……」
「申し訳ございません。仕事にお金が発生する事案と、商材の仕入れに関してはよろしくお願いいたします」
「ま、こんなあーしでも、最低限の節度と常識は持っているから」
「ありがとうございます! ご理解いただけて幸いです。それと、ここからが本題になります」
「えーーー、今の前振りかよ」
「実は、あれから家に帰った深夜、夢の中に再び女神様が現れまして。大変褒められ、私、天にも昇る高揚感が……」
「あのさ、いい加減にして!」
「失礼……。実はお姉さまの話です……」
その瞬間、あーしの胸の奥で何かが崩れ落ちた。
「何処にいるの? 姉ちゃんの話をするってことは……知ってんだよね~」
「知っています。いや、女神様から教えてもらいました。……イレーネさんは、今この世にいません。ヘルマンも同じです……」
「えっ、ウソ……」――驚きで声がかすれた。
「ヘルマンは悪人に騙され、多額の借金を抱えていました。イレーネさんを連れて来ることで、借金が帳消しになる程の金貨が手に入る手筈だったようです。イレーネさんがヘルマンを好いていたのが功を奏してしまった。貴族との結婚を避けるための駆け落ちは、イレーネさんにとって最悪のタイミングだったのです。ヘルマンはイレーネさんの気持ちなど理解していなかったし……」
「ひどい……」怒りで手の震える
アントニオは、まるで見てきたかのように語り始めた。
「……ヘルマンは、借金を取り立てにくる男――物静かに脅してくるその男の目と態度が怖くて怯えていたそうです。彼が来る月末になると憂鬱で落ち着かず、知人に名前を呼ばれるだけでびくついていた。いつも冷静を装っても心の中は破裂しそうで、心臓の音が外に聞こえるくらいドクドクと鼓動していた。」
「フン!」
「駆け落ち当日、ヘルマンは指定の宿屋で待機している取り立ての男を探して……
男は、金貨の入った小袋をヘルマンに放り投げた。
それをキャッチしたヘルマンは、イレーネさんに背を向けて出口へ向かう。」
「ィヤ!」
「イレーネさんがヘルマンの名前を呼んでも、彼は振り向かなかった……」
「やめろ~……」
◆◇◆◇◆◇◆◇
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ブルーノの無双劇(!?) が描かれ、物語世界の裏側に迫ります。
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