惑星ムンド管理官、転生者を監視する。

山田村

文字の大きさ
24 / 52
第三章 進展

第24話 イベリア歴623年 決着

しおりを挟む
  


次男の自白は国の二大派閥に関わる事案であったため、秘密裏に国王立ち合いのもとで行われることになった。次男の自供が始まると、国王は途中で気分を害し怒り始め、中断して休憩を挟み、再開するという長丁場となった。結果、王令が発布され、直ちに捜査に取り掛かることとなった。  

 取り調べの中で次男が国王を怒らせたのは、  

「国王の統治が甘いから私の残酷な趣味が許された。税金や国賊行為も、すべて暗君がいるから起きた結果だ。」  

 という処刑ものの発言が、玉座の間の空気が一瞬凍りついた。しかし摂政が、  

「すべてが決着してからでも遅くはない。」  

 と諭したことで、国王は矛を収めた。  

 軍務卿は皇太子派に気づかれぬよう、東のアラゴン王国へ向かう道をあえて進み、迂回して北部へ部隊を向かわせた。屋敷に到着すると国王命令を読み上げ、家宅捜索を開始した。王都と同じく書類、金庫、隠し扉のすべてが開かれた状態を目にしたモレノ男爵は、顔面蒼白となり、その場でふらつき、テーブルに手をつくと同時に倒れ、痙攣して意識を失った。  

 部隊は意識の戻った男爵を拘束し、証拠品を回収した。そして遺棄現場へ移動する。現場では次男の手下が整列し、自分たちの行為を自白して拘束されたが、率先して捜査に協力していた。犯罪者は逃走が基本であり、自ら名乗り出るなどあり得ぬ行動に違和感があったが、自供通りの結果となり、なんとも歯切れの悪い結末にただ頭を抱えて「あり得ない」と言うしかなかった。  

 王都の男爵邸の捜査から判断し、王都の辺境伯邸と北部の辺境伯領に軍を派遣した。王都の辺境伯は国軍に抗うことができず、無抵抗で捕縛され、証拠はすべて押さえられ回収された。  

 軍は辺境伯領に進軍した。数万の軍隊に辺境伯の軍は籠城の構えを見せたが、王国旗の力は絶大で、投降者が列をなし、武器を地面に置く音が響き、次々と投降者が出た。最後には厚い扉が開き、辺境伯の息子たちが投降し、最悪の武力行使には至らなかった。  

 北部男爵邸の部隊も辺境伯領で合流した。幸い息子たちは宝物庫の鍵や重要書類の在りかを知らず、手つかずのまま証拠品を回収できた。今回も怪しい場所の鍵は掛けられておらず、難なく回収が完了した。宝物庫の中には王家から紛失した宝物が数点発見され、それもすべて回収された。  

 次男や手下は監禁され、刑を待つだけの日々を過ごしている。テクノロジーの進化により、強制自白と性欲の減退、筋力の低下の状態は解除しない限り死ぬまで継続する。人間として厳しい状態を与えている。もともと筋力低下は暴力的な者を対象に考案されたもので、治安維持を目的とした古い技術だ。自白・性欲も同じで、昔、警察があった時代の古いテクノロジーである。今、この惑星ではそれが使える技術となっている。  

▼△▼△▼△▼△  

事件は一段落し、私の関心は次第に生活の基盤へと移っていった。
 
アントニオがやってきた。例の土地の件だろう。  

「決まりました。あの地点の売買は無理でした。その代わり借りることは可能です。広さはこの地図に書き入れています。」  

 ちょっと広すぎない?  

「これってもしかして、国王から頂いた土地すべてじゃないよね?」  

「よく分かりましたね。そうです。それとここは婿に入るアルトゥーロ様の所有になるようで、手つかずの場合は年間金貨二十五枚、収益があるときは利益の一割です。売上ではなく利益の一割です。従って、収支がマイナスの場合は年間金貨二十五枚と言われました。宝石を前払い頂くと、約二百年間の使用許可を出すそうです。」  

「分かった……それで頼む……」なんかなぁ……考えつかない。  

「加工に関しても任せるそうです。近いうちに男爵様が伺うと思われます。」  

「分かった。……例の件、解決したよ。次男は今、牢屋で刑待ちだ。」  

「なんと、この前話してから数週間ですよね……国境の貴族が変わるか……」  

「多分、変わる。寄親の辺境伯も捕まり、次期辺境伯は王女派の有力者か弟か、王家直轄か。間もなく答えが出るよ。それより南から来る商品が安くなると助かるよね。それから、あの土地、畑とかできるの?」  

 素朴な疑問を投げかけた。  

「荒れた平原だからね。王都に近ければ可能性もあるけど、川がないから水の問題もある。荒地で水なしなんて作物……知らないなぁ。一番は風かな。あの辺は風が強くて有名で、砂埃がすごいんだ。水源を確保するため井戸掘りが必須だ。水がないから家畜も無理だ。」  

 根本的に土地改良しないと無理か……。  

「バレリア、聞いたとおりだ。許可は下りたも同然だ。早速始めてくれ。」  

「農地のために土地改良区を作りますか。動物対策から水管理、風対策、周辺の緑化まで計画は簡単です。テラフォーミングする訳ではないので、局地的には容易です。村人を募集して、経営するシミュレーションゲームのように緑化して家畜を飼い育てる。いいですね! 実際ナマでやるのは夢があります。」  

 ……あぁ、おいおい、AI進み過ぎている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件

fuwamofu
ファンタジー
冒険者団から「役立たず」と追放された青年リオ。 実は彼のスキル《創造》は、世界の理を作り替える最強の能力だった。 追放後、孤独な旅に出るリオは、自身の無自覚な力で人々を救い、国を救い、やがて世界の中心に立つ。 そんな彼の元には、かつて彼を見下していた美少女たちが次々と跪いていく──。 これは、無自覚に世界を変えてしまう青年の、ざまぁと覇道の物語。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

婚約破棄の慰謝料として『王国の半分』を要求したら、本当にくれたので、今日から私があなたの女王様です

唯崎りいち
恋愛
婚約破棄の慰謝料に 「王国の半分」を要求したら、 ゴミみたいな土地を押し付けられた。 ならば――関所を作りまくって 王子を経済的に詰ませることにした。 支配目当ての女王による、 愛なき(?)完全勝利の記録。

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

処理中です...