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最強の冒険者を目指して~第1部 完~
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僕がリンカに愛の告白をした直後、突如として乱入してきたエリスに面くらい、抱き合ったまま固まってしまった。
「セージ様、フィーリングリンクをより強固にするためにも、こうした親密な時間は大切かと存じますわ」
たった今していた会話が会話なだけに、いろんな意味に受け取れてしまう。
「セージ君、受け入れてあげて」
「そ、そうなのかな……う、うん、分かった」
「さすがセージ様ですわ。では皆さま、共にセージ様のお身体をお清めいたしましょう」
「え、ええっ⁉ ミ、ミレイユ達まで!?」
なんとミレイユ達四人のメイドがタオルを巻いて入ってきた。ちゃっかりアンナさんまで混ざっている。
「って、ルミナス! なんでお前まで当然の顔して混じってるんだ」
「セージ、女の裸、喜ぶ。ルミナス、躊躇しない」
くっ……憎めない可愛さがあるから文句が言えない。
「せめてタオルくらい巻けってば!」
エリスは涼しい顔で言葉を続けた。
「セージ様は、これから多くの女性に愛されていく方。その練習としても良い機会かと」
「れ、練習ってそんな……!」
「もう一度申し上げます。フィーリングリンクは互いの想いの強さが力を決めます。ならば互いをさらけ出し、信頼を深めればより強固になるはずですわ」
確かに理屈は間違っていない。裸の付き合いというのも……絆を深める一つの形なのかもしれない。
「よ、よし……じゃあ皆で入ろう。ただ、僕は向こうを向いてるから! 正面からなんて無理だよ!」
「セージ君、ウブだなぁ♡ そういうとこも可愛い♡」
「か、からかわないでよ……って、リ、リンカ!? な、なにを――」
背を向けた僕の背中に、ふわりと温かな体温が密着する。濡れた尻尾が湯の中で泳ぐのが視界の端に映り、柔らかな感触が背中に伝わってくる。
「あ、あの……当たってるよ、リンカ」
「さっきのお返し♡」
さっきの出来事を思い出してしまい、心臓が痛いくらいに高鳴る。
「当ててるんだよ。ねえ、セージ君」
「な、なんだいリンカ」
「今日会ったばかりの人達だけど、みんなセージ君のこと、大好きなんだって分かるよ。君がいっぱい愛されてきたのが伝わってきて、私……嬉しくなっちゃった」
背中越しの温もりに頬を赤く染める僕に、さらにもう一つの柔らかな感触が重なる。
「エ、エリス……」
「温かいですわ。セージ様、わたくしも……ご寵愛を頂きたいのです」
「あ、ああ……約束だからね」
あのオークションの夜、エリスが身を挺してくれたこと。商会の後ろ盾を得るためとはいえ、僕を婿入りさせるという大胆な手を打ってくれたこと。その代償として交わした「婚約」という契約――僕にとっては、命を懸けて助け出したリンカと同じくらい重い誓いだった。
「ですが!」
エリスがきっぱりと声を張り上げる。
「わたくしはリンカお姉様を差し置いて第一夫人になるつもりはありません! ですから、リンカお姉様にはミルミハイド家の養子になっていただきたいのです。そして、セージ様の第一夫人として堂々と胸を張っていただきたい!」
「わ、私が……養子に?」
「そうですわ。わたくしは第二夫人で構いません。ですがセージ様の隣に立つべきは、リンカお姉様以外に考えられませんから」
なんて真っ直ぐな想いなんだろう。
ミレイユ達もまた背中から声をかけてくる。
「私達は、何番目でも構いません。セージ様にお仕えできるのなら」
「リンカ……僕は、結婚するなら君に第一夫人になってほしい」
そう言って、僕は正面からリンカを抱きしめた。
「セージ君……!」
さらに振り返って、ミレイユ達を一人一人抱きしめる。
「ごめん。僕が情けなかったせいで、みんなを危険に巻き込んでしまった。でも今回、はっきり分かった。僕は……みんなのことが愛おしい。順番なんて付けられないくらいに」
涙ぐみながら頷くメイド達。茶化すルミナス。気品を崩さずに微笑むエリス。そして赤面しながら僕の胸に顔を埋めるリンカ。
「僕も男だ。全員、愛してやる!」
ざぱぁあああっ
「きゃんっ、なんか頬に当たったぁ」
リンカが可愛い悲鳴をあげるが気にしている余裕はなかった。
「んもう、セ、セージ君いきなり立ち上がらないでよぉっ!」
「え、うわあああっ、ご、ごめんっ!」
勢いよく立ち上がったは良いものの、タイミング悪く近寄ってきたリンカの真ん前に恥ずかしい場所を晒してしまった。
「ふわぁ……あ、あれがセージ様の♡」
「す、すっごいですセージ様♡」
「なんというご神木♡」
「まさにユグドラシル♡」
なんだか過分な評価をされ過ぎているような気がしてならない。
こんなものに大層な名前を付けないでほしい。
その夜――。
僕たちは、互いの想いをぶつけ合い、心も体もひとつになった。
何人もの愛を背負う責任の重さに押し潰されそうになりながらも、同時にその全てを受け止められるだけの力が自分に芽生えているのを感じた。
翌朝、気が付けば……僕の周りには八人の妻が眠っていた。
リンカ。エリス。ルミナス。ミレイユ、シャミー、レイシス、アーリア。そして、いつの間にか当然のように加わっていたアンナさんまで。
誰も彼もが、何一つ劣ることのない美少女ばかり。
そんな天にも昇る心地になれる彼女達と、この夜を共にする――。
これから先、どんな困難が待ち受けていようとも。
僕はもう、一人ではない。
支えてくれる仲間がいて、愛してくれる人がいて。
そして、僕自身も心から愛した人達がいる。
この胸に抱えきれないほどの幸せを抱いて、僕は決意する。
――必ず世界一の冒険者になってみせる、と。
こうして、僕達の物語は新たな幕を開ける。
~第1部 完~
「セージ様、フィーリングリンクをより強固にするためにも、こうした親密な時間は大切かと存じますわ」
たった今していた会話が会話なだけに、いろんな意味に受け取れてしまう。
「セージ君、受け入れてあげて」
「そ、そうなのかな……う、うん、分かった」
「さすがセージ様ですわ。では皆さま、共にセージ様のお身体をお清めいたしましょう」
「え、ええっ⁉ ミ、ミレイユ達まで!?」
なんとミレイユ達四人のメイドがタオルを巻いて入ってきた。ちゃっかりアンナさんまで混ざっている。
「って、ルミナス! なんでお前まで当然の顔して混じってるんだ」
「セージ、女の裸、喜ぶ。ルミナス、躊躇しない」
くっ……憎めない可愛さがあるから文句が言えない。
「せめてタオルくらい巻けってば!」
エリスは涼しい顔で言葉を続けた。
「セージ様は、これから多くの女性に愛されていく方。その練習としても良い機会かと」
「れ、練習ってそんな……!」
「もう一度申し上げます。フィーリングリンクは互いの想いの強さが力を決めます。ならば互いをさらけ出し、信頼を深めればより強固になるはずですわ」
確かに理屈は間違っていない。裸の付き合いというのも……絆を深める一つの形なのかもしれない。
「よ、よし……じゃあ皆で入ろう。ただ、僕は向こうを向いてるから! 正面からなんて無理だよ!」
「セージ君、ウブだなぁ♡ そういうとこも可愛い♡」
「か、からかわないでよ……って、リ、リンカ!? な、なにを――」
背を向けた僕の背中に、ふわりと温かな体温が密着する。濡れた尻尾が湯の中で泳ぐのが視界の端に映り、柔らかな感触が背中に伝わってくる。
「あ、あの……当たってるよ、リンカ」
「さっきのお返し♡」
さっきの出来事を思い出してしまい、心臓が痛いくらいに高鳴る。
「当ててるんだよ。ねえ、セージ君」
「な、なんだいリンカ」
「今日会ったばかりの人達だけど、みんなセージ君のこと、大好きなんだって分かるよ。君がいっぱい愛されてきたのが伝わってきて、私……嬉しくなっちゃった」
背中越しの温もりに頬を赤く染める僕に、さらにもう一つの柔らかな感触が重なる。
「エ、エリス……」
「温かいですわ。セージ様、わたくしも……ご寵愛を頂きたいのです」
「あ、ああ……約束だからね」
あのオークションの夜、エリスが身を挺してくれたこと。商会の後ろ盾を得るためとはいえ、僕を婿入りさせるという大胆な手を打ってくれたこと。その代償として交わした「婚約」という契約――僕にとっては、命を懸けて助け出したリンカと同じくらい重い誓いだった。
「ですが!」
エリスがきっぱりと声を張り上げる。
「わたくしはリンカお姉様を差し置いて第一夫人になるつもりはありません! ですから、リンカお姉様にはミルミハイド家の養子になっていただきたいのです。そして、セージ様の第一夫人として堂々と胸を張っていただきたい!」
「わ、私が……養子に?」
「そうですわ。わたくしは第二夫人で構いません。ですがセージ様の隣に立つべきは、リンカお姉様以外に考えられませんから」
なんて真っ直ぐな想いなんだろう。
ミレイユ達もまた背中から声をかけてくる。
「私達は、何番目でも構いません。セージ様にお仕えできるのなら」
「リンカ……僕は、結婚するなら君に第一夫人になってほしい」
そう言って、僕は正面からリンカを抱きしめた。
「セージ君……!」
さらに振り返って、ミレイユ達を一人一人抱きしめる。
「ごめん。僕が情けなかったせいで、みんなを危険に巻き込んでしまった。でも今回、はっきり分かった。僕は……みんなのことが愛おしい。順番なんて付けられないくらいに」
涙ぐみながら頷くメイド達。茶化すルミナス。気品を崩さずに微笑むエリス。そして赤面しながら僕の胸に顔を埋めるリンカ。
「僕も男だ。全員、愛してやる!」
ざぱぁあああっ
「きゃんっ、なんか頬に当たったぁ」
リンカが可愛い悲鳴をあげるが気にしている余裕はなかった。
「んもう、セ、セージ君いきなり立ち上がらないでよぉっ!」
「え、うわあああっ、ご、ごめんっ!」
勢いよく立ち上がったは良いものの、タイミング悪く近寄ってきたリンカの真ん前に恥ずかしい場所を晒してしまった。
「ふわぁ……あ、あれがセージ様の♡」
「す、すっごいですセージ様♡」
「なんというご神木♡」
「まさにユグドラシル♡」
なんだか過分な評価をされ過ぎているような気がしてならない。
こんなものに大層な名前を付けないでほしい。
その夜――。
僕たちは、互いの想いをぶつけ合い、心も体もひとつになった。
何人もの愛を背負う責任の重さに押し潰されそうになりながらも、同時にその全てを受け止められるだけの力が自分に芽生えているのを感じた。
翌朝、気が付けば……僕の周りには八人の妻が眠っていた。
リンカ。エリス。ルミナス。ミレイユ、シャミー、レイシス、アーリア。そして、いつの間にか当然のように加わっていたアンナさんまで。
誰も彼もが、何一つ劣ることのない美少女ばかり。
そんな天にも昇る心地になれる彼女達と、この夜を共にする――。
これから先、どんな困難が待ち受けていようとも。
僕はもう、一人ではない。
支えてくれる仲間がいて、愛してくれる人がいて。
そして、僕自身も心から愛した人達がいる。
この胸に抱えきれないほどの幸せを抱いて、僕は決意する。
――必ず世界一の冒険者になってみせる、と。
こうして、僕達の物語は新たな幕を開ける。
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