『ライフで受けてライフで殴る』これぞ私の必勝法

こまるん

文字の大きさ
29 / 63

凄女によるゴブリン狩り

しおりを挟む
 



「と、言うわけでガンガンやってくよー」

『ノリノリである』
『「殺」ってく』
『笑う』
『これは凄女』

「こらそこ! 凄女ってコメント、ちゃんと見えてるんだからな!」


 まったくもう。相変わらず失礼なんだから。
 だがしかし、今日ばかりはちょっとくらい許してあげようじゃないか。

「♪~~」

『ひぃw』
『やばいw』
『鼻歌歌いながらビーム撒き散らすなw』
『道行くゴブリンが抹消されてるの面白すぎるんだが』
『もはや移動砲台』
『固定砲台だったユキちゃんはどこに』
『今や回転砲塔の移動砲台なんだよな』

「あ、見ない顔だねこんにちは。ふーんゴブリンメイジ? そんなのもいるんだ」

『話しかけながらビーム撃つなww』
『情報すら見られない新モンスター』
『敵が哀れになってきた』
『戦車かな????』

「……あ、体力減ってきてる。 ポーション……っと」

『[悲報]地獄[終わらない]』
『燃料追加ww』
『誰かこの子を止めてえ』
『結構奥きてるけど大丈夫かw』

「だいじょーぶだいじょーぶ。時間やばくなったら死に戻ればいいさ」

『ええ……』
『発想が末期すぎる』
『デスワープ前提』 
『RTA走者かな???』

 さあ、どんどん行くぞ!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 さてさて。結構良い時間になってきた。
 ノーマルなゴブリンに始まり、ゴブリンファイター、ゴブリンメイジ。ゴブリンアーチャーなどなど、バラエティ溢れるゴブリンたち。
 都合の良いことに完全にバラバラに動いているというわけではなく、数体単位で纏まってくれていた。
 そのため1回の放射で纏めて群れごと焼き払うことが出来、非常に効率が良い。

 ああ。聖魔砲のエフェクトについてだけども、正直なところGAMANのド派手なものに慣れていたから大して特筆すべきところもない。
 500程度のチャージで、猪2匹くらい軽く呑み込める程の光線を放てる感じ。
 ほんの10数秒チャージするだけでこの威力、本当に便利!

「……それにしても、いなくなっちゃったなぁ」

『狩りすぎなんだよw』
『百体は殺ったんじゃない?』
『バーサーカーすぎる』
『聖女 (バーサーカー) とは』

「今日ばっかりは否定出来ない……あ、百体は行ったよ。称号入ってた」

 その名も、ゴブリンキラー。ゴブリン種に与えるダメージがふえる。
 アンデットキラーと同じ類のものだね。

『百w』
『ほんの1時間程度なのにw』
『ゴブリン達から指名手配されてそう』
『周囲にいないの、警戒されたのでは?』

「えー。そこまで高度になるもの?
 いや、私ゲームのことはあんまり詳しくないからわかんないけど」

『AI高度だからね』
『普通にありそう』
『あのキャッチコピーだしなおさら』

「んー。そう言われてみれば。
 それじゃあ、もうちょっとだけ先進んでみたら引き返すことも視野に入れるかぁ」

『普通に帰る選択肢が生えてきた』
『バーサーカーモード終了?』
『↑聖女にそんなモードあっていいのかw 』
『↑凄女サマだから』
『↑あっ(察し)』
『↑察した』

「新スキルもたくさん使って満足したしねぇ。 
 凄女呼びを早くも気にしなくなってきている私が居て辛いよ」

『草なんだが』
『自業自得w』
『楽しそうだったw』
『それはわかる』

「楽しかったよー。なんと言っても初の能動的な攻撃スキルだったし!
 アンデット限定なら[浄化]があったけど、ほんとそれしかなかったもん」

『毎回殴られに行ってたもんね』
『もう斬られる必要ないのか』
『ワイは好きだったけどなぁ』
『わかる』
『↑わかるww』
『ドM返上?』
『ずっと思ってたんだけど、アンデッド だよ』

「ドM返上はどうだろう……何だかんだでGAMANも多用するとおも…………って、そもそもドMじゃないし!
 アンデッド…………? あーー!! そっか! 『t』じゃなくて『d』だもんね。 これは恥ずかしい……」

『ドM否定は無理がある』
『凄女以上に計画的だったのでは??』
『HPで受ける前提ビルドだもんなぁw』
『指摘ニキちっすちっす』
『どっちでもいいんじゃない?発音なんて』
『ユキちゃん英語よわよわ? 意外』

「あの私が潜在的なマゾっ子みたいな扱いやめてもらえません?  ノーマルだ。わたしは!!
 いやーなんというか。言い訳なんだけど、初見の見間違えとか覚え間違いってさ。 指摘されるまでずっと違和感すら覚えないってことない……? 漢字の読みとか特に」

『潜在じゃないw』
『顕在してるんだよなぁ』
『草』
『あーわかる』
『一旦勘違いすると一生続くやつ』
『似たやつだと、野球の死球とか』
『デッ「ド」ボールねw』
『トって言っちゃうやつ』

「野球かー。昔、お父さんやお兄ちゃんとよく観てたから何となくわかるかも」

『お?』
『いいね』
『最近は?』
『何処推し?』
『落ち着けw』
『野球民、落ち着いて』
『ユキにお兄ちゃんって呼ばれたい』
『俺がお兄ちゃんだ』
『俺だ』
『↑お前らはもっと落ち着け』

「どこ推しかはナイショだよー。収拾つかなくなりそうだし。
 あとそこの自称お兄様たちは帰って。 ヘンタイ」

『たしかにw』
『仁義なき争いが……』
『ぐはっ』
『ありがとうございます』
『ありがとうございます』
『ありがとうございます』
『ゾクッとした』

「ひっ。こ、怖いんですけど」

 こ、これがあれですか。我々の業界では……ってやつ。
『こーいうのは何言っても喜ぶから、程々にスルーするのが一番』……だったかな。

「いやーもう。沢山寄ってくるゴブリンたちと言い、モテモテで困っちゃうね」

『草』
『自称お兄さん、ゴブリンと同じに扱われるの巻』
『(´;ω;`)』
『……いや、アリでは』
『末期で草』
『そもそもゴブリンって寄ってきていた訳じゃない気がするんだが』
『近寄って行ったのユキなんだよなぁ』
『凄女様こわい』

「こわくないよー。ほら、武器すら持っていない聖女だよ?」

 カメラに向かって両手を広げる。
 そう、なんと言っても私は丸腰なのだ。
 武器も盾も持たない、鎧も着ていない一般少女。それこそが、わたし。

『いや、無理があるw』
『なお体力無限にある模様』
『頑張って削っても天罰が来る模様』
『なんなら笑みを浮かべながら極太ビーム撃ってくる模様』
『理不尽すぎんか????』
『もうユキラスボスで良くない?』
『ずっと仲間だったのに最後の最後で敵に回るやつ』
『ありそうで草ですわ』

「勝手に私の存在を壮大にしないでもらえるかなー?
 ラスボス扱いした人はもれなく天罰…………ん?」

『ひぃ』
『許して』
『逃げろ!ラスボスに焼かれるぞ!』
『総員散開ッッ』
『お?』
『どしたん』

「あ、えーと、ほら、あれ見てよ」

 前方を指さす。
 カメラくんもわかったもので、カメラワークを私の視界に近いものにしてくれた。
 指の先には、見たことのない建造物。
 少し近づいてみると、それが紛れもなく砦の類であることが分かってきた。

「……え。砦?」

『砦だ』
『砦だね』
『簡易っぽいけど普通に硬いやつやん』
『でもちょっと小さめじゃない?』
『なんか察したんだが』

「うーん。言われてみれば。人が使うには小さいね」

 一番わかりやすいのは城門かな。
 よく見れば、明らかに人間サイズじゃないことがわかる。

 あれ? よく見たら、砦からちょっと離れたところに小さな石碑があるね。
 周囲に広がっている見覚えのあるサークル……これ、安全地帯か。ログアウト出来るやつ。

 もう数歩、試しに砦に近寄ってみる。
 すると、ガンガンガンと硬いものを打ち鳴らすような音が響き渡って。
 城壁の上に、弓を構えたゴブリンたちが一斉に姿を現した。


 ……なるほど、つまりだ。


 最後にもう一暴れしていけってことですね?



『EXクエスト[ゴブリンの前線基地]を開始します』





◇◇◇◇◇◇◇◇
EXクエスト ゴブリンの前線基地
EXクエスト ゴブリンの動向 より派生

偵察依頼を受け、砦を発見した時点で派生前クエストは達成となり、同時に当クエストが発行される。

◇◇◇◇◇◇◇◇

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...