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第一話 梅雨晴間
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ガラガラ…
建て付けの悪い昔ながらの引き戸を開けると、湿気を含んだ重く柔らかな風が髪をあおった。
独特の絵の具の匂いが鼻をくすぐり、甘い雨の香りと混ざって肺を満たしていく。
毎日のように訪れている美術室は、今日も変わらず雑多でありながら静かで穏やかな気配をたたえていた。
不規則な互い違いにズレて並べられた大きめの机。壁際に並べられた不格好な造形の彫刻作品たち。後ろ側の壁一面に貼られた、たくさんの水彩画の画用紙が風で揺れて音を立てている。
教室内をぐるりと見回して一番後ろの窓が開いているのを見つけた洸太は、窓際の最後列の席に向かう。腕に抱えていた荷物を机の上に無造作に載せ、腕を伸ばして開いている窓を閉めた。
グラウンドから聞こえてくる運動部の掛け声や、下校中の生徒たちのざわめきが遮断される。
鍵を締めるカチャン、という音がやけに大きく響いた気がした。
◇
美術室は、旧校舎の最上階の一番北の端にある。
旧校舎には美術室や音楽室、理科実験室などの使われる頻度の低い教室が集まっていて、週に一度の選択授業以外では殆ど人が訪れない。部活動も多くは新校舎の教室を使って行われていて、放課後ともなれば古臭い旧校舎は静まり返っているのだ。
ほんの数ヶ月前まで――ひとつ上の先輩たちが卒業し、最後の現役部員だった洸太が3年になり引退するまで、美術室だけは旧校舎の中でも唯一賑やかに笑い声が溢れていたのだが。部員が居なくなり廃部になってしまった今となっては、室内にはそんな面影はなく沈黙を保っている。
いつ会っても姦しく漫画やアニメの趣味の話を繰り広げていた先輩や、その隣でいつもお菓子を広げてはしゃいでいた先輩たち。内気で人見知りな自分を明るく優しく受け入れてくれていた先輩たちを思い出して、急に懐かしさが込み上げた。
ノスタルジックな感傷を逃すようにフッとひとつ息をついて窓際の一番後ろの席に座ると、荷物のなかからスケッチブックと画材を取り出した。机の上に必要な画材をざっと広げて頁を一枚一枚めくっていく。
現れた画用紙の一枚一枚には、淡い色彩の載った風景画や瑞々しい静物画が広がっていた。時折チラシやなんかに使えそうなデザイン画にアレンジされているものもあり、モチーフも様々。
それは、どれもこれも洸太がこの高校で美術部に入ってから描いたものだった。
1枚目の青空は入部してすぐの頃に描いたやつ。この紅葉は一昨年の秋の紅葉狩り。このりんごのイラストは、去年の春に先輩が差し入れって持ってきてくれた時の。
洸太はしばらく確かめるようにパラパラと頁をめくりながらそれらを見つめた。やがて、真っ白な新しい頁を開くと、サラサラとペンを走らせて窓の外の風景を描き始める。机の上に散らばった様々な画材を使いわけながら、紙の上に鮮やかな梅雨の風景を浮かび上がらせていった。
◇
ガラガラ…
突如、扉が開く音が響いて、スケッチブックに夢中で向き合っていた洸太はビクリと肩を跳ねさせた。
はっとして扉の方を見ると、若い男の人が部屋のなかを覗きこんでいる。ぐるりと部屋を見回したその男は、洸太を見つけて驚いたように目を見開いた。
見たことがない人だった。さっぱりとして、目鼻立ちが整っている。完成された大人の男という雰囲気だ。
誰だろう。見回りの先生だろうか。もしそうだとすれば、元美術部員だからと勝手に美術室を使っていたことを怒られるだろうか。
反応できないままに混乱する洸太を少しの間じっと見ていた男は、やがて不思議そうに首を傾げた。
「君、こんなとこで何してんの?」
「あ……っ、え……」
男の声に責める色はなかった。だが、部屋を勝手に使っていたことに少しばかり後ろめたさのある洸太は、話しかけられたことで余計に動揺してしまう。
何と答えるべきか。グルグルと考えているうちに近づいてきた男に焦り、洸太は慌てて立ち上がって画材やスケッチブックを纏め始めた。
「あ、ちょ、待て待て!いいよ、使ってて大丈夫」
「え……や、でも、その……」
「いいって。な?ほら座って。何描いてたの?見せてくれよ」
「あ……」
動き出そうとする洸太を慌てて引き留めた男は、逡巡する洸太の肩を掴んで再度椅子に座らせる。その表情は怒っているというよりむしろ楽しげで、叱られるわけではなさそうだと洸太は肩の力を抜いた。
洸太が顔色をうかがっている間に、見知らぬ男はすぐ前の席を陣取り、洸太のスケッチブックをパラパラと捲って勝手に絵を眺めている。
許可もなく絵を見られたことに対して、洸太の脳内は男への文句で溢れかえった。だが、人見知りの洸太にはそれを口に出す勇気もなく、男の挙動を見つめるばかり。
しばらく互いに無言の時間が流れていたが、やがて何枚か見るうちに男が小さな声でへぇ、と呟いた。
その声の意図するところを悪い方向へと想像してしまい、洸太はかぁと頬に血が登るのを感じる。
内気な性格のせいで友人が少ない洸太にとって、美術部の先輩以外の人に絵を見られるのは初めてのことだった。
自分の絵は上手いのか、下手なのか。この人の目にはどう見えているのか。
やがて、一昨年の紅葉狩りの時に部内の共通課題で描いた紙一面に広がる紅葉の景色を見ながら、男が口を開いた。
「これ好きだなぁ……君、絵、上手いんだな。これ独学?」
「え、と……小さい頃、少しだけ習ってて……」
「へぇー!そんでこんなに描けるようになったの?すげぇなー!」
感心したように一枚一枚褒めながら絵を見る男は、心からそう思っているようだった。初対面の見知らぬ人に絵を褒められるなんて初めてで、自分のことを知らない人から見ても世辞抜きに良いと思ってもらえるのか、と照れくさくなる。心の奥底から温かい気持ちが溢れてくるような気がした。
なんだか無性に嬉しくなってすこし気が緩んだらしい。気になっていた質問がようやく口からスルッと出てくれた。
「あの、先生……ですか?」
すると、男はきょとんとした顔で洸太を見た。
気が抜けたような表情は妙にあどけなくて、大人っぽい顔立ちに幼さを滲ませていた。その顔を何故かかわいいと思ってしまって、洸太は内心で戸惑う。
男はややあって納得したように頷くと、ニカッと音がしそうなほど崩れた笑顔で洸太を見た。
「あぁ!自己紹介してなかったな!数学の広方先生、産休に入るって聞いてる?復帰されるまでこの学校で教えることになったんだ。羽山星。よろしくな」
「羽山先生……」
口のなかで繰り返すように呟いた。
数学の先生なのか。広方は洸太のクラスの副担任だから、産休を取ることは知っていた。
代理の先生が来るだろうとも言われていたけれど、それがこの人だったとは。
一人でうんうんと納得していると、男――羽山はスケッチブックを閉じて洸太の顔を覗き込む。
「君の名前は?何年?」
「あ……えっと、3年、2組の戸田……です」
「戸田な。あれ、2組か。じゃあ俺の副担任のクラスだなぁ」
どこか嬉しそうにニッと笑った羽山の笑顔に、洸太は一瞬ドキッと心臓が跳ねた。
おかしな音を立てる胸を無意識に押さえる。
やはり羽山が副担任になることについても、心のどこかでそれを嬉しく思う自分にも気がついた。
「戸田、放課後はいつも美術室いんの?」
「あ、いえ、火曜日と金曜日だけ……他の日は塾があるので」
「あ、そっか。受験生だもんなぁ」
こくりとうなずく。受験。聞くだけで憂鬱な気分になるその言葉に洸太はやや俯いた。
落ちた視線の先、机の上に置かれた羽山の手には指輪が鈍く光っていた。節の立った左手の薬指の付け根を飾る指輪はシンプルだが美しい。
結婚しているのか。
途端、胸が微かな痛みを訴えて洸太は内心で首をかしげた。
この痛みはなんだろう。心臓をぐっと掴まれたように苦しくて、息が浅くなるような、不思議な感覚。
考え込んでいるうちに、いつのまにか険しい顔をしていたらしい。洸太の顔を見た羽山は、ハッとしてスケッチブックを机の上に戻した。
「悪い、描いてる途中だったんだよな。邪魔してごめん」
「あ、いや、邪魔とかでは……」
「んじゃ、俺は巡回に戻るけど、あんま暗くならないうちに帰れよ」
ぽむ、と洸太の頭の上に大きな手が乗った。立ち上がった羽山の腕が自分の方に伸びているのを見て、あぁ撫でられたのか、と気がつく。
なんだか急に熱くなった頬をそのままに、洸太は無意識のうちに羽山を呼び止めていた。
「せ、先生!」
「ん?どした?」
「あの……今描いてる絵も完成したら、また、見てもらってもいいですか……?」
驚いた羽山の顔を見て、洸太はさらに頬が熱くなるのを感じた。理由もわからず欲求のままに動いてしまった自分が今更恥ずかしく、頭を抱えてしゃがみこんでしまいたい衝動にかられる。しかし、
「おーもちろん!楽しみにしてるな!」
羽山はそんな洸太の様子に頓着することなく当然のように笑顔で頷き、頑張れよ、と言うと教室を出ていった。
先生、……羽山先生。
つい先程撫でられた頭に触れる。がっしりした手の感触がまだ残っている気がして緩む頬を抑えきれずに、洸太はしばらくその場に突っ立っていた。
建て付けの悪い昔ながらの引き戸を開けると、湿気を含んだ重く柔らかな風が髪をあおった。
独特の絵の具の匂いが鼻をくすぐり、甘い雨の香りと混ざって肺を満たしていく。
毎日のように訪れている美術室は、今日も変わらず雑多でありながら静かで穏やかな気配をたたえていた。
不規則な互い違いにズレて並べられた大きめの机。壁際に並べられた不格好な造形の彫刻作品たち。後ろ側の壁一面に貼られた、たくさんの水彩画の画用紙が風で揺れて音を立てている。
教室内をぐるりと見回して一番後ろの窓が開いているのを見つけた洸太は、窓際の最後列の席に向かう。腕に抱えていた荷物を机の上に無造作に載せ、腕を伸ばして開いている窓を閉めた。
グラウンドから聞こえてくる運動部の掛け声や、下校中の生徒たちのざわめきが遮断される。
鍵を締めるカチャン、という音がやけに大きく響いた気がした。
◇
美術室は、旧校舎の最上階の一番北の端にある。
旧校舎には美術室や音楽室、理科実験室などの使われる頻度の低い教室が集まっていて、週に一度の選択授業以外では殆ど人が訪れない。部活動も多くは新校舎の教室を使って行われていて、放課後ともなれば古臭い旧校舎は静まり返っているのだ。
ほんの数ヶ月前まで――ひとつ上の先輩たちが卒業し、最後の現役部員だった洸太が3年になり引退するまで、美術室だけは旧校舎の中でも唯一賑やかに笑い声が溢れていたのだが。部員が居なくなり廃部になってしまった今となっては、室内にはそんな面影はなく沈黙を保っている。
いつ会っても姦しく漫画やアニメの趣味の話を繰り広げていた先輩や、その隣でいつもお菓子を広げてはしゃいでいた先輩たち。内気で人見知りな自分を明るく優しく受け入れてくれていた先輩たちを思い出して、急に懐かしさが込み上げた。
ノスタルジックな感傷を逃すようにフッとひとつ息をついて窓際の一番後ろの席に座ると、荷物のなかからスケッチブックと画材を取り出した。机の上に必要な画材をざっと広げて頁を一枚一枚めくっていく。
現れた画用紙の一枚一枚には、淡い色彩の載った風景画や瑞々しい静物画が広がっていた。時折チラシやなんかに使えそうなデザイン画にアレンジされているものもあり、モチーフも様々。
それは、どれもこれも洸太がこの高校で美術部に入ってから描いたものだった。
1枚目の青空は入部してすぐの頃に描いたやつ。この紅葉は一昨年の秋の紅葉狩り。このりんごのイラストは、去年の春に先輩が差し入れって持ってきてくれた時の。
洸太はしばらく確かめるようにパラパラと頁をめくりながらそれらを見つめた。やがて、真っ白な新しい頁を開くと、サラサラとペンを走らせて窓の外の風景を描き始める。机の上に散らばった様々な画材を使いわけながら、紙の上に鮮やかな梅雨の風景を浮かび上がらせていった。
◇
ガラガラ…
突如、扉が開く音が響いて、スケッチブックに夢中で向き合っていた洸太はビクリと肩を跳ねさせた。
はっとして扉の方を見ると、若い男の人が部屋のなかを覗きこんでいる。ぐるりと部屋を見回したその男は、洸太を見つけて驚いたように目を見開いた。
見たことがない人だった。さっぱりとして、目鼻立ちが整っている。完成された大人の男という雰囲気だ。
誰だろう。見回りの先生だろうか。もしそうだとすれば、元美術部員だからと勝手に美術室を使っていたことを怒られるだろうか。
反応できないままに混乱する洸太を少しの間じっと見ていた男は、やがて不思議そうに首を傾げた。
「君、こんなとこで何してんの?」
「あ……っ、え……」
男の声に責める色はなかった。だが、部屋を勝手に使っていたことに少しばかり後ろめたさのある洸太は、話しかけられたことで余計に動揺してしまう。
何と答えるべきか。グルグルと考えているうちに近づいてきた男に焦り、洸太は慌てて立ち上がって画材やスケッチブックを纏め始めた。
「あ、ちょ、待て待て!いいよ、使ってて大丈夫」
「え……や、でも、その……」
「いいって。な?ほら座って。何描いてたの?見せてくれよ」
「あ……」
動き出そうとする洸太を慌てて引き留めた男は、逡巡する洸太の肩を掴んで再度椅子に座らせる。その表情は怒っているというよりむしろ楽しげで、叱られるわけではなさそうだと洸太は肩の力を抜いた。
洸太が顔色をうかがっている間に、見知らぬ男はすぐ前の席を陣取り、洸太のスケッチブックをパラパラと捲って勝手に絵を眺めている。
許可もなく絵を見られたことに対して、洸太の脳内は男への文句で溢れかえった。だが、人見知りの洸太にはそれを口に出す勇気もなく、男の挙動を見つめるばかり。
しばらく互いに無言の時間が流れていたが、やがて何枚か見るうちに男が小さな声でへぇ、と呟いた。
その声の意図するところを悪い方向へと想像してしまい、洸太はかぁと頬に血が登るのを感じる。
内気な性格のせいで友人が少ない洸太にとって、美術部の先輩以外の人に絵を見られるのは初めてのことだった。
自分の絵は上手いのか、下手なのか。この人の目にはどう見えているのか。
やがて、一昨年の紅葉狩りの時に部内の共通課題で描いた紙一面に広がる紅葉の景色を見ながら、男が口を開いた。
「これ好きだなぁ……君、絵、上手いんだな。これ独学?」
「え、と……小さい頃、少しだけ習ってて……」
「へぇー!そんでこんなに描けるようになったの?すげぇなー!」
感心したように一枚一枚褒めながら絵を見る男は、心からそう思っているようだった。初対面の見知らぬ人に絵を褒められるなんて初めてで、自分のことを知らない人から見ても世辞抜きに良いと思ってもらえるのか、と照れくさくなる。心の奥底から温かい気持ちが溢れてくるような気がした。
なんだか無性に嬉しくなってすこし気が緩んだらしい。気になっていた質問がようやく口からスルッと出てくれた。
「あの、先生……ですか?」
すると、男はきょとんとした顔で洸太を見た。
気が抜けたような表情は妙にあどけなくて、大人っぽい顔立ちに幼さを滲ませていた。その顔を何故かかわいいと思ってしまって、洸太は内心で戸惑う。
男はややあって納得したように頷くと、ニカッと音がしそうなほど崩れた笑顔で洸太を見た。
「あぁ!自己紹介してなかったな!数学の広方先生、産休に入るって聞いてる?復帰されるまでこの学校で教えることになったんだ。羽山星。よろしくな」
「羽山先生……」
口のなかで繰り返すように呟いた。
数学の先生なのか。広方は洸太のクラスの副担任だから、産休を取ることは知っていた。
代理の先生が来るだろうとも言われていたけれど、それがこの人だったとは。
一人でうんうんと納得していると、男――羽山はスケッチブックを閉じて洸太の顔を覗き込む。
「君の名前は?何年?」
「あ……えっと、3年、2組の戸田……です」
「戸田な。あれ、2組か。じゃあ俺の副担任のクラスだなぁ」
どこか嬉しそうにニッと笑った羽山の笑顔に、洸太は一瞬ドキッと心臓が跳ねた。
おかしな音を立てる胸を無意識に押さえる。
やはり羽山が副担任になることについても、心のどこかでそれを嬉しく思う自分にも気がついた。
「戸田、放課後はいつも美術室いんの?」
「あ、いえ、火曜日と金曜日だけ……他の日は塾があるので」
「あ、そっか。受験生だもんなぁ」
こくりとうなずく。受験。聞くだけで憂鬱な気分になるその言葉に洸太はやや俯いた。
落ちた視線の先、机の上に置かれた羽山の手には指輪が鈍く光っていた。節の立った左手の薬指の付け根を飾る指輪はシンプルだが美しい。
結婚しているのか。
途端、胸が微かな痛みを訴えて洸太は内心で首をかしげた。
この痛みはなんだろう。心臓をぐっと掴まれたように苦しくて、息が浅くなるような、不思議な感覚。
考え込んでいるうちに、いつのまにか険しい顔をしていたらしい。洸太の顔を見た羽山は、ハッとしてスケッチブックを机の上に戻した。
「悪い、描いてる途中だったんだよな。邪魔してごめん」
「あ、いや、邪魔とかでは……」
「んじゃ、俺は巡回に戻るけど、あんま暗くならないうちに帰れよ」
ぽむ、と洸太の頭の上に大きな手が乗った。立ち上がった羽山の腕が自分の方に伸びているのを見て、あぁ撫でられたのか、と気がつく。
なんだか急に熱くなった頬をそのままに、洸太は無意識のうちに羽山を呼び止めていた。
「せ、先生!」
「ん?どした?」
「あの……今描いてる絵も完成したら、また、見てもらってもいいですか……?」
驚いた羽山の顔を見て、洸太はさらに頬が熱くなるのを感じた。理由もわからず欲求のままに動いてしまった自分が今更恥ずかしく、頭を抱えてしゃがみこんでしまいたい衝動にかられる。しかし、
「おーもちろん!楽しみにしてるな!」
羽山はそんな洸太の様子に頓着することなく当然のように笑顔で頷き、頑張れよ、と言うと教室を出ていった。
先生、……羽山先生。
つい先程撫でられた頭に触れる。がっしりした手の感触がまだ残っている気がして緩む頬を抑えきれずに、洸太はしばらくその場に突っ立っていた。
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