おバカの坂道

Tonta

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夜の不安 朝の苦痛

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   午前二時。明日も仕事なのに眠れない。
今夜も仕事のストレスに押し潰されそうだ。目が覚めたら、また仕事だと考えると、気分が悪くなるくらい胸の中が渦巻く。 行きたくない!行きたくない!
 もう辞めたい!毎晩そう考えながらいつの間にか寝ている。
  こんな気持ちで働いているのは僕だけなんだろうか?自分のしたい事を仕事にしている人はどれくらいいるのだろう。
分かっている。どんな仕事でも大変だ。そんな事は分かっている。下らない事ばかり考えてしまう。
    「ピッピッピッピッ」携帯の目覚ましが鳴る。今日も寝不足だ。何より心が重い。僕は仕事着に着替え、アパートを出る。車のエンジンをかける瞬間 気が重くなる。朝飯は毎日通勤途中のコンビニですます。体に悪そうな チキンにおにぎり。これが美味い。
    会社に着き 車を降りると、先輩の永山さんに声を掛けられた。
永山「宗詩!どうだ調子は!最近元気ないみたいだが、壁にぶつかってんじゃないのか!」

    僕の名前は 立花  宗詩「そうし」。
建設会社で働く23歳だ。地元の小さな田舎町で いろんなアルバイトを経て、父の知り合いである永山さんの口利きで現場監督見習いをやっている。今年で2年目だ。
 
 永山さんはベテランの現場監督であり 、
会社の役員でもある。。社内で唯一、心許せる存在だ。僕は少し下を向いて話した。
   宗詩「自分、この仕事、向いてないんじゃないか・・・そう考えてて・・・」

永山さんは、少し笑いながら話した。

   永山「俺もそうだよ!金さえあれば 仕事なんかしてないよ。それでも仕事しないと嫁と子供がいるからな。稼がないと・・・みんな 一緒だよ。どうだ!たまには飲み行くか?日曜は休みだろ?土曜の夜はどうだ?話し聞いてやるよ。」

   僕は永山さんと飲みに行く約束をした。
自分の気持ちを少し吐き出したせいか、気持ちが少し楽になった。

   そして土曜の夜に、会社近くの居酒屋で永山さんと待ち合せた。まだ永山さんは来ていない。僕は席を取り永山さんを待った。待ち合わせの時間より15分くらい遅れて永山さんが来た。
     永山「遅くなってすまない!明後日の段取りで手間食っちまって!」

     二人ともビールを注文し、乾杯をした。そして僕はすぐに話し始めた。今の心境。仕事に対する思い。今後やっていく自信が無い事を。
   長い時間話した。僕は仕事に対する全ての思いを吐き出した。
永山「わかった!でも会社を辞めるのはダメだ!もう少し踏ん張れ。ちょうど今、新しい部所で人材 捜しているんだが そっちに行ってみるか?」
  部所?現場と事務以外に部所は無いはずたが。僕は返す言葉が見つからない。
永山「今度、会社で飲食店を出す事になってるんだ。それで、信用できる社員をそっちに 二人ほど 出したいんだが、畑違いの仕事で誰も行きたがらないんだよ。社長に掛け合ってやるよ。」 
  飲食店?そう言えば前に聞いたような気がする。
  詳しく話を聞くと、会社が事業展開するみたいだ。飲食店にグループホーム。他にも計画があるらしいが、その先駆けが飲食店らしい。すでに工事も着工していて、3ヶ月後にはオープンの予定だそうだ。詳しい話は上層部の人しか知らない らしい。
    永山「辞めるのは簡単だ。向いてなければ、無理に続ける必要もない。お前の人生だ。 けどな、やりたい事が決まって無いなら、そこで働け!仕事ってのはどんな職種でも、計画や準備、それが全てだ。結局、段取りなんだよ。そして最後に技術が乗っかる。次のステップまで そこで学べ!無駄にはならないと思うぞ。それでも嫌なら辞めればいい。」
   
    その時、僕は考えた。会社を辞めるつもりだったから、辞める言い訳を必死で考えた。でも 僕は断る事が出来なかった。と言うより断る理由が考えつかないし、言葉が何も浮かばなかった。そして、嬉しさと言うか、感謝 と言うか、よく分からないが、そんな気持ちが漂った。

    僕は、「よろしくお願いします。」
そして、深々と頭を下げた。永山さんは小さくうなずく。
   永山さんは「嫌ならやめればいい。」と言ったが、簡単に辞める人間を新事業に推薦はしないだろう。少しは信用されて いるんだろうか。
    それから、話題が一気に変わり、趣味の話や過去の失敗談など、遅くなるまで話した。

     帰り道、飲食店の中身について何も聞いてない事に気付いた。居酒屋?うどん屋?ラーメン?ファミレス?何だろ。
      まぁ!いい!僕は気にしない事にした。   なるように、なるさ!  
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