元廃人、過去に戻ってやり直す!

藤柳龍笛

文字の大きさ
1 / 3

1話 過去へ

しおりを挟む
 毎日たんたんと過ごしていく日々。俺はそれがひどくつまらなかった。いつもどこかで新しい刺激を求めている自分がいた。

 そんな時に俺の人生に光をくれたゲーム『World Ruler  Online』通称WROがリリースされるというニュースがあった。

 俺はWROをリリース当日からプレイし、借金をするほど、どんどんのめり込んでいった。

 WROは7つ大陸を舞台に人族、エルフ、ドワーフ、獣人、魔族、魔人族などさまざまな種族になることができ、職業も皇帝や王、商人や鍛冶屋、冒険者や盗賊などさまざまなものになることができた。
活躍し名声を高め、さまざまなものを売り買いし、お金を稼ぐなど数々の楽しみ方があり、自由度が圧倒的に高かった。

 また、WROにはたくさんの企業が参入し、莫大な金が動き、数十億稼ぐプレイヤーも現れていた。

 そのようなことから、WROは第二の地球、新世界などと呼ばれた。

 WROのコンセプトである「7つの神器を全て集め、この世界の支配者になれ」とあるがリリースされて3年経っても神器は2つしか見つかっていなかった。

 さらに、神器はただでさえ、入手するには困難な最高難易度の塔やダンジョン、ドラゴンや神獣の住処などにあると予想されていた。
 
 また、そういった場所はレベルMAXの冒険者や剣士、魔法使いなどの戦闘職のプレイヤーが最低でも100人以上いなければ絶対にクリアできないと言われていた。
 そのため、7つの神器全てを手に入れるプレイヤーは出ないのではないかと囁かれていた。

 しかし、WROリリースから7年以上経ったある時、7つの神器を全て手に入れたというプレイヤーが現れた。

 その情報が世界中に一気に広まり、連日ニュースなどで取り上げられ、そのプレイヤーは圧倒的な富や名声を手に入れた。

 だが、それだけでは終わらなかった。
 そのプレイヤー「ジェームズ・シンガー」は世界で初めて『支配者』という職業についた。
 そのことから、はじめの頃は世界中のプレイヤーから羨望や憧れの眼差しで見られていた。
 それは俺「天沢拓弥」も変わらなかった。

 しかし、そこから歯車が狂い出した。
 ジェームズ・シンガーは『支配者』の力を私利私欲のために使い出し、この「World Ruler  Online」の世界を自分の都合の良いように作り変えていった。
 
 まず、シンガーは『支配者』の権限でWROの世界に自分に都合の良い法をつくった。
 その法を破った者はプレイヤーだったら3日以上ログイン不可などで、NPCだったら罪に問われて、処刑などだった。
 こうした出来事でどんどん不満が溜まっていき、10億人以上のプレイヤーがいたWROはゲーム人口を半分ほどまで減らした。 

 また、シンガーは自分に都合が良く、利用価値があるプレイヤーやNPCを集め、『支配者』の力で強化して最強の軍隊をつくっていった。

 そして、また事件が起きた。
 シンガーは自分のつくった軍隊で、自分の気に入らない者や国や組織を徹底的に粛清していった。
 この出来事でプレイヤー数はとうとう1億人以下となり、WROはどんどん衰退していった。

 残ったプレイヤーたちはNPCたちと協力し、反乱軍をつくり、支配者たちに立ち向かっていった。

 だが、支配者の軍隊のプレイヤーやNPCは、『支配者』の力で強化され、反乱軍のトッププレイヤーたちの2倍以上のステータスがあり、また、軍隊の人数もとても多かったため、7大陸の各地で起こった反乱は圧倒的な力でねじ付されていった。
 そして反乱したプレイヤーやNPCはその多くが殺された。 
 俺もその中にいた。

 このような出来事が起きたため、プレイヤー数も数えるほどしかいなくなった。
 そして、世界的ゲーム『World Ruler  Online 』を13年という長きに渡って提供していたNSTグループは2週間後にサービスを終了することを発表した。

 「クソッ!あいつのせいでWROが終わっちまう。」
    
 俺は壁にゲーム機を叩きつけて憤怒に燃えていた。
 
 俺のクソな人生の唯一の光だったWROが!
 
 「はぁ~」

 もう生きてる意味がない。
 家族も友達もいない俺にとって唯一の希望だったWROが無くなったら、生きる糧すらなくなったら、もう終わりだ。うん、もう終わりにしよう。

 俺、『天沢拓弥』はWROのサービス終了日に自殺した。














 目を覚ます。
 
 「えっ!」

 おかしい。
 俺はさっき確かに死んだはずだ。なのになんで、まだ生きてるんだ?
 よし、一度冷静になろう。まずは現状の確認だ。

 拓弥はスマホを手に取り、日付を確認しようとした。

 「えっ」

 拓弥が覗き込んだスマホの画面に映るのは10年以上前の若い頃の自分の顔だった。
 
 「どういうことだよ」

 はぁー、頭が痛い。
 いや、まずは確認が先だ。

 拓弥はスマホの電源を入れ、日付を確認する。

 [2027年 6月1日]

 「なっ」

 2027年6月1日だと!
 そんなの忘れもしない。WROのリリース当日だ!
 
 「つまり、俺は過去に戻ったということか?」
 
 拓弥は少し考える。

 「ふふ、誰かは知らないが感謝するよ。」

 俺は過去のリリース当日に戻ってきた。つまり、支配者も世界ランカーたちもまだいないということだ。

 「最高だ」

 拓弥は歓喜した。
 今度こそ、前世のゲーム知識とテクニックを使って世界ランカーになってやる!
 そして、シンガーより先に7つの神器を全て集め、俺が支配者になり、シンガーの過ちを繰り返さないようにしっかり支配者の力を使いこなして、新世界で成り上がってやる!
 
 拓弥は新たな自分に誓いを立てるのであった。

 
 
 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

姉妹差別の末路

京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します! 妹嫌悪。ゆるゆる設定 ※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...