息子の彼氏にクレームをつけにいったら、そのパパに美味しくいただかれました

兎騎かなで

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第二章

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 ローションがぐちゅぐちゅとわざと音が立つように穿たれて、耳まで犯されている気分だ。

「うっ、あ! んっ、ん」
「心地いい……貴方の中は温かく吸いついてきて、とても具合がいいですよ。まるで私を歓迎しているかのようだ」
「そんな、ことは……っん」
「貴方のことをもっと知りたい。誰も知らない貴方を全て私に見せてほしい。貴方の一番側にいる権利がほしいんです……ねえ郁巳」
「や……っ、駄目!」

 砂糖を溶かし込んだような甘ったるい声色でそんなことを囁かれても、応えられない。妻のことを抜きにしても、こんな一見紳士で中身はド変態な相手とつきあうなんて、僕は絶対にごめんだ。

「そうですか、残念です……ですが、頭ではそう思っていても身体は正直なようですよ? 私に抱かれることをこんなにも悦んでいる……」
「ぁ……っ!」

 焦らすように緩く腰を動かされているだけなのに、性懲りも無くまた持ち上がりはじめた前を見咎めて、巽は容赦無く責め立ててくる。

「よ、悦んでなんか、いない……っ!」
「そうでしょうか……?」
「そうだっ、そもそも僕は雰囲気に流されただけであって、お前のことなんか好きでもなんでもな……んあっ! あ、そこやめてぇ!」

 言葉を遮るかのように、急に巽は律動の速度を上げた。前立腺を抉るように容赦無く腰を打ちつけられて息を詰める。

「んんんっ……!」
「強情な人ですね……やはり身体から堕とすしかなさそうだ」
「いっ、ぁあ!」

 乳首をすりすりと指の腹で擦られて、中のいいトコロを押され続けているうちに、また頭の中が気持ちいいことでいっぱいになっていく。イキたい、射精したい、それだけを求めてリズムを合わせるように腰を振り始めた僕を、巽は嗤った。

「郁巳さん、気持ちいいですね……? 気持ちよければ誰でもいいんですか?」
「ちが……っ! 僕は……」
「違いますよね? 私にされているからこそ、貴方はここまで感じているんですよ」
「お前なんか……!」
「お前じゃありませんよ、巽と呼んでください」
「っ嫌だ!」
「では、呼びたくなるようにしてあげましょう」

 にっこりと微笑んだ巽は、僕が汗でべとべとになるまで何度も何度も中を突き上げた。とっくに日が落ちて暗くなった室内で、巽は獣のように僕を貪る。

「あ、ぁふ……っん、ん」
「気持ちいいですね、郁巳さん」
「ん、気持ちい、いい……んぅ」
「気持ちいいことが好きなんですね」
「好き……ん、それ好きぃ」

 とろけた頭で、ナカを剛直に掻き回されながらうっとりと返事をする。もうずっと中を擦られ続けて、イけそうでイけないとろ火で炙られるような快感に包まれて、まともな思考も働かない。

 巽は僕の両足を抱えて、深く差し込むように腰を押しこんだ。突きあたりを先端でノックされて、一瞬息を詰める。

「……っ」
「それなら、気持ちよさを与えてくれる私のことも、好きってことになりませんか?」
「好き……? んぅっ」

 待って、今ビリビリと腰に電流が走っていて、話どころじゃない。それなのに巽はしつこく話しかけてくる。

「そう。私のことが好きですよね?」
「私って……」
「巽です。呼んでください、郁巳」
「巽……さん」
「はい」

 巽は愉悦混じりの声で返事をすると、ますます熱心に僕の中へ雄を抜き差しした。きゅうんと彼の熱杭を歓迎するかのような内壁の動きを、自分では止められない。

「はあぁ……っ!」
「くっ……そろそろ私も限界のようです」

 僕の動きに煽られるようにして、巽が抽送を速めた。息を乱しながら奥を穿たれ翻弄される。

「ぁ、あっ、すごいぃ……っ!」
「郁巳さん、郁巳……っ!」
「ひっ、あ!」

 ごちゅんと思いきり突き動かされて、脳裏に火花が散った。薄くなった精液が、ぴゅるりと鈴口から漏れていく。

 巽がゆっくりと雄を引き抜いた。彼はたっぷりと白濁液が溜まったスキンをとり去り、ベッド脇のゴミ箱に投げ捨てる。

「ふう、もう少し我慢する予定だったのですが。貴方が魅力的すぎて待てができませんでした」
「……」

 まだ甘く痺れたままの身体で、巽の言葉をボーッと聞いていると、濃厚なキスを施された。舌を差し込まれ、絡めとられてなぶられる。僕はうっとりと巧みなキスに酔いしれた。

「ん、ふ……」
「はぁ、郁巳さん……」
「んぅっ……」

 ああ、どうして僕はされるがままにキスを受け入れているんだろう。頭ではそう思うのに、舌を熱心に絡めるばかりで止めたいなんて全然思わなかった。

 巽は思う存分口内を舐め尽くした後、やっと唇を離した。

「ねえ、やはり貴方は私のことが好きなんですよ。好きじゃなきゃこんなにも感じないはずです」
「そん、な……そんなはず、ない、だって、僕が好きなのは夏葉であって、巽さんじゃない」
「夏葉というのは、貴方の元妻ですか?」
「……亡くなってしまったけど、今でも大切な妻だ」

 巽はそれきり黙ってしまい、僕の露出した肩を慰めるように撫でた。普段思い出すことは少なくなったけれど、僕は夏葉が好きなんだ……声すら思い出せなくなってしまった今でも。

 頭ではそう思うのに、巽が与えてくれる人肌のぬくもりが心地よくて離れ難かった。なぜだろう、僕はずっと寂しかったのだろうか? だってこんなにも簡単に流されてしまうなんておかしい……

 肘をついた巽に無意識のうちに擦り寄っていることに気づき、ハッと体を離した。巽は誘うようにクスッと笑う。

「いいんですよ? いくらでも肩をお貸しします」
「いや、いい……帰る」

 これ以上ここにいたら、変な気分になってしまう。もっと甘えてみたい、だなんて……いや違う。僕はそんなことは思っていない、断じてない。

 緩慢な動作で起き上がると、巽も体を起こした。なぜか意外そうな顔をしている。

「もう帰るんですか? よかったら夕飯を召し上がっていってください。汗を流している間に用意しますよ」
「馬鹿なことを言わないでくれ、そろそろ貴方の息子が帰ってきてもおかしくない時間じゃないか」
「そうでしょうか? 確認してみましょう」

 巽はベッドサイドのチェストに放置していたスマホを眺めると、フッと唇を歪めた。

「夕飯の後はカラオケに行ってくるそうです」
「あいつら……受験生の自覚はないのか?」
「恋にうつつを抜かして勉強をサボるなら問題ですが、そうでないなら容認しましょう」
「はあ……風呂場はどこだっけ」

 汗をかいたし、カピカピになった白濁がお腹周りに張りついているから、借りられるのであれば使わせてもらいたい。

「案内しましょう。こちらです」

 巽に案内されて風呂場に辿り着く。白く清潔で、うちより広い浴室を目の当たりにすると、前回巽に襲われた記憶を思い出し、ボボっと顔が茹蛸のように真っ赤になる。

「も、もうしないからな。絶対に入ってくるなよ」
「それは暗に誘っているんですか?」
「違う! 何考えてるんだ、まったく」

 カッカと頭から湯気を出しながら怒っていると、巽はスマートに僕の脱がされた服やタオルを用意してくれた。

「もっと貴方を味わいたいのはやまやまですが、これ以上時間をかけると夕飯を食べ損ねそうですからね。今日はやめておきましょう」
「今日だけじゃなくて、今後もやめてくれ」
「なぜです?」
「なぜって……」

 心底不思議そうな顔をしている巽の反応を見て目を疑った。僕がこんなに拒否しているのに、何一つ伝わっていないだって?

「……いい、とにかく風呂借りるから」
「ごゆっくりどうぞ」

 裸で言い争うのはよくない、春といえども流石に寒くなってきた。浴室に入り、ボディーソープを泡立てて腹回りを念入りに綺麗にする。

 流されてしまうから誤解されるんだ。次こそ本気で、毅然とした態度で断ろう。そう決意をしてから浴室を出た。
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