虎獣人から番になってと迫られて、怖がりの僕は今にも失神しそうです(した)

兎騎かなで

文字の大きさ
36 / 43

恋人ならもっと触ってもいい?

 ハッとしたようにすぐに柔い力に変えられて、じわじわと力を調整しながら抱きしめられる。

「シズキ、シズキ……! 俺の番になってくれるの?」
「番……は、正直なところよくわからないんだけれど。友達じゃなくて、もっと近づきたい」
「うん、そうしよう! まずは恋人同士になろうよ」
「恋人……」

 甘い響きの言葉に胸が高鳴った。タオとつきあうなんて考えたこともなかったけれど、嬉しいと素直に思える。

「うん、恋人になろう」
「やった! 今日から静樹は俺の恋人だ……!」

 タオは噛み締めるように言葉を繰り返した後、勢いよく静樹に振り向いた。

「恋人ならもっと触ってもいいってことだよね?」
「えっと……うん、いいと思う」

 恋人なら触れ合っても、何もおかしなことはないはず。再び頷くと、タオは静樹を寝台の上に押し倒した。

 長くざらりとした舌で頬を舐められて、未知の感触にうひゃあと情けない悲鳴が上がる。

「えっ、なに? 痛かった?」
「い、痛いわけじゃなくて……びっくりしただけだから」
「本当に? 大丈夫?」

 何度も頷くと、タオは納得してくれたらしい。グッと表情を引き締めながら、真面目な顔で静樹の服を脱がしにかかった。

「少しでも痛かったらすぐに言ってね。今めちゃくちゃ興奮してるから、傷つけたくないんだ」

 不器用な彼がもたもたとボタンを外すのを、胸を高鳴らせながら見守る。こういう時どうするのが正解なのかわからなくて、ただ身を固くして彼のすることを見守っていた。

(どうしよう、タオがすごく積極的で……こんな急にって思うけれど、嫌じゃない)

 尻尾が荒ぶってくねくねしているのが、視界の端に映る。彼の興奮具合を表すように、激しくうねっている。

 求められているのが嬉しくて、静樹は戸惑いながらも彼の行為を受け入れた。

 上衣を脱がされて地肌に空気が触れた。寒さと緊張から鳥肌が立ってしまう。

「シズキの肌、すごく綺麗だ……どこもかしこもすべすべで、いい匂いがする」

 前に水浴びの時、彼の前で服を脱いだ時はなんとも思わなかったのに。今は見られていることがこんなにも恥ずかしい。静樹は胸を高鳴らせながら彼から視線を逸らした。

 タオは静樹の裸の上半身をじっくりと眺めた後、静樹の右腕上腕に目をとめる。

「もしかしてここが噛まれたところ?」
「あ、うん……」

 引き攣ったような傷跡が今も薄く残る場所を、タオは肉球の盛り上がった手でそっと触れた。

「今は痛くない?」
「うん、大丈夫」
「こんなに綺麗な肌に跡が残るくらい噛みつくなんて、酷い。俺が側にいたらシズキに凶暴な獣を近づけなかったのに」

 傷跡を慈しむように撫でられて、心の奥がじわりと熱くなる。真剣に嘆く彼に、思わず微笑みかけた。

「今度からは、タオが守ってくれるんだよね? 奇怪獣から守ってくれたみたいに」

 ピクリと反応した背を、静樹はゆっくりと抱きしめた。

「怖くなかったかって言うと、嘘になる……本当は恐ろしかった。でもそれはタオが怖いんじゃなくて、当時噛まれた時の痛みや恐怖を思い出しただけなんだ」
「シズキ……」

 悲痛に歪んだ海色の瞳を、真っ直ぐに見返した。

「タオに触られるのは、怖くないよ」
「……もっと触っても大丈夫?」
「うん」

 頷くとさっそく脇腹からお腹にかけて手のひらで撫でられ、肩を竦める。淡く色づいた胸の尖りを肉球が掠めて、びくりと指先が跳ねた。

「ここ、尖ってるね」

 指の背でそっと触れられると、羽毛のような毛がくすぐったくて敏感に反応してしまう。たちまち固くなった乳首を摘まれて、堪えきれずに甘い声を漏らした。

「ふぁっ」
「……シズキ、気持ちいい? 声がとろけてる」

 唇を噛み締めながら首を縦に振ると、ますます熱心に胸を弄られた。弾力のある肉球に摘まれ押され、静樹は内心喚きながらも手を口に当てて声を押し殺す。

「どうして我慢するのかな? かわいい声を聞かせてよ」

 ギシリと寝台が軋み、タオが顔を胸の前まで寄せた。チロリと口の中からのぞいた舌を見て、彼のしようとしていることを察する。
感想 10

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。