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白は幸福の証
帰りがてら市場を一通り練り歩いたが、やはりもやしは売ってはいなかったので、代わりに大豆によく似た豆を買ってみた。これを暗闇で育てればもやしになるかもしれない。
「芽が出るのは春だろうね」
「冬の間は大事に取っておこう」
荷車を引くタオの横で、静樹は豆の袋を抱えて歩く。もやしと言えばと反射的に脳裏に浮かんだ話を、タオにしてみた。
「僕ね、昔もやしみたいって揶揄われたことがあるんだ」
「そうなんだ?」
「白くて細くて、頼りないでしょう? だから」
自身の細い手首に視線を落としながら告げると、タオは頭を撫でてくれる。
「白くて細くて綺麗の間違いじゃない? 人間に頼り甲斐がないのは普通のことなんだし、むしろ頼ってもらえるのが嬉しいから、頼り甲斐なんてなくていいと思うな」
「……はは、そっか」
タオにかかれば、静樹の頼りないところも臆病で引っ込み思案なところも、可愛いポイントの一つになってしまうらしい。
荷車を引く大きな手を、ちょっとだけ撫でてみた。冬毛になりますますモフモフになった手の甲の肌触りにうっとりして、自然と微笑みが溢れる。
「帰ったらまた、ギュッとしてくれる?」
「帰ったらなんて言わずに今でもいいよ! そんな可愛いこと言われたら、今すぐ抱きしめたい!」
「わっ⁉︎」
タオは荷車を放りだす勢いで下ろして、シズキのことを踵が浮くくらい情熱的に抱きしめてくれた。
荷車の取手が地面の岩にぶつかって重い音を立てると、森で木の実をつついていた小鳥達が驚いて一斉に飛び立っていく。
白い羽根が空に舞って、まるで天使が祝福してくれているみたいだなんて、柄にもないことを考えた。
「わあ……」
「羽根がたくさん落ちてきたね。一緒に服に縫い込んじゃおうか、暖かくなりそう」
「それいいね」
二人で羽根を拾って家に持ち帰った。羽毛の感触を指先で楽しんでいると、荷車を納屋に仕舞ったタオが後ろから静樹を抱きしめてくる。
「そんな羽毛より、俺の毛皮の方がもっと触り心地がいいよ?」
「触ってほしいってこと?」
「そうだよ、シズキ大正解」
素直に心情を吐露した愛しい恋人に向き直り、首や耳の辺りの毛を手を伸ばして撫でた。彼は撫でやすいようにかがみながら、ゴロゴロと喉を鳴らす。
重低音のゴロゴロ音は、彼が気持ちよく感じている証拠だから、すっかり大好きな音になってしまった。
(あんなに怖かったのに、ずっと聞いていたいくらい大好きな音になっちゃったな)
冬の間はたくさん彼のことを撫でて過ごそう。幸せな未来予想図に頬を緩めた。尻尾に頬擦りしながら、甘くとろける海色の瞳に微笑みかける。
「ずっと一緒にいてくれる?」
「もちろん! 冬の間もその後も、ずっとずっと!」
やがて冬になり、雪が降り始めた。例年は手足の先が冷えてしょうがない静樹も、今年の冬は身体も心もほかほかだ。
彼の手作りの衣装と彼自身の体毛のおかげで、ぬくぬくと過ごせている。
窓の外が明るくなってまどろみの中から目覚めると、健やかに寝息をたてる白い虎が目の前にいる。
静樹は牙まで見えるくらい大口を開けて、油断しながら寝ているタオの姿を微笑ましく見上げながら、大好きな彼の尻尾を抱えて二度寝した。
「芽が出るのは春だろうね」
「冬の間は大事に取っておこう」
荷車を引くタオの横で、静樹は豆の袋を抱えて歩く。もやしと言えばと反射的に脳裏に浮かんだ話を、タオにしてみた。
「僕ね、昔もやしみたいって揶揄われたことがあるんだ」
「そうなんだ?」
「白くて細くて、頼りないでしょう? だから」
自身の細い手首に視線を落としながら告げると、タオは頭を撫でてくれる。
「白くて細くて綺麗の間違いじゃない? 人間に頼り甲斐がないのは普通のことなんだし、むしろ頼ってもらえるのが嬉しいから、頼り甲斐なんてなくていいと思うな」
「……はは、そっか」
タオにかかれば、静樹の頼りないところも臆病で引っ込み思案なところも、可愛いポイントの一つになってしまうらしい。
荷車を引く大きな手を、ちょっとだけ撫でてみた。冬毛になりますますモフモフになった手の甲の肌触りにうっとりして、自然と微笑みが溢れる。
「帰ったらまた、ギュッとしてくれる?」
「帰ったらなんて言わずに今でもいいよ! そんな可愛いこと言われたら、今すぐ抱きしめたい!」
「わっ⁉︎」
タオは荷車を放りだす勢いで下ろして、シズキのことを踵が浮くくらい情熱的に抱きしめてくれた。
荷車の取手が地面の岩にぶつかって重い音を立てると、森で木の実をつついていた小鳥達が驚いて一斉に飛び立っていく。
白い羽根が空に舞って、まるで天使が祝福してくれているみたいだなんて、柄にもないことを考えた。
「わあ……」
「羽根がたくさん落ちてきたね。一緒に服に縫い込んじゃおうか、暖かくなりそう」
「それいいね」
二人で羽根を拾って家に持ち帰った。羽毛の感触を指先で楽しんでいると、荷車を納屋に仕舞ったタオが後ろから静樹を抱きしめてくる。
「そんな羽毛より、俺の毛皮の方がもっと触り心地がいいよ?」
「触ってほしいってこと?」
「そうだよ、シズキ大正解」
素直に心情を吐露した愛しい恋人に向き直り、首や耳の辺りの毛を手を伸ばして撫でた。彼は撫でやすいようにかがみながら、ゴロゴロと喉を鳴らす。
重低音のゴロゴロ音は、彼が気持ちよく感じている証拠だから、すっかり大好きな音になってしまった。
(あんなに怖かったのに、ずっと聞いていたいくらい大好きな音になっちゃったな)
冬の間はたくさん彼のことを撫でて過ごそう。幸せな未来予想図に頬を緩めた。尻尾に頬擦りしながら、甘くとろける海色の瞳に微笑みかける。
「ずっと一緒にいてくれる?」
「もちろん! 冬の間もその後も、ずっとずっと!」
やがて冬になり、雪が降り始めた。例年は手足の先が冷えてしょうがない静樹も、今年の冬は身体も心もほかほかだ。
彼の手作りの衣装と彼自身の体毛のおかげで、ぬくぬくと過ごせている。
窓の外が明るくなってまどろみの中から目覚めると、健やかに寝息をたてる白い虎が目の前にいる。
静樹は牙まで見えるくらい大口を開けて、油断しながら寝ているタオの姿を微笑ましく見上げながら、大好きな彼の尻尾を抱えて二度寝した。
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12さん、たくさんのご感想ありがとうございます〜励みになります(*^^*)✨
癒しになったのならよかったです!