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プロローグ
1:タダナオ ※
しおりを挟む小さい頃から不思議な物が見えた。
幽霊とか妖怪とか妖精とか、物語に出てくるファンタジーな動物とか。
家族も当たり前のように見えていたから、それが普通なんだと思っていた。
でも、ソイツらが見える方が可笑しいんだって思い知らされることを何度か経験すると、自分が『人間』じゃないみたいで凄く嫌になった。
だけど、分かった時にはもう遅くて、俺は周囲からはぶかれたり嫌がらせを受けるようになっていた。
嘘つき、化け物。それが浴びせられる常套句で、物がなくなったり殴られたりは日常茶飯事。毎日学校に行くのが嫌だった。
家族は通過儀礼だからと真面目に受け取ってくれなかった。それくらい自分でいなせっていうのが決り文句で、どんなに助けを求めても何もしてくれなかった。
そんな家が、俺は大嫌いだった。
家族は頼りにならない。不思議生物はもっと頼りにならない。アイツラは慰めはするけど、それだけで実効性のある何かをしてくれたことは一回だってなかった。
傍にいられるだけで苛々したし、俺が酷い目に遭ってるのはコイツラのせいだと思えば次第に態度は冷たくなってって何時しか俺の傍に不思議生物は寄ってこなくなっていた。
俺は『普通』になりたかった。
不思議生物なんてまるで縁のない世界で生きたかった。
だから必死に勉強して供給型の奨学制度のある高校に進学した。幸いにもそこは寮もあって、俺は家を離れて生活することになった。
普通になるのは大変だった。
不思議生物は何処にでもいて、ソイツらと目を合わせないようにクラスメートと接するのは結構骨が折れた。
人間の友だちが出来たのは高校になってからだ。
なかでも和臣(かずおみ)は親友とも呼べる仲になった。
俺も普通に友だちが出来るんだと喜んだ。
「…………あっ!」
「駄目だよ、正直(ただなお)。こっちに集中しないと。香織にまた下手くそって言われちゃうよ?」
ニンマリと笑い下肢を撫でる和臣に、俺はなんとも言えない気持ちになった。
和臣とは寮の部屋をシェアするルームメートでもあった。
人見知り通り越して人間不信気味だった俺を何くれとなく気にかけてくれたのが和臣だ。
俺は普通に接してくれる人間と長時間触れ合うのが初めてで、あっという間に舞い上がってしまった。
浮足立って馬鹿をする俺を和臣は見捨てなかった。
人間の一般的な生活の指針は和臣だった。
だから、和臣の言うことは何でも聞いた。購買での買い物やバイト先を何処にするかも全部和臣と相談して決めた。
そのうち、俺には女性経験がないことを露呈して、和臣は真面目な顔をしていった。
それは不味いぞ。女の気持ちを分からないのは一生童貞ってことになる。それは異常だ。普通になる為には女の気持ちを分かっておかないと。
そう言われて、俺はあっさり和臣に股を開いた。
それは大学生になって共同生活している今も全く変わりなく続いている。
「かず、おみ……、も、やめ………!」
蕾には和臣の太い茎がずっぷりと嵌っている。
上下左右に動く度、ぐじゅぐじゅと粘着質な破裂音がして得も言われぬ快感が体の中を駆け巡る。
嫌だと頭を振っても、和臣はやめてくれない。
それどころか嘲笑って根本まで茎を挿し入れると円を描く様に腰を動かして俺の中を蹂躪していった。
「あっ、あっ、あっ、やら、それ、やらあっ!!」
「気持ちいいだろ? 女はこれくらい激しくされるのが好きなのさ」
「おれは、やらっ、おかしくなゆ、の、や!」
「分かってないなあ、お前の気持ちとかどうでもいいの!」
一際大きくグラインドした次の瞬間、バチュンと音を立てて俺と和臣の結合部分から飛沫が上がる。
透明な粘液と真っ白な粘液が混ざり合って体中にまとわりついていく。
高校生の時もこうして体を繋げていたけれど、大学に上がってからは毎日のように体を繋げてる。
理由は何時も同じで、俺が女の気持ちを分かるようにって和臣は言って色んなことをしてくる。
俺に彼女が出来ても行為はずっと続いてて、彼女が俺の行為が下手くそだって愚痴ったのを口実にレッスンと言っては所構わず体を繋げる。
それが普通だって和臣は言う。
俺も最初はそうなのかって納得したし、今も和臣の言うことには間違いはないと思ってる。
でも、体を繋げる度に彼女の香織に申し訳なくて、罪悪感でいっぱいになる。なのに、体は罪悪感が高まるほど敏感になって、和臣はその状態の俺を作るのを楽しんでいるようにも見えた。
今日は授業もなくて、夕方のバイトだけで終わるけど、何時間も行為に及んでいれば声は枯れるし体力も擦り減る。
それをわかっていて、和臣は俺を抱く。
「らめ、らめ、もうや、らめらってば、やっ、やっ!」
「ほらほろ、嫌がるなよ。香織の良いところ擦ってこうしてやらないと」
「おれは、かおりじゃ、ないっ、あっ、あふっ」
「ばーか。香織の気持ちになって攻め方覚えろって言ってんじゃん。
突きながらココしこってやるとかさー」
「んやあっん!」
俺を突き上げながら、和臣は俺の張り詰めた茎を扱(しご)いて先端を引っ掻いていく。
その刺激に頭の中に電流が走って、体がピンと仰反ると、弧を描いて茎の先端から白い花が咲いた。
「はふっ、はふぅっ、うっ、ん」
「チッ。先にイくとか空気読めねえな。そんなんだから下手くそだって言われんだよ。馬鹿正直」
「いっ!?」
頭を殴られ床に投げ出される。
そのまま髪を掴まれ無理矢理起き上がらされると、和臣の茎が口の中に入ってきた。
「んううっ?!」
「ゆるゆるのケツじゃいつまで経っても此方がイけねえ。お口使ってやるから感謝しろよ、正直」
「ん、んぶっ、んううっ」
俺の呼吸とかどうでもいいと言いたげに、和臣は腰を振って何度も俺の中に白濁を落としていく。
飲みきれなくて、逆流する液体が鼻から溢れるのが凄く気持ち悪い。
嫌だ、嫌だ、これも女の子の気持ちを知る上で必要なことなのかな。
嫌がる俺は異常なんだろうか。普通じゃない生まれの俺は、結局どこに行っても可笑しい人間でしかないのかな。
「おら、きちんと飲み干せよ!」
「んううっ!!」
最後のひと押しみたいに和臣の茎が喉の奥に侵入し、ゴポゴポと音を立てて白濁を胃に注いでいく。
何度も何度も俺が白濁を零さないように茎を擦りつけ、嚥下したのを確認すると漸く和臣は俺から離れていった。
「あー、疲れた。本当、正直は覚えが悪いよなあ」
床に倒れる俺を見ながら和臣は俺に蹴りを入れる。
俺は抵抗する気力もなくて、蹴られるがままだった。
「レッスン料、多めに貰っとくからな」
「あ……………」
「なんだよ、文句ある?」
「…………………」
彼女が出来てから和臣は行為してはレッスン料と称して俺の財布から金を抜き取るようになっていた。
やめてくれと言っても聞いてくれたことはない。
ふるりと首を横に振ると、和臣は「だよな」と言って風呂場に向かって行ってしまった。
「……………ぐすっ」
行為のあとは何時も泣きたくなる。
今生活している部屋は大学の寮ではなく、大学の近くにあるアパートだ。
その一室でルームシェアをしているんだけれど、和臣は費用を出してくれたことはない。
一緒に住んであげている、行為のレクチャーをしてあげているっていうのがその理由だ。
何度かお金を入れてくれって頼んだら「親友にそんなこと頼むなんて可笑しい」とか「友だちやめてもいい」とか言われて諦めるしかなかった。
ルームシェアは部屋の借り主が全部責任を持つものなんだってさ。
そうか。全部折半すると思っていた俺が可笑しいのかって、無理矢理なっとくするしかなかった。
俺と和臣は親友だ。
だから困った時は助け合うし、何でも言い合う。
それが当たり前で、普通だから。
でも、どうしてだろう。
最近、和臣といるととても苦しい気持ちになるんだ。
◎◎◎◎◎◎◎
どうにか部屋を片付けてバイトに行ったけれど、その日は散々だった。
俺のバイト先は雑貨屋なんだけど、そこに有名なクレーマーが来て3時間くらい居座って俺に文句を垂れていた。
俺は普通に接客していたつもりだったけど、何かがお気に召さなかったらしい。
社員や店長まで呼びつけて、挙げ句土下座させられて寫眞まで撮られた。
最終的には買った物をタダにすることで決着がついたけど、休憩時間に入る直前に店長に呼び止められたらあっさりクビを切られた。
「君、明日からこなくていいから」
「店長、流石にそれは!」
「これは決定事項だよ」
庇ってくれたバイト仲間に店長はすげなく言った。
なんならお前もやめちまえくらいの視線で。
俺は「今までお世話になりました」と言って逃げるように休憩室に行った。
理不尽だとか、無茶苦茶だとか文句を言う気力もなかった。
和臣との行為が遠因でちょくちょく凡ミスをするようになっていたし、遅刻や早退もしていたから店長としては都合良いい理由が出来たんだろうなと思った程度だ。
クビになったら、新しいバイト先を見つけないといけない。
俺は今、3つのバイトを掛け持ちしてる。それならひとつくらい潰れても影響はないように見えそうだけど、実際はかなりヤバい状況だ。
家賃は滞納してないけど、和臣に金を取られるようになってから生活費はジリ貧だ。家族とは疎遠だから仕送りなんて夢のまた夢。
どうしたものかな、と思いつつ、持ってきた携帯ゲーム機を起動させる。
いざとなったらこれを売ればいいかなんて考えながらタイトルが出るのを待っていると、バイト仲間の女の子がぷりぷりと怒りながら休憩室に入ってきた。
「もう、店長ってなんであーなの! 信じらんない!
あっ、余良(よすら)君、お疲れ様。災難だったね」
「いや、最近みんなに迷惑かけてたから潮時だったんだよ」
「聞き分けいいよね、余良君は。もっと怒っていいんだよ。なんなら上にパワハラだって言っちゃえばいいのに」
「それをするより新しいバイト先を見つけた方が無駄がないかな」
「薄情ね。っていうか、なにやってるの?」
「ファンタジークロニクル」
「ファンクロ?! ゴリゴリの乙女ゲームじゃない。なになに、余良君てば乙女ゲー男子なの?」
「いや、そういうわけじゃ……」
「じゃあ、腐男子?」
「乙女ゲーやる男子が全部腐男子ってわけじゃないと思うよ。
俺は彼女に攻略を頼まれてプレイしてるだけ。
そういう加藤さんはファンクロ知ってるの?」
「知ってるもなにも、熱烈なファンですよ!」
言って、大きく胸を張る加藤さんに俺は思わずほっこりする。
ファンタジークロニクル。略してファンクロは加藤さんが言ったように女性主人公がイケメンと紆余曲折を経て結ばれる乙女ゲームだ。
シミュレーション要素とRPG要素があり、ステータスとダンジョン攻略で物語が進行していくスタイルになる。勿論、選択肢もあって、その経路によってエンディングも異なる仕様になっている。
ハッキリ言って難易度は高い。でも、起用声優の豪華さとスチルのきらびやかさ、音楽、シナリオ、どれをとっても秀逸な為にファンディスクがいくつも発売される程の人気作でもある。
俺がプレイしているのは初期のリメイク版で、ファンディスクが2枚内蔵されてるタイプだ。
攻略キャラクターは12人。人間も入ればエルフ、獣人や魔族もいる。中には異世界人なんてのもいて、色とりどりのイケメンが揃えられている。
主人公は異世界転移した普通の女子大生。
黒髪黒目が珍しい世界で、奴隷として売られそうになったところを騎士団や自警団、冒険者に助けられるってところから話は始まる。助けられる時点で選択肢があるんだよね。それで、最初の所属先が決まる。
最初の所属先は攻略の難易度とシナリオ分岐を左右させるもので結構大事だったりする。
選択肢も多いし、イベントも多い。つまり攻略時間が長丁場になる。
飽き性の彼女がそんな根気のいる作業ができる筈もなく、説得された末に俺が攻略することになったわけだ。
イベントの手前でセーブして、イイトコだけ見るって寸法だ。
俺も彼女にはほとほと甘いなと思う。
でも、苦痛になりつつある和臣との生活を思えば全然平気だった。香織は俺の大事な人だもの。これくらいのわがままどうってことない。
「ねえねえ、余良君は誰を攻略したの? っていうか、濡れ場平気だった?」
「スキップ機能を駆使してすっ飛ばした」
「あはははっ、可愛い。でもやっぱり恥ずかしいよね。
私も最初ファンディスク入れたの後悔したもん」
キャラキャラと笑うと加藤さんに俺は同意するように頷く。
ファンクロはファンディスクを入れてデータインストールすることでR18展開にすることが出来る。
俺のリメイク版は最初からR18で売られてて、本編に追加シナリオやルートが詰め込められてファン感涙の仕様になっているらしい。
初めてプレイするのがリメイク版だからどれだけすごいか分からないけど、ネットで評判を見た限りはガチ恋勢が昇天してたから相当良い出来ではあるんだろう。
「あたしはイングラム好きなんだー。あの真面目さがたまらないの」
「イングラムはまだ攻略してないな。まだセドリックだけなんだ」
「セドリックのシナリオ泣けるでしょ。あたし、故郷の封印を解く場面で何回も泣いちゃうの」
「それでもこの國には春が要るよ、だっけ?」
「そうそれ! あれは名台詞だと思う!
攻略したのはセドリックだけ?」
「うん。まだ始めたばっかりで。今はタガネを攻略中」
「あー、タガネかぁ。結構引っ掛けあるから気を付けてね」
「そうなの?」
「そう。途中から好感度選びの選択肢にフェイク入ってくるから。好感度上がった時に出るエフェクトあるでしょ? そっち選ぶとバッドエンドかノーマルエンドに行っちゃうから注意して」
「えっ、そうなの?」
ゲームをする手を止めて、俺は仕事用に使っていたメモ帳を取り出す。
それから加藤さんが教えてくれた攻略情報や、ソフトごとの攻略サイトを教えてもらって休憩を終えて仕事に戻った。
計らずも最後の仕事になってしまったけれど、クビになってしまったのは仕方ないと諦めて帰り道駅にあった求人誌をいくつか鞄に入れる。
電車に乗って、2つ3つと駅を通り過ぎてとある駅に止まると、反対車線のホームに彼女の姿があって目が止まった。
そして、その隣には和臣がいた。
「えっ?」
知らず声が出て、電車の外に出ていた。
急いでホームを移動して、該当車線の次の電車の到着時間を確認しふたりがいたホームへと向かう。
見間違いかな、と思った。
和臣も香織も互いに顔を見知ってる。だからたまたま出くわすことはあると思う。
それだけなら、俺も放置してアパートに帰っていたけれど、ふたりの様子がとても普通じゃなくて追い駆けずにはいられなかった。
和臣と香織は人目を憚(はばか)らずキスをしていた。
恋人繋ぎで、深夜近くで人が疎(まば)らなのをいいことに舌を絡ませ、体を弄(まさぐ)り合っている。
これはどういうことだろう。
俺は何を見ているんだろう。
あまりのことに呆けていると、電車がくるというアナウンスが聞こえて我に返った。
このままふたりを放置するか。
それとも追い駆けるか。
俺の選択は後者だった。
電車に乗り込み、別の車両からふたりの様子をうかがう。
ふたりは俺の存在なんて気付いてないのか電車に乗ってからもいちゃついていた。
彼女が親友とディープキスをしている。体を触り合い、甘い吐息を吐いている。
これは俺に対する裏切りではないだろうか。
これも、人間にとって普通のことなんだろうか。
わけが分からなくて、頭が痛くなってくる。
俺が和臣と行為のレッスンをしているのと何か関係あるのかな。
香織は俺の行為が下手くそだって言う。
もうちょっと頑張ってって。それを和臣に言いはしたけど、だから、ふたりは会って、和臣が俺の代わりに香織を満足させてるっていうのか?
なんだ、それ。おかしくないか、それ。
そもそも、レッスンっていって、女の気持ちを知るためにといって、俺を抱くことは正しいんだろうか。
俺は和臣に抱かれてこんな酷い思いをさせたくなくて香織を優しく抱いていた。
でも香織は下手くそだっていって、それで和臣の行為はエスカレートしていって……………。
駄目だ。どんどん意味が分からなくなってくる。
今はふたりを追い駆けることに集中しなきゃ。
そう言い聞かせて、ふたりが車内でまぐわう様をそれとなく見ては逸らすのを繰り返す。
何分か経って電車が止まると、ふたりは顔を赤らめたまま電車を降りて階段を下っていった。
改札を出て、向かった先はホテルではなく、駅のトイレだった。
男子トイレに入っていって、個室に入るふたりを確認すると、途端に個室からあられもない香織の声が男子トイレ内に響いた。
「あんっ、いいの、いいのおっ! カズ君の太いのでズンズンしてえっ!!」
「香織、香織、正直と俺のとどっちがいい?」
「カズ君のがいい! カズ君好きい! これ好きい!」
「ははっ、これじゃ正直からホテル代巻き上げた意味ないな」
「あんっ、もっとお!」
「正直からもっと金えるよう、お前も協力しろよ」
「するうっ、するから、中に出して、あん! 赤ちゃん孕ませて、結婚して!」
「香織は、俺と結婚したいの? 正直は?」
「ただくん?? どうでもいい! あんなのより、カズ君がいい!!」
ホテル代という言葉に、どうでもいいという言葉に、俺の感情は一気に冷めていった。
気づけば俺は駅から外に出ていて、宛もなくふらふらと歩いていた。
「馬鹿だったんだな、俺」
夜空を見上げながら呟くと、流れ星が一筋駆け抜けていった。
何処でどう繋がっていたかは分からないけど、和臣と香織は関係を構築していた。
俺と和臣の関係は親友の筈だった。
俺と香織の関係は恋人の筈だった。
それはどちらもまやかしだった。
なんだろう。この気持ち。
裏切られたのに、晴れやかな気持ち。
多分、現実を突きつけられたから、目が醒めたんだろう。
同時に生きる気力も萎えて、俺はどうしたものかと息を吐いた。
「なーおっ」
「ん?」
いつの間にか足元に猫が纏わりついていた。
くゆりと身を俺にゆだね、二股に別れた尻尾をしゃなりと………二股の尻尾??
「お前、猫又か?」
「うなーん!」
不思議生物なんて見ないように心掛けていたけど、気が動転していてそれどころじゃなくなっていた。
久々に見た猫又は黒猫で、金の目が特徴的な輝きを放っていた。
そういえば、ファンクロでも黒猫の猫又が出て来て主人公をよく慰めていたな。
「どこの子だ? もしかして野良?」
「うーなん!」
「あっ」
猫又はひと鳴きするとパッと走り出してしまう。
俺はそれを見送るけれど、横断歩道を渡る瞬間トラックが猛スピードで走ってきて、思わず駆け出していた。
「にゃっ?!」
「馬鹿、危ない!!」
猫又を手を伸ばすと同時にクラクションがけたたましく鳴る。
瞬間、俺は衝撃を受けると同時に意識を失った。
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