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10、三男、チュートリアルを終える
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「篠田さん、ただ今戻りました」
「お疲れ様です。その姿を見ると、無事依頼を達成されたようですね。しかも難易度高めの」
「はい。なんとか」
難易度高め、という言葉に確かになと思う。
確かにあれは裁縫スキルがあっても難しい依頼だった。
そんなことを考えていたら、結構な時間の間篠田さんを待たせてしまっていたと気づいた。
流石に4、5時間は長すぎだ。
「す、すみません、篠田さん。長かったですよね?」
「え?…ああ、言い忘れていましたね。チュートリアルの最中は時間の経過がすごくゆっくりなんです。現実に換算すれば、まだ1時間も経っていないかと」
「え、そうなんですか?凄い技術ですね」
「チュートリアルでは無いこの世界では、一日は現実の時間で30分ですからね。これも開発者の努力の賜物なわけですが」
30分とはいえ、この世界にいると30分とは感じないらしい。詳しいことは分からないが、そういうものだそうで。
俺はふむふむと頷きながら説明を聞く。今後この世界から現実に戻る時の時間の目安になるだろう内容だからな。
「と、説明はこのくらいにして…。カスミさん、無事チュートリアルは終わりました。終わりです、終了です。お疲れ様でした。最後まで聞いていただいて、ありがとうございました」
「こちらこそ、丁寧に説明して頂いて、分かりやすかったです。ありがとうございました」
無事にチュートリアルが終わったことで頬が緩む。
体感時間としては随分と長いチュートリアルであったが、現実ではさして時間はかかっていないらしい。
広葉を待たせてしまっているだろうと考えていた身としては、何よりの情報であった。
お互いに感謝を伝え合い、チュートリアルは終わりを迎える。
「篠田さん、本当にありがとうございました。俺の担当が篠田さんで良かったです。きっと忙しいのでしょうが、無理はなさらず。何かあったら、力になれるかは分かりませんが、声をかけてくださいね」
「カスミさん……。私こそ、カスミさんの担当でよかったです。今後、私たち運営は陰ながら見守ることになりますが、困ったことがあればすぐにでも伝えてくださいね」
「はい!その時は頼らせて貰いますね」
笑顔で言っていると、篠田さんの瞳に光るものを見た気がしたが、その事には触れず、笑顔を続ける。仕事で泣かないのは、篠田さんのプライドだろうからな。
篠田さんはふぅと一息ついて、手元にプレートを出した。
「これより、カスミさんをこの世界へと送ります。この世界は第二の現実、リアルです。どうぞ、自由に楽しんでください」
「はい!ありがとうございます」
「ぴーきゅ!」
篠田さんが手元のプレートを操作すると、俺とマリを対象にして足元が光る。
何度か見た光景だが、今回で最後かもしれないな。篠田さんとも、今後話せるのだろうか。
そんな俺の視線に気づいたのか、篠田さんは少し微笑んでいた。
「それでは、行ってらっしゃいませ。カスミさん」
「はい。行ってきます!」
「ぴっぴきゅ!」
手を振りながらプレートを操作し、篠田さんは俺たちを見送ってくれる。
それに応えるように、俺とマリは手を振って応えた。
フォンと音がなり、景色が変わる、というその時。思い出したかのように篠田さんが言った。
「珍しくチュートリアルを最後まで終えられ、また人を想う気持ちのあるカスミさんへ、神の使いから贈り物です。返品不可ですよ」
「え?」
一体何を、と聞くには遅く、俺の目の前に広がる光景は住民だけでなくプレイヤーを含めた人の集まりだった。
噴水を背にして立つその場所は、クラウスさんと出会った場所であり、当然だが辺りに篠田さんはいなかった。
「贈り物、って言ってたよな。なんだったんだろうな」
「きゅー」
「ま、そのうち分かるか」
返品不可らしいからな。
苦笑しながら、けれど、確かに期待もあった。
こうして、一人と一匹の自由な世界の冒険は、幕を開けたのである。
「お疲れ様です。その姿を見ると、無事依頼を達成されたようですね。しかも難易度高めの」
「はい。なんとか」
難易度高め、という言葉に確かになと思う。
確かにあれは裁縫スキルがあっても難しい依頼だった。
そんなことを考えていたら、結構な時間の間篠田さんを待たせてしまっていたと気づいた。
流石に4、5時間は長すぎだ。
「す、すみません、篠田さん。長かったですよね?」
「え?…ああ、言い忘れていましたね。チュートリアルの最中は時間の経過がすごくゆっくりなんです。現実に換算すれば、まだ1時間も経っていないかと」
「え、そうなんですか?凄い技術ですね」
「チュートリアルでは無いこの世界では、一日は現実の時間で30分ですからね。これも開発者の努力の賜物なわけですが」
30分とはいえ、この世界にいると30分とは感じないらしい。詳しいことは分からないが、そういうものだそうで。
俺はふむふむと頷きながら説明を聞く。今後この世界から現実に戻る時の時間の目安になるだろう内容だからな。
「と、説明はこのくらいにして…。カスミさん、無事チュートリアルは終わりました。終わりです、終了です。お疲れ様でした。最後まで聞いていただいて、ありがとうございました」
「こちらこそ、丁寧に説明して頂いて、分かりやすかったです。ありがとうございました」
無事にチュートリアルが終わったことで頬が緩む。
体感時間としては随分と長いチュートリアルであったが、現実ではさして時間はかかっていないらしい。
広葉を待たせてしまっているだろうと考えていた身としては、何よりの情報であった。
お互いに感謝を伝え合い、チュートリアルは終わりを迎える。
「篠田さん、本当にありがとうございました。俺の担当が篠田さんで良かったです。きっと忙しいのでしょうが、無理はなさらず。何かあったら、力になれるかは分かりませんが、声をかけてくださいね」
「カスミさん……。私こそ、カスミさんの担当でよかったです。今後、私たち運営は陰ながら見守ることになりますが、困ったことがあればすぐにでも伝えてくださいね」
「はい!その時は頼らせて貰いますね」
笑顔で言っていると、篠田さんの瞳に光るものを見た気がしたが、その事には触れず、笑顔を続ける。仕事で泣かないのは、篠田さんのプライドだろうからな。
篠田さんはふぅと一息ついて、手元にプレートを出した。
「これより、カスミさんをこの世界へと送ります。この世界は第二の現実、リアルです。どうぞ、自由に楽しんでください」
「はい!ありがとうございます」
「ぴーきゅ!」
篠田さんが手元のプレートを操作すると、俺とマリを対象にして足元が光る。
何度か見た光景だが、今回で最後かもしれないな。篠田さんとも、今後話せるのだろうか。
そんな俺の視線に気づいたのか、篠田さんは少し微笑んでいた。
「それでは、行ってらっしゃいませ。カスミさん」
「はい。行ってきます!」
「ぴっぴきゅ!」
手を振りながらプレートを操作し、篠田さんは俺たちを見送ってくれる。
それに応えるように、俺とマリは手を振って応えた。
フォンと音がなり、景色が変わる、というその時。思い出したかのように篠田さんが言った。
「珍しくチュートリアルを最後まで終えられ、また人を想う気持ちのあるカスミさんへ、神の使いから贈り物です。返品不可ですよ」
「え?」
一体何を、と聞くには遅く、俺の目の前に広がる光景は住民だけでなくプレイヤーを含めた人の集まりだった。
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「贈り物、って言ってたよな。なんだったんだろうな」
「きゅー」
「ま、そのうち分かるか」
返品不可らしいからな。
苦笑しながら、けれど、確かに期待もあった。
こうして、一人と一匹の自由な世界の冒険は、幕を開けたのである。
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