9 / 190
第9話 遺産の部屋
しおりを挟む
掘削二日目。
コウはグループ責任者ドワーフを驚かせる活躍を見せ、誰もが嫌がる硬い岩盤層を掘り進めていた。
グループ責任者曰く、
「実はこの鉱山はかなり掘りつくしていて、リーダー・ヨーゼフの提案で採掘量を調整しながら掘っているんだ」
と内情を口にした。
「調整?」
コウは全く聞いた事がない話に驚く。
「俺達鉱夫連中の間では公然の秘密なんだが、以前のように鉄鉱石を沢山掘り当てる事があっても給料がほとんど変わらない事はわかっている。だが、採掘量が少ないと給料は減らされるからな。ただでさえ掘り尽くし気味のところで残りを一気に掘り出してその後、採掘量が激減して給料を減らされても俺達ドワーフには損しかないだろう? リーダーのヨーゼフは、俺達に命じて大きく掘り当てないようにして残り採掘量も安定させて小出しにさせているのさ。それに雇い主はあの領主様だからな。採掘量が激減すれば俺達ドワーフを使い捨てにするのは目に見えている」
かなり詳しくグループ責任者ドワーフはコウに理由を話してくれた。
どうやら一人前の鉱夫と認めてくれたという事だろう。
そして続ける。
「俺達ドワーフは人間からすると都合のいい労働力でしかない。ここの領主様なんて一番そう考えている人物だ。ヨーゼフが頑張って知恵を絞ってくれたお陰で今は、この土地で多くの俺達ドワーフが生活できているが、人間の差別が厳しい場所に変わりはない。今回ヨーゼフが新たな土地を見つけて購入手続きしてくれてきたのも、この鉱山の残り寿命を計算しての事だし、ドワーフの環境を改善する為にも何年も前から計画していた事なんだ。お前も新天地でドワーフ全体の力になれると俺は見込んだからこれからも頑張ってくれよ」
グループ責任者ドワーフはそう言うと肩を叩いてその場を離れる。
「ドワーフの為の新天地探しは知っていたけど……、この鉱山も寿命(資源枯渇)が来ていたのは知らなかった……。──うん? それじゃあ、この岩盤掘りって意味ある?」
コウは思わず手を止めて、考えるのであったが、それで実力を認められたのなら結果オーライなのかな? と、思って考えを改めるのであった。
コウは一人前と認められたのが嬉しくて鼻歌混じりに岩盤の縦掘りを続けていた。
これにはクズ石運びの子供ドワーフ達も呆れていた。
なにしろ掘っているのは大のドワーフでも嫌がるとてつもなく硬いはずの岩盤である。
それを中古でブランド製でもない普通のツルハシでサクサク掘っているのだから当然であった。
だが、それも限界が来た。
コウがツルハシを振るうと、甲高い音で跳ね返され、ツルハシの頭が途中から砕けたのだ。
「あー! 僕のツルハシが!!!」
仲間と認めてくれたドワーフからお見舞いに貰ったツルハシだったから、コウはショックを受ける。
「……手応えからするとかなり硬い層に届いたのかな……?」
コウは壊れたツルハシを諦め、金槌と杭を取り出し、硬い部分を削ってみた。
杭は通るが相当硬いのがわかる。
こんなやり方で掘っていたら時間がかかり過ぎて効率的でないのもわかった。
コウはその時、ふと妙な感覚に襲われた。
金槌を振るって杭を打った時、伝播する音が体に響くと同時にその音が岩盤全体にも伝わったように感じたのだ。
「?」
コウは今度は金槌だけでさらに硬い岩盤を叩いてみる。
先程と同じように、いや、今度はさらに明確に音が響いて返って来るのがわかった。
そう、それは、まるで音波のような感覚だ。
前世では通常、地中を調べる方法としてボーリング調査(地盤に細い孔を深く穿けて採取した土や岩盤の試料を直接観察して地質の状況を把握すること)や、表面波探査(地表の表面付近を伝播する「表面波」の波長ごとの伝搬速度を解析し、地盤のS波速度の分布状況を測定する調査方法)などがあるのだが、これは表面波調査の方法にあたるのかもしれない。
なぜ、コウがそんな事を知っているのかと言うと、元々、それらの機器類を販売する営業を経験していたからだ。
それだけに仕組みがわかっていたから、自分がその機械になった気分である。
もう一度、コウは岩盤を金槌で叩いて振動を地面に送り、返って来る振動を感じた。
それは近くの地中にある鉄鉱石の塊の存在も何となく感じる。
「……それ以外に、この硬い岩盤の下に四角い空間がある?」
コウはそれに引っ掛かった。
自然とできた空間はいくらでもあるのだが、この下に感じる空間は綺麗な四角なのだ。
それは人工的なものという事である。
「よし、ここで使おう!」
コウはそう決断すると、布にくるんで持って来ていた例のツルハシを取り出した。
それは鍛冶屋のイッテツと一緒に作り上げた、とっておきである超魔鉱鉄製の逸品だ。
コウはその自慢のツルハシを超硬い岩盤に振るう。
するとどうだろう。
サクッっとツルハシの先端は岩盤に刺さる。
「これならいける!」
想像以上の手応えを感じたコウは地下空間を目指して超硬いはずである岩盤を掘り進めていくのであった。
その空間は長い間、密閉されていたのだろう。
ツルハシの先が穴を穿って貫通させると、そこから一気に風が吸い込まれていった。
「……とりあえず、僕が通れるだけの穴でいいかな?」
コウは一人つぶやくと、その空いた穴を広げていく。
魔導具ランタンの掴み部分に紐を括り付け、それをその真っ暗な空間に降ろして中を確認する。
中央に台座があり、その上に何か置いてあるようだ。
「……これって?」
コウはドワーフなら誰もが聞き覚えのある光景が、今、視界に広がっていると感じた。
それは、ドワーフの伝承の一つで、ドワーフの祖である偉大なドワーフが各地の地中に残した遺産の話である。
どうやって作ったのか、地中に突然人工的な空間を作り、そこに子孫であるドワーフが喜ぶお宝を残したと言われるもので、それはただの悪戯ともされているが、実際にその『遺産の部屋』を見つけたという伝承はいくつもあり、ドワーフなら誰もが知っているお伽噺だ。
「これが『遺産の部屋』?」
コウは選ばれたドワーフにしか見つけられないという伝説の部屋を見つけて、思わず夢のような光景に嬉しさで笑みがこぼれる。
その部屋にコウは迷う事なく降り立ち、その台座の前に立った。
そして、ランタンで台座の上にある遺物を照らす。
「これは、小型の鞄?」
そこには埃一つ被っていない、しかし、中古に見える小さなポーチが置いてある。
コウは躊躇する事無くそのポーチに触れた。
すると、その瞬間、脳内に声が響く。
「──我がドワーフの血族よ。よくぞこの部屋を見つけた。触れたこの瞬間からこの魔法の鞄はお前の物だ。契約が結ばれた以上、お前以外にこれは使用できない。ただし、お前が死ねばこの魔法の鞄は、中身ごと消滅するから気を付けるのだぞ……」
重々しい声がそう告げると、静かになる。
「……もしもし?」
コウは突然の声に呼び掛けてみるが返答はない。
「……えっと。そういう事だよね? そういう事でいいんだよね?」
コウは独り言をつぶやきながら、自分に落ち着いて言い聞かせる。
そして続ける。
「つまり僕は……、やっぱりドワーフの血がちゃんと流れているんだ!」
これまで、自分にドワーフの血がしっかり流れているのか自信が持てていなかったコウは、グランドワーフの遺産を入手できた事よりも、偉大な祖にドワーフとして認められた事を喜ぶのであった。
コウはグループ責任者ドワーフを驚かせる活躍を見せ、誰もが嫌がる硬い岩盤層を掘り進めていた。
グループ責任者曰く、
「実はこの鉱山はかなり掘りつくしていて、リーダー・ヨーゼフの提案で採掘量を調整しながら掘っているんだ」
と内情を口にした。
「調整?」
コウは全く聞いた事がない話に驚く。
「俺達鉱夫連中の間では公然の秘密なんだが、以前のように鉄鉱石を沢山掘り当てる事があっても給料がほとんど変わらない事はわかっている。だが、採掘量が少ないと給料は減らされるからな。ただでさえ掘り尽くし気味のところで残りを一気に掘り出してその後、採掘量が激減して給料を減らされても俺達ドワーフには損しかないだろう? リーダーのヨーゼフは、俺達に命じて大きく掘り当てないようにして残り採掘量も安定させて小出しにさせているのさ。それに雇い主はあの領主様だからな。採掘量が激減すれば俺達ドワーフを使い捨てにするのは目に見えている」
かなり詳しくグループ責任者ドワーフはコウに理由を話してくれた。
どうやら一人前の鉱夫と認めてくれたという事だろう。
そして続ける。
「俺達ドワーフは人間からすると都合のいい労働力でしかない。ここの領主様なんて一番そう考えている人物だ。ヨーゼフが頑張って知恵を絞ってくれたお陰で今は、この土地で多くの俺達ドワーフが生活できているが、人間の差別が厳しい場所に変わりはない。今回ヨーゼフが新たな土地を見つけて購入手続きしてくれてきたのも、この鉱山の残り寿命を計算しての事だし、ドワーフの環境を改善する為にも何年も前から計画していた事なんだ。お前も新天地でドワーフ全体の力になれると俺は見込んだからこれからも頑張ってくれよ」
グループ責任者ドワーフはそう言うと肩を叩いてその場を離れる。
「ドワーフの為の新天地探しは知っていたけど……、この鉱山も寿命(資源枯渇)が来ていたのは知らなかった……。──うん? それじゃあ、この岩盤掘りって意味ある?」
コウは思わず手を止めて、考えるのであったが、それで実力を認められたのなら結果オーライなのかな? と、思って考えを改めるのであった。
コウは一人前と認められたのが嬉しくて鼻歌混じりに岩盤の縦掘りを続けていた。
これにはクズ石運びの子供ドワーフ達も呆れていた。
なにしろ掘っているのは大のドワーフでも嫌がるとてつもなく硬いはずの岩盤である。
それを中古でブランド製でもない普通のツルハシでサクサク掘っているのだから当然であった。
だが、それも限界が来た。
コウがツルハシを振るうと、甲高い音で跳ね返され、ツルハシの頭が途中から砕けたのだ。
「あー! 僕のツルハシが!!!」
仲間と認めてくれたドワーフからお見舞いに貰ったツルハシだったから、コウはショックを受ける。
「……手応えからするとかなり硬い層に届いたのかな……?」
コウは壊れたツルハシを諦め、金槌と杭を取り出し、硬い部分を削ってみた。
杭は通るが相当硬いのがわかる。
こんなやり方で掘っていたら時間がかかり過ぎて効率的でないのもわかった。
コウはその時、ふと妙な感覚に襲われた。
金槌を振るって杭を打った時、伝播する音が体に響くと同時にその音が岩盤全体にも伝わったように感じたのだ。
「?」
コウは今度は金槌だけでさらに硬い岩盤を叩いてみる。
先程と同じように、いや、今度はさらに明確に音が響いて返って来るのがわかった。
そう、それは、まるで音波のような感覚だ。
前世では通常、地中を調べる方法としてボーリング調査(地盤に細い孔を深く穿けて採取した土や岩盤の試料を直接観察して地質の状況を把握すること)や、表面波探査(地表の表面付近を伝播する「表面波」の波長ごとの伝搬速度を解析し、地盤のS波速度の分布状況を測定する調査方法)などがあるのだが、これは表面波調査の方法にあたるのかもしれない。
なぜ、コウがそんな事を知っているのかと言うと、元々、それらの機器類を販売する営業を経験していたからだ。
それだけに仕組みがわかっていたから、自分がその機械になった気分である。
もう一度、コウは岩盤を金槌で叩いて振動を地面に送り、返って来る振動を感じた。
それは近くの地中にある鉄鉱石の塊の存在も何となく感じる。
「……それ以外に、この硬い岩盤の下に四角い空間がある?」
コウはそれに引っ掛かった。
自然とできた空間はいくらでもあるのだが、この下に感じる空間は綺麗な四角なのだ。
それは人工的なものという事である。
「よし、ここで使おう!」
コウはそう決断すると、布にくるんで持って来ていた例のツルハシを取り出した。
それは鍛冶屋のイッテツと一緒に作り上げた、とっておきである超魔鉱鉄製の逸品だ。
コウはその自慢のツルハシを超硬い岩盤に振るう。
するとどうだろう。
サクッっとツルハシの先端は岩盤に刺さる。
「これならいける!」
想像以上の手応えを感じたコウは地下空間を目指して超硬いはずである岩盤を掘り進めていくのであった。
その空間は長い間、密閉されていたのだろう。
ツルハシの先が穴を穿って貫通させると、そこから一気に風が吸い込まれていった。
「……とりあえず、僕が通れるだけの穴でいいかな?」
コウは一人つぶやくと、その空いた穴を広げていく。
魔導具ランタンの掴み部分に紐を括り付け、それをその真っ暗な空間に降ろして中を確認する。
中央に台座があり、その上に何か置いてあるようだ。
「……これって?」
コウはドワーフなら誰もが聞き覚えのある光景が、今、視界に広がっていると感じた。
それは、ドワーフの伝承の一つで、ドワーフの祖である偉大なドワーフが各地の地中に残した遺産の話である。
どうやって作ったのか、地中に突然人工的な空間を作り、そこに子孫であるドワーフが喜ぶお宝を残したと言われるもので、それはただの悪戯ともされているが、実際にその『遺産の部屋』を見つけたという伝承はいくつもあり、ドワーフなら誰もが知っているお伽噺だ。
「これが『遺産の部屋』?」
コウは選ばれたドワーフにしか見つけられないという伝説の部屋を見つけて、思わず夢のような光景に嬉しさで笑みがこぼれる。
その部屋にコウは迷う事なく降り立ち、その台座の前に立った。
そして、ランタンで台座の上にある遺物を照らす。
「これは、小型の鞄?」
そこには埃一つ被っていない、しかし、中古に見える小さなポーチが置いてある。
コウは躊躇する事無くそのポーチに触れた。
すると、その瞬間、脳内に声が響く。
「──我がドワーフの血族よ。よくぞこの部屋を見つけた。触れたこの瞬間からこの魔法の鞄はお前の物だ。契約が結ばれた以上、お前以外にこれは使用できない。ただし、お前が死ねばこの魔法の鞄は、中身ごと消滅するから気を付けるのだぞ……」
重々しい声がそう告げると、静かになる。
「……もしもし?」
コウは突然の声に呼び掛けてみるが返答はない。
「……えっと。そういう事だよね? そういう事でいいんだよね?」
コウは独り言をつぶやきながら、自分に落ち着いて言い聞かせる。
そして続ける。
「つまり僕は……、やっぱりドワーフの血がちゃんと流れているんだ!」
これまで、自分にドワーフの血がしっかり流れているのか自信が持てていなかったコウは、グランドワーフの遺産を入手できた事よりも、偉大な祖にドワーフとして認められた事を喜ぶのであった。
23
あなたにおすすめの小説
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる