転生!底辺ドワーフの下剋上~小さい英雄の建国記~

西の果てのぺろ。

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第178話 魔物使いギルド

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 ヘレネス連邦王国セイレイン王家領王都に三日で到着したコウ一行は、国境の兵士に助言をしてもらった通り、魔物使いギルドで従魔との短期滞在証明書の延長をすべく、ギルドに向かうことにした。

 この三日の間に、コウ達は剣歯虎《サーベルタイガー》のベルと二足歩行の蜥蜴ヤカー・スーという珍しい魔物に騎乗していることから、行く先々で警備隊から職務質問をされることが多かった。

 その度に、検問所で発行してもらった短期滞在証明書を見せることになったので、このペースで職質されるのなら、ヘレネス連邦王国で今後も自由に動く為にも、魔物使いギルドで正式な従魔証明書を取った方が良いのではないかとなったのである。

 取得には丸一日かかる審査があるらしいので、落ちた時のことも考えて早めに受けておくことにした。

「バルバロス王国の王都のものに比べたら、小さいギルドだね」

 コウは、魔物使いギルドの王都本部事務所が大きくなかったことで拍子抜けしたのか、素直な感想を漏らした。

「なんだ、よそ者か? ここは、ヘレネス連邦王国セイレイン王領だからな。中央王都の本部はそれなりに大きいぞ」

 コウの「小さいギルド」という言葉が聞こえたのか、岩狼《ロックウルフ》という種類の魔獣を連れた虎人族の男がそれに答えた。

 髪型に虎柄の模様が入っているのが特徴的な獣人族だ。

「あ、すみません……」

 コウは言葉が過ぎたとも思ったのか、赤面して反省する。

「まあ、いいさ。実際、魔物使いギルドは最近需要が少なくて、縮小化されているからな。ここも、大きな建物から引っ越してこの小ささになっているから、間違ってはいない。──それより、お前ら珍しい魔獣を連れているなぁ。剣歯虎というだけでも珍しいのに、白毛の剣歯虎とかギルド長が喜びそうだ。それに、そっちはヤカー種だよな? この大きさのは見たことがないが、よく見つけて従魔にしたもんだ」

 虎人族の男は、魔獣に詳しいのか、コウ達の従魔についてそう指摘した。

「僕達隣国から来たので、こちらの国の仕組みがよくわかっていなくて。とりあえず、従魔との短期滞在証明書は持っているのですが、不便なので正式な証明書を取ろうかなと」

 コウは、色々と端折ってはいたが、簡単に説明する。

「そうなのか? ──まあ、外で話すのもなんだ、中に入ろう。って、俺の家じゃないんだがな。はははっ!」

 虎人族の男は、親切にコウ達をギルド内に案内した。

 魔物使いギルドは、従魔と一緒に室内に入ることが許されている珍しい規則のあるところであり、その為に建物も必ず吹き抜けの天井になっている。

 多少大きな従魔を連れていても問題ないようにだ。

 実際、人よりもはるかに大きな熊系従魔を連れている者などもいたから、吹き抜けになっているのは正解のようである。

 そこへコウ達が室内に入ってくると、すぐに注目の的になった。

「あれは、『山の殺し屋』剣歯虎か!? ──美しい毛並みだな……」

「あっちのヤカー種でかくないか? 鞍を付けているところを見ると騎乗できるのか。ちょっと気になるぜ」

「どっちとも初めて見るな……。俺もちょっと遠征して珍しい従魔を見つけてこようかな……」

 などと、室内がざわつく。

 虎人族の男は、それを気にすることなく、コウ達を受付まで連れて行くと、

「こいつらが、従魔証明書を発行してほしいそうだ。見ての通り従魔の首輪は、この国で許可しているものとは違うみたいだぜ」

 と知り合いの受付嬢に、コウ達のことを簡単に説明した。

「タイガさん、こんにちは。──剣歯虎を従魔にしている人ほとんど見た事ないですよ! そっちのヤカー種もこの大きさのは見たことないですし。──その首輪はバルバロス王国の魔物使いギルド製ですね。それでは、従魔との短期滞在証明書を拝見できますか?」

 受付嬢は、虎人族の男をタイガと呼ぶと、コウ達を疑うことなく、手続きの為に確認を始める。

 コウ達が証明書を提出すると、

「……はい。確認しました。本物ですね。首輪も本物なので、いくつか手続きを省きます。……それでは、中庭の方に移動してもらっていいですか? ──ギルド長! 審査の方の人手が足りないのでよろしくお願いします!」

 受付嬢は、大きな声で奥にいるギルド長に声をかける。

「審査? ──数日ぶりの登録申請者か!」

 受付嬢の声に奥の部屋からそう反応すると、ギルド長らしい、こちらも虎人族の男が出てきた。

 そして、コウ達が連れている剣歯虎のベル、そして、ヤカー・スーを見ると目を見開く。

「こいつは凄いのが来たな! ──さあ、中庭に移動しよう!」

 ギルド長は、嬉しそうに言うと、コウ達に中庭へ移動するように促すのであった。


「審査の内容は簡単だ。従魔がしっかり、主の声に従順なのかどうかを確かめる。あとは、その活用性だな。そこら辺の獣に芸を覚えさせてうちの従魔証明書と首輪を入手しようとする連中もいるから、その辺りは厳しく審査するぞ」

 ギルド長は、そう説明しながら楽しそうだ。

 コウ達は、ギルド長に言われた通りのことをベルとヤカー・スーに指示する。

 ベル達は、犬の調教のように、伏せや転がったり、立って見せ、指示された物を取ってきたりして、しっかり主人の言うことを理解していることを示した。

「この剣歯虎は利口だな……。以前登録に来た奴の剣歯虎は、あまり、従順ではなく、綱有りでのギリギリ合格ラインという感じだったのだが、この子は全く問題ない。『山の殺し屋』と言えば、手懐けるのが相当難しいというのが専門家の評価だったんだがな」

 ギルド長は、剣歯虎のベルがまだ子供にしか見えないコウにとても従順なことに素直に驚いていた。

 高評価をされたコウとベルが、自慢げであったことは言うまでもないだろう。

 もちろん、ヤカー・スー三頭の方も、同評価であった。

「あとは、君達の身分の確認と、筆記での合格で従魔証明書と首輪が発行される」

 ギルド長はそう言うと、室内に戻る。

 コウ達は、別室に移動するとそこで、口頭での身分の説明を行ったが、コウなどはドワーフであることに驚かれた以外には、それ以上のことはなく、筆記も順調に行われた。

 こうして、一日かけての審査は無事終了し、結果は翌日に発表ということで、解散となる。

「お前ら、どうだった? 従魔次第のところは大きいが、それさえクリアすれば、筆記もまあ、大丈夫だと思うぞ。あとは、うちの兄貴次第だがな!」

 魔物使いギルドから出てきたコウ達に、声をかけてきたのは、虎人族のタイガであった。

「あ、午前中はどうも。……うん? 兄貴ってもしかしてギルド長のことですか?」

 コウは、兄貴と聞いて、同じ虎人族であることからピンときて、聞き返した。

「ああ。兄貴の奴、人の従魔に興味が強いから、冒険者から、魔物使いギルドに鞍替え、そして出世してこの支部長になっちまったんだよ。まあ、人手不足に付け込んだだけだと本人は言ってたけどな。まあ、それは置いといて、兄貴はその剣歯虎が気に入ったみたいだから、不合格はないさ、安心しな」

 タイガはそう言うと、笑ってコウ達に手を振ると、立ち去る。

「タイガさんにギルド長かぁ。いい人達で良かったね」

 コウは、この二人の気持ちのいい態度に好感を持った。

「そうね。──明日合格していたら、情報収集も始めないといけないから宿屋に戻りましょう」

 ダークエルフのララノアが、疲れたように、そう提案する。

 これには、街長の娘カイナ、ベル、コボルトのレトリーも賛同した。

「はははっ。筆記試験で頭も使ったし、どこかで食事して甘いものも食べたいね」

 コウが笑ってそう応じると、各自ベルとヤカー・スーに騎乗して食事処を探す為、移動するのであった。
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