失いし記憶と感情を探して

プロローグ

第零話

　僕は歩いていた。
　ここは元戦場だった場所だ。
　その戦争は『第四次世界大戦』といわれている。
　第四次ということは第三次があったということだ。
　僕はその両方の戦争に出兵し、そして生き残った人に会いに行くために、この戦場だった場所を歩いている。
　ただ、会いに行っても彼が生きているかの方が問題だ。
　第四次世界大戦があったのは40年以上も前だし、第三次世界大戦は60年以上前だ。
　10代で徴兵されたとても今は100を越えている計算だ。
　病気や老衰で死んでいたとしてもおかしくはない。
　いくら科学や医療技術が進歩しても、未だに寿命を延ばすことはできていないし、治せない病気だってある。
　
　彼を探し始めてもう2年になるだろうか。何故、そこまでして彼を探すのかと、皆聞いてくる。
　それは、僕と関わりがある可能性があるからだ。
　そして、2年もかけて漸く目的の場所を見つけた。
　場所と言ってもただの小屋だ。
　その隣には、高校生位の男性が座っている。

「あなたが『零0番』？」

「……誰だ？」

　警戒されるのは当然だ。だが、ここで引くわけにはいかない。だから、単刀直入に尋ねる。

「あなたの話を聞きたい。2度の大戦を生き残った、あなたの話を」

　そう言うと彼は薄く笑った。

「……お前みたいな輩は何年ぶりだろうな。
　まぁ、たまにはいいだろう。どこから聞きたいんだ？」

　彼は、意外にも簡単に警戒を解いた。

「全部聞かせてくれ。あなたの人生全てを」

　彼は空を見上げ、懐かしむように話始めた。

「そうか……あれは――――――」



















　これから語られるのは、一人の少年の100年間の物語。