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ふたりの内緒
ふたりの内緒 1
日頃何気なく過ごしていた3日弱が、とてつもなく長く感じる。
やっていることは一緒でも、大助がいない、それだけで。
結局、毎日、大助の部屋で眠っていた。
ただただ、大助と電話しては、自らを慰めて、劣情は増すばかりで。
眠っていたとはいえ、よく眠れもしなかった。
満たされない。
心も、身体も。
大助以外を知っていたこの身体は、大助とまぐわうことでその欲望を覚醒させた。
押しつぶされそうなさみしさの中で考えたのは、僕の過去のこと。
こうして「僕」は、大助以外の誰かを、足りないと求め続けていたのだろうか。
「僕は、大助だけ、大助だけ、大助だけ」
おまじないのような願望を、自分に言い聞かせる。
足りないのは、大助、それ以外はいらない。
この身体が求めているのだって、大助だけだと、思いたかった。
ああ。
約束では、今日の夕方、帰って来る。
それまで、あとすこし。
はやく、大助に会いたい。
はやく、大助で満たしてほしい。
こんなこと、考えなくてもいいくらいに。
そんな調子で昼食も食べず、ソファで項垂れていると、インターホンが来客を知らせる。
東さんはしばらく来ないと言っていたから、他の誰かだ。
とはいえ訪問者に心当たりがなく、とりあえず身だしなみを軽く整えて、玄関に向かった。
「……はい、あぁ」
扉を開けると、真っ直ぐな茶髪を肩まで伸ばした、中性的な顔立ちの青年が、にっこりと微笑んでいた。
「どうも、おにーさん。ご無沙汰してます……あれ?」
僕を、おにーさんと呼んだ彼は、部屋の奥を見渡して首を傾げる。
「ああ、ごめん。大助は今いなくて……夕方には帰ってくるんだけど」
彼が大助を探していたのを察して、先に謝る。
すると、彼は露骨にがっかりした。
「なあんだ、タイミング悪い」
「ごめんね。……それにしても圭介くん、帰ってきてたの?」
「ええ、先週から一時帰国です。サプライズで訪問……と思ってたんですが、やっぱりこういうこともあるから、準備は大事ですね」
「あはは。残念だったね」
僕はびっくりしたけど、彼が驚かせたかったのは大助だろうから、同情するしかない。
彼は、大助の実の弟、圭介くん。
海外から海外の学校に通っているのでほとんど会わないけれど、大助のことをとても慕っているので、帰国都度こうして、顔を出してくれている。
「せっかく来てくれたのにもったいないな。夕方まで待てる?コーヒーとか飲んでく?」
「いえ、今日戻らないとなので。……仕方ないですが、兄さんによろしく伝えてください」
あとこれ、と、箱の入った紙袋を渡される。
「お土産です。二人で使ってください。中身は内緒ですが」
いつもこうして手土産を持ってきてくれているが、食べ物が多い中、使うものとは。
「いつもありがとう。大助と開けるね」
「ええ、是非そうしてください。それでは」
贈り物を残し、嵐のように去っていく圭介くんを、手を降って見送る。
「次に帰ってくる時期くらい、聞いておけばよかったかな」
大助も、久々に弟と会いたかっただろうに。
やっていることは一緒でも、大助がいない、それだけで。
結局、毎日、大助の部屋で眠っていた。
ただただ、大助と電話しては、自らを慰めて、劣情は増すばかりで。
眠っていたとはいえ、よく眠れもしなかった。
満たされない。
心も、身体も。
大助以外を知っていたこの身体は、大助とまぐわうことでその欲望を覚醒させた。
押しつぶされそうなさみしさの中で考えたのは、僕の過去のこと。
こうして「僕」は、大助以外の誰かを、足りないと求め続けていたのだろうか。
「僕は、大助だけ、大助だけ、大助だけ」
おまじないのような願望を、自分に言い聞かせる。
足りないのは、大助、それ以外はいらない。
この身体が求めているのだって、大助だけだと、思いたかった。
ああ。
約束では、今日の夕方、帰って来る。
それまで、あとすこし。
はやく、大助に会いたい。
はやく、大助で満たしてほしい。
こんなこと、考えなくてもいいくらいに。
そんな調子で昼食も食べず、ソファで項垂れていると、インターホンが来客を知らせる。
東さんはしばらく来ないと言っていたから、他の誰かだ。
とはいえ訪問者に心当たりがなく、とりあえず身だしなみを軽く整えて、玄関に向かった。
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扉を開けると、真っ直ぐな茶髪を肩まで伸ばした、中性的な顔立ちの青年が、にっこりと微笑んでいた。
「どうも、おにーさん。ご無沙汰してます……あれ?」
僕を、おにーさんと呼んだ彼は、部屋の奥を見渡して首を傾げる。
「ああ、ごめん。大助は今いなくて……夕方には帰ってくるんだけど」
彼が大助を探していたのを察して、先に謝る。
すると、彼は露骨にがっかりした。
「なあんだ、タイミング悪い」
「ごめんね。……それにしても圭介くん、帰ってきてたの?」
「ええ、先週から一時帰国です。サプライズで訪問……と思ってたんですが、やっぱりこういうこともあるから、準備は大事ですね」
「あはは。残念だったね」
僕はびっくりしたけど、彼が驚かせたかったのは大助だろうから、同情するしかない。
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「せっかく来てくれたのにもったいないな。夕方まで待てる?コーヒーとか飲んでく?」
「いえ、今日戻らないとなので。……仕方ないですが、兄さんによろしく伝えてください」
あとこれ、と、箱の入った紙袋を渡される。
「お土産です。二人で使ってください。中身は内緒ですが」
いつもこうして手土産を持ってきてくれているが、食べ物が多い中、使うものとは。
「いつもありがとう。大助と開けるね」
「ええ、是非そうしてください。それでは」
贈り物を残し、嵐のように去っていく圭介くんを、手を降って見送る。
「次に帰ってくる時期くらい、聞いておけばよかったかな」
大助も、久々に弟と会いたかっただろうに。
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