49 / 65
僕らのための嘘
僕らのための嘘 5
彼女が去ったあと、重苦しい雰囲気の中、男二人が取り残される。
「にしても、幸か不幸か、て話だったな。……話が出来る相手は多いに越したことないな。偶然とはいえ、巻き込んじゃったのは申し訳ないが。……あ、いや、俺は完全に巻き込まれた側なんだけど」
「……東さんも、すみません」
「構わんよ。俺にとっても大事なオトモダチの緊急事態っぽいからな。にしても、どうするんだよ、これから」
大助が考え込んでいる間に、東は店員を呼びつけ、さらにホットコーヒーを2つ追加する。
「……どうしましょう。まさか明日羅さんと翠ちゃんが、中央にいるなんて」
「まあヒトの家庭の事情なんざ首突っ込んでも仕方ねえけどよ……。会わせられない父親と妹って、どんなんだよ」
「……翠ちゃんは、綺羅くんのことになると……多少過激です」
「お前がそれをいうかよ。……というか、その過激なのに、民人が会ってるんだろ。民人がどう思ってるか知らねえけど……まあお前に隠してるってことは、いろいろ察して悩んでんだろうな、あいつも」
サーブされたホットコーヒーを飲み、大助はため息をつく。
「……民人くんと、話をしないといけないと思うんですけれど……」
「それはそうだろ。お前にしちゃ歯切れわりいな」
「……どう、話を切り出したらいいか」
大助のしおらしい態度に、ああ、と東はしびれを切らす。
「腹くくって3人で話すか?」
「東さん……悔しいですけど、東さんに協力を、お願いしたいです」
「……聞いてやる」
大助は心底、悔しそうに、悲しそうに続ける。
「多分、俺が聞いても、民人くんは話してくれないと思います。正直、東さんが間に入ってくれた方が……俺より、東さんのほうが、話しやすいと思うんです」
「そんなもんか」
そういいながらも、東は否定はできないことは知っている。
東は、以前民人が他人の戸籍を取りたいと言っていたのを思い出す。
あれはおそらく、綺羅と、翠の関係を確認したかったのだろうと合点が言った。
そして、その話をそれとなく、自分には話していたが、大助には一切伝えていなかったのだから。
……でもそれは、大助が考えているような……彼が自信を失うような理由ではない。
大助だからこそ、大助のことを想っているからこそ、彼に言えないこともあるのだろう。
しかし、だからといって、東が伝言ゲームをするつもりはなかった。
あくまでも、これは大助と民人の問題。
彼らで乗り越えなければならない問題だから。
「結局はお前と民人の問題なんだから、お前らで話すべきだと、俺は思う。ただ……時間の問題もあるから。……考えがある」
とはいえ、乗りかかった船。
手遅れになる前に、一肌脱ぐくらいは許されるだろう。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
売り物の身体ー社長に躾けられる美形タレントー
しち
BL
芸能界で生き残るために身体を武器にしてきた清瀬累。
枕営業も厭わない累の“商品価値”に口を出してきたのは、所属事務所の若き社長・剣崎だった。
「価値を下げるな」
そう言って累を囲い込む男の真意は――。
身体で仕事を取ってきた若手タレント兼俳優を事務所社長が躾け直す話です。
この世界で生きるための「価値」を教え込まれる話。
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!