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約束と運命の鎖
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しおりを挟む「東さんごめんなさい、時間かかっちゃって」
「気にするな、今日は一日暇だから」
東さんも心なしか、嬉しそうだ。
「東さん……この方――民人さんとお友達?」
笑いあう僕らを見て、杏奈ちゃんは首を傾げた。
「まあ、そんなところだ。普通にいい奴過ぎるくらいだぞ。そんな怯えることはないさ」
東さんは大声で笑う。
それにつられるように、杏奈ちゃんもくすくす笑った。
「それじゃ、あとはみなさんで――」
部屋から立ち去ろうとしたとき、佳代さんに手首をつかまれた。
「まーって。民人君にだって用はあるのよ」
「僕に、ですか?」
言われるがままにソファに座って早5分。
3人は僕が踏み込めないような話をしていた。
実際は他愛も無い世間話だった。
なんとなく、踏み込んじゃいけない気がしただけで。
なんというか、3人は親子みたいで、兄弟みたいで。
見ているとなんだか、引き離すのが悪い気すらしてくる。
「杏奈、それでさ。そのネックレスは、民人のとお揃いなの?」
東さんがふと、彼女の胸元のネックレスを指さして訊ねた。
彼女の顔が少し強張る。
「うん……」
「間違いないです。僕と杏奈ちゃんの、ぴったりでした」
杏奈ちゃんの膝の上の手が震えている。
「民人さんが探してた人ってわけじゃ、ないみたいね……」
彼女は静かに、こくりと頷いた。
僕ではない誰か。
何処にいる誰なのか。
「迎えに来てくれるって、約束したんです。このネックレスは……合言葉みたいなものでした」
俺が迎えに来たとき、必ず俺だとわかるように。君だとわかるように。
――そういった彼の言葉を忘れません。
彼女は恐ろしいほど淡々と語った。
それは若干14歳の彼女が、どれほど"彼"のいない寂しさに耐えてきたのかを物語る。
ただひたすら待ち続けた彼の物であるネックレスを、どこの誰かもわからない男が持って、のこのこと自分の前にやってきたのだ。
不安なのだろう、彼が無事かと。
彼の身に何かあったのではないかと。
「それを民人さんが持ってる……もしかしたら、あの人が貴方にそれを託したのかもしれない」
同じ考えだった。
僕が、彼女の探す人の手がかりを握っているかもしれない。
「……東さん、佳代さん。民人さんと2人だけで話したいです」
うつむいていた杏奈ちゃんが顔を上げた。
色を誤魔化しきれていないくすんだ緑の瞳が、僕をとらえた。
東さんと佳代さんは、一度顔を見合わせてから静かに席をたった。
「……杏奈がそうしたいなら」
よろしく、と東さんが僕に耳打ちする。
なにをよろしくするのだろうか。
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