採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~

一色 遥

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第1章 新しい世界と出会い

第65話 2人目

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「ごめんなさい。折角助けてくれたのに……」
「謝ることじゃない。そうだろう、トーマ?」
「せやな。そんなんより、もっと欲しい言葉があるわ」

 さっきまでの暗いモヤモヤした気持ちが、アルさんの手を取ると不思議と晴れて、僕の口からは素直に謝罪の言葉が出た。
 そんな僕の言葉を受け取りつつ、アルさん達は少し意地悪げに笑う。

「……助けてくれて、ありがとう」
「おう! それでええんやで」
「ああ、仲間だからな。1人も欠けさせるつもりはない」
「トーマ君、アルさん……」

 さっき見せられた笑みとは違う。
 見るからに喜んでいるという笑みを見せてくれた2人に、なんだかすごく温かい気持ちが溢れてきた。
 仲間って、こういうものなのかな?

「ま、でもアレやな。アキが弱いってのは分かっとったんやけど……予想以上やったわ」
「……うぐっ」
「トーマ……言い方をもう少し包んでだな」
「包みようがないで?」

 身も蓋もなく言い放つトーマ君に、僕だけじゃなくアルさんやシルフまで呆然とした顔を向ける。
 いや、それはその……わかってはいるんだけど……。

「いや、しかし……アキさんも頑張っては、いるぞ……?」
「あの、アル様? そんな自信の無い言い方は……アキ様は確かに、お強くはありませんが……」

 フォローをしようとしてくれたアルさんとシルフの言葉に、僕の心がメッタ刺しにされる。
 強くないなんて、わかってはいる。
 わかってはいるんだけど……シルフにまで言われるなんて――

「……みんなして」
「あ、アキ様?」
「みんなしてっ!」
「落ち着いてください、アキ様!」

 ふつふつと湧き上がる照れのような怒りのような、そんな感情に任せて、僕が口を開く。
 その感情が伝わったからか、シルフが止めようと抱きついてくるけれど、そんなこと知ったものか!
 僕だって――

「みんなして、なんや? アキは弱かろうと、薬も作れるし。それに、可愛らしいんやからええやんか」

 半ば頭が沸騰していた僕に、トーマ君が軽い口調でそんなことを言ってくる。
 あまりにも場に合わないような言葉に、シルフも呆気にとられたのか、抑えつける力が弱まった。
 そのことに気付いた僕は、一気にシルフを振りほどき、勢いのままに叫んだ。

「僕だって男だ! 弱い弱い言うなー!」
「あ、アキ様ー!?」



「ほう。なるほどな」
「だ、黙っててごめんね……? その、タイミングとかその……」
「……ま、別にええわ」
「え?」

 アバターについての秘密を打ち明けた僕に対し、トーマ君は一瞬考える素振りを見せたかと思うと……すぐさまあくび交じりにそう言葉にした。
 あまりにも、あまりにもな返答に、僕の頭は理解が追いつかない。
 別にいいって……それでいいの?

「何を驚いてんのかは知らんけど、なんとなく納得したってことや。口調も仕草も、妙な違和感があったんも、全部納得がいくからな」
「そ、そう?」
「せやで。ま、君は気付いてへんのやろうけどな」
「……むう」

 むくれる僕を見て笑いつつ、トーマ君はゆっくりと立ち上がり、穴の外へと身体を向ける。
 そして、インベントリからダガーを数本取り出すと「そんで、身体に不調やらは無いんやな?」と訊いてきた。

「あ、うん。大丈夫だと思う」
「そか。ならええな」

 小さく笑ったような音がして……直後、彼は外へとダガーを投げる。
 外は雨……それもまだまだ強さを維持したままの雨の中に。
 しかし、そんな中から、獣のような低い唸り声が聞こえてきた。

「アル」
「ああ。……何体だ?」
「さっきの声のが1匹。周りにも数匹……これは蛇やな。重なり合っとるからか、数はわからん」
「いるのは正面だけか?」
「あー……いや、ちょい離れとるんやけど、左手側に1匹おるな」
「ふむ」

 アルさんは考えるような素振りを見せつつ、チラリと僕を横目で見る。
 ……もしかすると、これは。

「トーマ君。僕が左手側に行ってもいいかな?」
「あん?」
「……無理はしない」

 呟くように言った言葉に、振り返ったトーマ君の口が三日月に歪む。
 そして彼は数本のダガーを山なりに僕へと投げてきた。

「貸したる。返さんでもええ」
「え、でも……」
「牽制くらいには使えるやろ。アキ、ひとつだけ教えたる」

 ダガーを持ったまま戸惑う僕に、トーマ君は真面目な顔を作って言った。

「勝つんは2番目や。……まずは生きることを考えろ」
「……わかった」

 しっかりと頷き返す僕に、トーマ君の口はまたしても三日月に歪む。
 そんな僕らを見て納得したのか、アルさんは大剣を抜き、穴の外へと向けた。

「俺とトーマが前、アキさんは左側だ。――行くぞ」
「ま、危なくなったら逃げてきーや。助けたるわ」
「うん!」

 一気に突っこんでいく2人に、僕の返事が聞こえたのかどうかは分からない。
 ……大丈夫、僕は僕に出来る、僕の戦い方をしよう。

「行こう、シルフ」
「はい! アキ様」
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