142 / 345
第2章 現実と仮想現実
第143話 認めることができません
しおりを挟む
「え!? いや、ちょっとまって!?」
そんな僕の制止も、大きな拍手と歓声に書き消されて、隣の彼女にすら届かない。
しかし、聞こえずとも察知してくれたのだろう……。
反対側にいたオリオンさんが、彼女の手から僕の手を解くと、空の方の手をまっすぐ上へと上げた。
「皆様、少々お待ち下さい。彼女の台頭に異を唱えるわけではございませんが、本人の意思確認もなしに定めることに対しては、彼女の友人として、認めることができません」
「オリオンさん……」
毅然とした態度を見せるオリオンさんのその言葉に、沸いていた拍手や歓声も静まり、そこかしこで「そういわれてみれば、そうだな」といった声が聞こえてくる。
そんな状況を確認し、オリオンさんはさらに言葉を発した。
「そこで、まずは各部門ごとに代表者を選出し、その中からさらにここのトップを決める方法はいかがでしょうか? あなた方も、自分の分野を知らないプレイヤーに指示されるのは少し厳しいものがあるかと思いますので」
「そう言われると確かにね。でも、そうなると数人必要になってくるわよ? ……全部で何人を選ぶのかしら?」
「そうですね……今、この拠点では大きく3つの部門に分けられていますので、そちらにならい、3人を選ぶのはいかがでしょうか? 3人であれば奇数になりますので、意見もまとめやすいかと」
当事者であったはずの僕を置いて、オリオンさん達は次々に話を進めていく。
というか、ちょっと待って……?
僕が立てられることは確定してるの!?
「お、オリオンさん! 僕はそんな!」
「まぁまぁ、アキさん。私もサポートさせていただきますので……。それに……いざというときの味方は多い方がいいでしよう?」
「味方……?」
僕の言葉に、彼は静かに頷き耳元で「昨日の件などの対策にはなるかと」と、囁いた。
対策に……なるのかな?
でも言われてみれば、噂で僕のことを知ってる程度って人は生産プレイヤーにも多い……よね。
それなら、僕のことを実際に知ってもらえば、少しくらいは味方になってくれる人も増える……といいなぁ……。
「ということで、こちらの調薬、調理プレイヤーの代表はアキさんということで」
「う、うぅ……仕方ない、かぁ……」
せめてシルフでもいてくれたらいいのに……。
そう思って右手の印を左手の指で軽く触れる。
少しだけ意識を向けても、シルフとの繋がりは昨日確認した時と変わらない程度しか感じられない。
……いや、なんだか……大きく……いや、気のせいかな。
「では、一時間後に代表同士での会議を行いたいと思いますので、他2部門のプレイヤーからも代表を選抜していただくよう、よろしくお願い致します」
僕がシルフとの繋がりを確認している間にも話は進み、どうやらこの後、会議をすることになっていたようだ。
なんについて話をするのかな……。
各部門ごとに集まるためか、まばらになっていく人を見つつ、僕は隣に立っていたオリオンさんの肩を叩く。
「あの、オリオンさん」
「はい。いかがいたしました?」
「その、僕は何をすれば……」
「そうですね……。アキさんは散歩でもしましょうか?」
「え? 散歩?」
「えぇ、散歩です」
いつものオリオンさんらしい、柔らかな微笑みと共に、彼はそんなことを言い出す。
いや、なにかはわかるけど、なんで……?
例えば会議の打ち合わせとか、そういったことはしなくていいの……?
「アキさんには、こちらの拠点内部をご覧になられておく方が良いかと思いますので」
「そう、ですか……?」
「ええ。それに今の時間であれば、ほとんどの戦闘プレイヤー様は探索に行かれてるでしょうし、気兼ねなく見てまわれるかと」
なるほど……。
それなら確かに今のうちに拠点内部を見てまわっておいた方がいいかな……。
会議しようにも、内部のことを知らなかったら意味がないしね。
「わかりました。それじゃ、僕はちょっと出てこようかと思います」
「はい。お気をつけて。私はこちらにおりますので、何かあれば念話を飛ばしてください。すぐにでも駆けつけますので」
「あ、ありがとうございます……」
オリオンさんは軽く手をあげて、僕を見送ってくれる。
その動きで他の人も気づいたのか、みんなが手を振って送ってくれる。
な、なんだかすごい大物扱いされてるような……気がするよ!?
そんな僕の制止も、大きな拍手と歓声に書き消されて、隣の彼女にすら届かない。
しかし、聞こえずとも察知してくれたのだろう……。
反対側にいたオリオンさんが、彼女の手から僕の手を解くと、空の方の手をまっすぐ上へと上げた。
「皆様、少々お待ち下さい。彼女の台頭に異を唱えるわけではございませんが、本人の意思確認もなしに定めることに対しては、彼女の友人として、認めることができません」
「オリオンさん……」
毅然とした態度を見せるオリオンさんのその言葉に、沸いていた拍手や歓声も静まり、そこかしこで「そういわれてみれば、そうだな」といった声が聞こえてくる。
そんな状況を確認し、オリオンさんはさらに言葉を発した。
「そこで、まずは各部門ごとに代表者を選出し、その中からさらにここのトップを決める方法はいかがでしょうか? あなた方も、自分の分野を知らないプレイヤーに指示されるのは少し厳しいものがあるかと思いますので」
「そう言われると確かにね。でも、そうなると数人必要になってくるわよ? ……全部で何人を選ぶのかしら?」
「そうですね……今、この拠点では大きく3つの部門に分けられていますので、そちらにならい、3人を選ぶのはいかがでしょうか? 3人であれば奇数になりますので、意見もまとめやすいかと」
当事者であったはずの僕を置いて、オリオンさん達は次々に話を進めていく。
というか、ちょっと待って……?
僕が立てられることは確定してるの!?
「お、オリオンさん! 僕はそんな!」
「まぁまぁ、アキさん。私もサポートさせていただきますので……。それに……いざというときの味方は多い方がいいでしよう?」
「味方……?」
僕の言葉に、彼は静かに頷き耳元で「昨日の件などの対策にはなるかと」と、囁いた。
対策に……なるのかな?
でも言われてみれば、噂で僕のことを知ってる程度って人は生産プレイヤーにも多い……よね。
それなら、僕のことを実際に知ってもらえば、少しくらいは味方になってくれる人も増える……といいなぁ……。
「ということで、こちらの調薬、調理プレイヤーの代表はアキさんということで」
「う、うぅ……仕方ない、かぁ……」
せめてシルフでもいてくれたらいいのに……。
そう思って右手の印を左手の指で軽く触れる。
少しだけ意識を向けても、シルフとの繋がりは昨日確認した時と変わらない程度しか感じられない。
……いや、なんだか……大きく……いや、気のせいかな。
「では、一時間後に代表同士での会議を行いたいと思いますので、他2部門のプレイヤーからも代表を選抜していただくよう、よろしくお願い致します」
僕がシルフとの繋がりを確認している間にも話は進み、どうやらこの後、会議をすることになっていたようだ。
なんについて話をするのかな……。
各部門ごとに集まるためか、まばらになっていく人を見つつ、僕は隣に立っていたオリオンさんの肩を叩く。
「あの、オリオンさん」
「はい。いかがいたしました?」
「その、僕は何をすれば……」
「そうですね……。アキさんは散歩でもしましょうか?」
「え? 散歩?」
「えぇ、散歩です」
いつものオリオンさんらしい、柔らかな微笑みと共に、彼はそんなことを言い出す。
いや、なにかはわかるけど、なんで……?
例えば会議の打ち合わせとか、そういったことはしなくていいの……?
「アキさんには、こちらの拠点内部をご覧になられておく方が良いかと思いますので」
「そう、ですか……?」
「ええ。それに今の時間であれば、ほとんどの戦闘プレイヤー様は探索に行かれてるでしょうし、気兼ねなく見てまわれるかと」
なるほど……。
それなら確かに今のうちに拠点内部を見てまわっておいた方がいいかな……。
会議しようにも、内部のことを知らなかったら意味がないしね。
「わかりました。それじゃ、僕はちょっと出てこようかと思います」
「はい。お気をつけて。私はこちらにおりますので、何かあれば念話を飛ばしてください。すぐにでも駆けつけますので」
「あ、ありがとうございます……」
オリオンさんは軽く手をあげて、僕を見送ってくれる。
その動きで他の人も気づいたのか、みんなが手を振って送ってくれる。
な、なんだかすごい大物扱いされてるような……気がするよ!?
0
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
毎日22時投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる