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第2章 現実と仮想現実
第259話 全部を見直そう
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[黒の溶液:回復作用が毒素により変化した謎の液体。
飲むと生きているのが辛くなる、と言われている。]
――これはひどい。
飲むと生きているのが辛くなるって、飲んでも死なないけど死んだ方がマシってことだよね?
絶対飲まないようにしよう……。
「あ、でもこれってもしかして……失敗作じゃないのかもしれない」
ふと頭に出てきたあるアイテムに、この液体との違いを見つけた。
けれど、シルフはそんなことを呟いた僕に、不思議そうな顔を見せる。
(失敗作ではないということは、何かに使えるということですか?)
「たぶん、だけどね」
以前、下級ポーションの良品を作ろうとしていた時に作り上げた失敗品。
あの時の詳細は確か――
[緑色の液体:効果なし
薬草が入っているが、回復力が失われている液体]
だったはず。
ここで問題になってくるのは、前半――緑色の液体:効果なし、の部分だ。
今回と違うのは、効果なしと明確に書かれている点。
[黒の溶液]の方は、回復作用が毒素により変化した謎の液体ってことだから、効果がないってわけじゃないんだよね。
その効果がなんなのかは全くわからないんだけど。
そんなことをつらつらと説明した僕に、シルフは呆けたような顔を見せてからゆっくり息を吐いた。
(アキ様、よく覚えてましたね。あの時ってすぐ捨てちゃいましたよね?)
「そうだね。僕もなんで覚えてたのかはわからないけど……もしかすると初めての失敗だったからかもしれないね」
人の記憶って苦い記憶ほど残るって聞いた事がある。
だからこの記憶が残っていたのは、僕にとっては調薬でもっとも苦い出来事だったからかもしれない。
苦いじゃなくて、辛い記憶って言われたら、ガラッドさんの依頼の時かなぁ。
あの時はタイムリミットもあったし、それなのになんども失敗したし、上手くいったと思っても変な味になったり。
……でも、完成した後はすごく嬉しかった。
ガラッドさんが飲んでくれたって言ってくれたときは、足から力が抜けるくらいに安心した。
今の僕はそういった時間の先に立っていて、そのおかげでこうしてまた新しいことに気付いていけて。
だからこそ――
「僕は、僕のやるべきことをやらないといけないんだ」
(アキ様……?)
「シルフ。ちょっと大変かもしれないけど……全部を見直そう。[黒の溶液]みたいに、別のやり方でなにか――今の状況を打開できるものが見つかるかも知れない」
(え、あ……はい! でも、アキ様その前に)
「ん?」
僕の意気込みに彼女は呆気にとられつつも、すぐに強く頷く。
けれど何かに気付いたように、その顔を苦笑するような表情に変え(そろそろ時間です)と言った。
◇
ずらりと……まるで壁が出来たように僕の周り――後ろの壁を除く周囲を調薬プレイヤーが囲んでいた。
そしてその中から1人……レニーさんの代わりとして今みんなの代表をしてくれている女性が僕の前に瓶を取り出す。
……うん、出来てるね。
「出来たみたいでよかった」
「ポーションを使うというところに行き着くまでに時間が掛かってしまいましたが、それ以降はスムーズに進められたのが大きかったですね」
「途中でちょっとだけ様子を見てたから、なんとなくはわかるよ」
そう返した僕の言葉に周りが少しざわめく。
「いつ見られてたんだ?」とか……見られて困るものを作っていたんだろうか?
僕はレシピも知ってるものを作ってもらってたはずだったんだけど……。
ただ、このままだとざわめきで話が進みそうもなかったこともあり、「みんなお疲れ様」と僕は手を叩いて次の話に進めることにした。
「ついでだから[解毒ポーション(微)]で試したことを伝えるね」
「試したこと、ですか?」
代表の彼女は返す言葉と共に、視線をお薬と僕とで何度も行ったり来たり……。
それに少し笑いながら「使い方とその効果についての話だよ」と、僕は説明を始めた。
飲むと生きているのが辛くなる、と言われている。]
――これはひどい。
飲むと生きているのが辛くなるって、飲んでも死なないけど死んだ方がマシってことだよね?
絶対飲まないようにしよう……。
「あ、でもこれってもしかして……失敗作じゃないのかもしれない」
ふと頭に出てきたあるアイテムに、この液体との違いを見つけた。
けれど、シルフはそんなことを呟いた僕に、不思議そうな顔を見せる。
(失敗作ではないということは、何かに使えるということですか?)
「たぶん、だけどね」
以前、下級ポーションの良品を作ろうとしていた時に作り上げた失敗品。
あの時の詳細は確か――
[緑色の液体:効果なし
薬草が入っているが、回復力が失われている液体]
だったはず。
ここで問題になってくるのは、前半――緑色の液体:効果なし、の部分だ。
今回と違うのは、効果なしと明確に書かれている点。
[黒の溶液]の方は、回復作用が毒素により変化した謎の液体ってことだから、効果がないってわけじゃないんだよね。
その効果がなんなのかは全くわからないんだけど。
そんなことをつらつらと説明した僕に、シルフは呆けたような顔を見せてからゆっくり息を吐いた。
(アキ様、よく覚えてましたね。あの時ってすぐ捨てちゃいましたよね?)
「そうだね。僕もなんで覚えてたのかはわからないけど……もしかすると初めての失敗だったからかもしれないね」
人の記憶って苦い記憶ほど残るって聞いた事がある。
だからこの記憶が残っていたのは、僕にとっては調薬でもっとも苦い出来事だったからかもしれない。
苦いじゃなくて、辛い記憶って言われたら、ガラッドさんの依頼の時かなぁ。
あの時はタイムリミットもあったし、それなのになんども失敗したし、上手くいったと思っても変な味になったり。
……でも、完成した後はすごく嬉しかった。
ガラッドさんが飲んでくれたって言ってくれたときは、足から力が抜けるくらいに安心した。
今の僕はそういった時間の先に立っていて、そのおかげでこうしてまた新しいことに気付いていけて。
だからこそ――
「僕は、僕のやるべきことをやらないといけないんだ」
(アキ様……?)
「シルフ。ちょっと大変かもしれないけど……全部を見直そう。[黒の溶液]みたいに、別のやり方でなにか――今の状況を打開できるものが見つかるかも知れない」
(え、あ……はい! でも、アキ様その前に)
「ん?」
僕の意気込みに彼女は呆気にとられつつも、すぐに強く頷く。
けれど何かに気付いたように、その顔を苦笑するような表情に変え(そろそろ時間です)と言った。
◇
ずらりと……まるで壁が出来たように僕の周り――後ろの壁を除く周囲を調薬プレイヤーが囲んでいた。
そしてその中から1人……レニーさんの代わりとして今みんなの代表をしてくれている女性が僕の前に瓶を取り出す。
……うん、出来てるね。
「出来たみたいでよかった」
「ポーションを使うというところに行き着くまでに時間が掛かってしまいましたが、それ以降はスムーズに進められたのが大きかったですね」
「途中でちょっとだけ様子を見てたから、なんとなくはわかるよ」
そう返した僕の言葉に周りが少しざわめく。
「いつ見られてたんだ?」とか……見られて困るものを作っていたんだろうか?
僕はレシピも知ってるものを作ってもらってたはずだったんだけど……。
ただ、このままだとざわめきで話が進みそうもなかったこともあり、「みんなお疲れ様」と僕は手を叩いて次の話に進めることにした。
「ついでだから[解毒ポーション(微)]で試したことを伝えるね」
「試したこと、ですか?」
代表の彼女は返す言葉と共に、視線をお薬と僕とで何度も行ったり来たり……。
それに少し笑いながら「使い方とその効果についての話だよ」と、僕は説明を始めた。
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