ぐりむ・りーぱー〜剣と魔法のファンタジー世界で一流冒険者パーティーを脱退した俺はスローライフを目指す。最強?無双?そんなものに興味無いです〜

くろひつじ

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27話「早く俺を助けてくれねぇかな」

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 長い船旅を終え、ようやく港町アスーラに到着した。
 ユークリア大陸最北端に位置するここは常に賑わっていて、珍しい品物や食い物の露店が所狭しと並んでいる。
 更には人種だ。この町にはユークリア王国に住んでる種族がほとんど全部揃っている。
 耳の長いエルフやずんぐりむっくりな日焼けしたドワーフ、樽に浸かってるのはマーメイドなのかセイレーンなのか。
 何の亜人か分からないようなデケェ奴もいるな。
 いやぁ、良いね。活気があって何よりだ。

 俺は若干気後れしてっけどな。
 あーあ。行きたくねぇ。けど行かなかったらそれはそれで怒られるんだろうなー。
 ……仕方ない。覚悟決めるか。

 海賊、もといおっさんと子ども達を連れて大通りを進む。
 周りから物珍しそうな目で見られてるけど、知ったことではない。つーかそれどころじゃないし。
 嫌々ながらも歩いていると、目的地に到着した。

 そこそこデカい店に、ヤバい数の行列客。そこら中には美味そうな匂いが漂っている。
 オウカ食堂・アスーラ支店。
 この町で俺が一番来たくなかった場所だ。

「ちわーす」
「お客さん、割り込みは……あれ? 戻ってたんですか?」
「おぅ、久しぶり。あー……サフィーネ、いるか?」
「サフィーネさんなら奥に……あ!」
「ん?」

 不意に、影が差し。

「こ、の、大バカ者がぁっ!!」

 パカーンと。ジャンプから振り下ろされた炒め鍋で思いっきり頭を殴られた。

 いってぇぇぇ!? 全力だったろ、いま!?

「ぐぬぁぁぁ……ちぃっと加減してくれ、マジで」
「うるさい! 連絡も寄越さずにふらふらして! みんな心配してたんだからね!?」
「あー……それは悪かった。すまん」

 特徴的なツインテールの少女に頭を下げる。
 うん、これは連絡しなかった俺が悪いしな。

 彼女、サフィーネはオウカ食堂・アスーラ支店の店長代理をしている子だ。
 まだ若いのに総勢百人を超える従業員の顔や名前はおろか、何が出来るかまで全て把握しているとんでもない奴だ。
 勝気で世話焼き、人情深くて涙脆い。そして、俺に対してだけ手も早い。
 今まで何回ぶっ叩かれたんかね、俺。

「まったく……で、元気にしてるの?」
「まぁまぁな。んで、今日は従業員連れてきた」
「はぁ? アンタが連れてくるって珍しいわねー」
「色々あってなぁ。ざっと十人くらいだけど、大丈夫だろ?」
「そりゃ大丈夫よ。いつでも人手が足りないんだから」

 腰に手を当てて困り顔のサフィーネ。
 おっさんと子ども達を手招きすると、恐る恐る近寄ってきた。

「あら、大人もいるのね。じゃあ警備に回ってもらおうかしら」
「おい待て、話がまったく分からんぞ。説明してくれ」
「あー……ここはオウカ食堂だ。聞いた事あんだろ?」
「オウカ食堂って……あのオウカ食堂か!?」

 今や国中に店舗がある少し変わった弁当屋。
 その従業員のほとんどが元孤児達で、大人は数える程しかいないというぶっ飛んだ店である。
 救国の英雄が立ち上げた、ある意味伝説的な店だ。

 で、まぁ。俺もオウカ食堂に拾ってもらったクチだったりする。
 俺の場合はアスーラじゃなくて王都だったけど。
 食い物があって、寝る場所があって。読み書きや計算を教えてもらい、仕事がもらえた。
 あの時拾って貰えたおかげで、俺はこうして生きている。
 冒険者になっちまったのもまぁ、その辺が理由の一つだ。
 そこは少しだけ後悔してっけど。

「アンタら、ここで働け。おっさん達も冒険者登録出来るはずだし、警備依頼を受ければいい。そこそこ金にもなるし食い物には困らねぇから」
「いいのか? だって俺たちゃ……」
「いいんだよ。何ならここで金貯めて故郷に帰ればいいし」

 多分、なまり的に海を越えた北にある氷の都フリドール辺りの出身だろうし。
 路銀はかかるけど、ここで稼げば問題無いだろ。その間の生活も保証される訳だし。

「ここはアンタらみたいな奴らも多いからよ。何も問題ないって。なぁ店長?」
「店長代理よ。とりあえずみんな、お風呂に入ってきなさい。その後ご飯だから急いでね!」

 いつの間にか来ていた案内の子達に手を引かれ、子ども達は少し不安げに奥へと連れて行かれた。

「うし。おっさんらは冒険者ギルドだな。ちゃっちゃと登録済ませるぞ」
「すまねぇ……恩に切る」

 感謝の言葉にむず痒さを感じて、なんとなく空に目を逸らす。
 そして。
 いつのまにか、気付けばそこに
 と言うか、

「あーっと。サウレ、任せていいか?」
「……大丈夫だけど、ライは?」
「俺か? 俺はまぁ……」

 瞬間。聞き慣れた魔力の排出音と桜色の魔力光を纏い、彼女は広間に着地した。 

「今から

 簡素な白いブラウスに、くすんだ茶色のハーフパンツ、桜型の髪留め。
 そして何より目立つ、この世界に十一人しかいない黒髪をなびかせて。
 両手に紅白の拳銃を持った、見慣れたが、そこに居た。


 うん。そろそろ来るかなぁと思ってたけど、大当たりか。
 あーもー。やっぱり見つかるよなぁ。

「ライさん! あれ! あれって!」
「そんなまさか……本物ですか?」
「……初めて見た」
「あーくそ……あれが偽物だったらいいなって俺が一番思ってるわ。いいからお前ら、ちょっと離れてろ」

 アイテムボックスから愛用のスリングショットと鋼鉄玉を大量に取り出した時。
 俺と彼女にしか聞こえない、中性的な声が響いた。

「――Sakuraサクラ-Driveドライブ Readyレディ.」

 無機質な。でも、どこかイタズラめいた声に、彼女が笑って応える。

Ignitionイグニション!」

 瞬間、彼女の子どものような小さな体躯から桜色の奔流がほとばしる。
 空を埋め尽くすかのような、淡い桜色の魔力光。
 その美しい光景を楽しむ余裕も無く、考えうる限りの彼女の行動パターンを予測。
 その尽くを潰す位置にトラップを仕掛けていく。
 気休めにしかならないだろうが、なんの抵抗も無くやられはしない。つもりなんだが……無駄なんだろうなぁ。

「おかえり。長いこと連絡も無かった事の言い訳は後で聞いてやるから」

 薄紅色を曳いてゆらりと歩いてくる英雄の姿に、内心ビビる。やっべぇ、やっぱめっちゃ怒ってるわ。

「とりあえず、私と踊ろうか。大バカ野郎」

 救国の英雄。『夜桜幻想トリガーハッピー
 ユークリア王国現国王、オウカ・サカード。

 かつて俺を救ってくれた少女は、獰猛に、美しく、そして優しげに笑っていた。


「勘弁してくれって、マジで! ごめんなさい! 俺が悪かったから!」
「問答無用。まずは、お仕置きだ」

 彼女が構える。体を半身に開き、腰を落として。
 左手はまっすぐ伸ばし、右手は肘を上、逆手にして顔の横へ。
 その両手には、この世界に一対しか無い紅白の拳銃。
 彼女の臨戦態勢。戦いを始める合図。

 うっわぁ。ガチじゃねぇか。

 瞬間。瞬きをした訳でもないのに、彼女の姿がふわりと消える。
 残された桜の燐光。その軌道は、俺の真横。
 慌てて身を屈めると、頭のあった位置を凄まじい勢いの回し蹴りが通り過ぎた。
 遅れて鉄鋼玉から鉄の棒が突き出てくる。彼女からは死角になる方向から伸びてきたそれは、しかし首を傾げるだけで意図も簡単に躱された。
 次いで伸びてきた棒。それに目を向ける事もせず銃底で弾き飛ばし、別のトラップに叩き付ける。

 ガキンッ! と甲高い音。それが連続し、時間差で発動する罠を次々と逸らしていく。
 その場から一歩も動かず。ただ最低限の動きだけで全ての仕掛けを無効化され、慌てて次の罠を設置するが時は既に遅し。
 地面に向かって目潰し玉を投げ付けようとした時、彼女はそれより速く黒髪を靡かせて目の前でくるりと優雅に回転した。振り回された銃底を腕で受けると、笑えるくらい吹っ飛ばされる。
 痛みは全く無い。
 彼女は打撃の衝撃を完全に外に逃がしている。当たってもただ吹っ飛ばされるだけだ。
 だけなんだが。

「ちょ、怖い怖い怖い! マジで勘弁してくれって!」

 物凄い勢いで吹っ飛ばせれてんだが!?
 これやっぱ怖いって!

 俺の叫びを無視して再び迫る薄紅色。そこに、短剣を構えたサウレが飛び込んできた。
 振り下ろされた銃底を短剣で受け、拮抗する。

「え、サウレ!? 危ねぇから引っ込んでろって!」
「……ライは私が守る。この身に変えても」
「ライ? ふぅん。今はそう名乗ってるのか。良い仲間を持ったね」

 笑い、廻るくるり。繰り出された低い軌道の蹴りに足を刈り取られ、サウレの体勢が崩れる。
 そこに繰り出された銃底。短剣の上から叩きつけられたそれは、意図も簡単にサウレを吹き飛ばした。

「へぇ。後ろに飛んで威力を殺したのか。強いんだね」
「……何この人。化け物?」
救国の英雄化け物なんだよ! マジで危ないから後ろにいろって! 俺だけなら大丈夫だから!」
「……ライは、私が守る!」

 強い言葉。嬉しいが、今はマジで引いて欲しい。
 怪我はしないだろうけど話がややこしくなる。

「私も! 加勢します、よっとぉ!」

 いつの間にか近付いて居たアルが巨大な両手剣を彼女の背後から振り下ろす。
 あの馬鹿、加減してねぇじゃん!

「まだ仲間がいるの? そっか、成長したね」

 再度、廻るくるり。黒髪を靡かせ、笑う。
 彼女の遠心力を乗せた一撃は、迫り来る両手剣の腹を叩いて軌道を逸らして見せた。
 ほんの瞬き程度遅れれば真っ二つになってしまう、そんな刹那のタイミングを逃さず、的確に、当たり前のように。
 そのまま回転しながら、俺の背後に向かって桜色の魔力の弾丸を連続で撃ち出す。
 その銃撃は、ジュレが仕掛けた氷魔法の奇襲を狙い違わず粉砕した。

「あはは、甘い甘い。私を止めたいなら、そうだね」

 小さな体躯、愛らしい顔。夜のような黒い長髪、迸る桜色。
 その全てで構成された英雄は、獰猛に笑う。

「世界最強でも連れてきな」

 瞬間。誰もが彼女を見失った。

 次いで聞こえる衝撃音。吹き飛ばされる俺の体。
 やはり痛みは無く、ただ恐ろしい勢いで景色が流れて行く。
 飛ばされながらも多種多様なトラップを仕掛けるが、英雄はそれら無茶苦茶な軌道で全て避けながら急接近してくる。
 そして、更に追撃。放たれた後ろ回し蹴りは俺の胸元に吸い込まれた。

「うぶぁっ!?」

 急加速させられた俺は大通りを抜け、港を越えて海まで吹っ飛ばされた。
 砲弾のような勢いで海面に叩きつけられる。大して痛みはない。ないんだが……

 ちょっとやり過ぎじゃないかこれ!?
 海水がめっちゃ冷たいんだけど!?

「アンタは頭を冷やして反省してね。さて、こっちの子たちは……まだやる?」
「やらねぇから! お前らマジでやめとけって! て言うか助けて、一人じゃ海から出られねぇから!」

 絶壁になってる堤防をよじ登るのは流石に無理があるから!
 誰かロープでも投げてくれよ、マジで!

「……貴女は、敵じゃない?」
「私はあの大バカ野郎の身内だよ。何も聞いてない?」
「……初耳。だけど、何となく敵じゃない気がする。とりあえず、ライを助けてきても良い?」
「そうだね、助けてあげて。一人じゃ上がれないだろうし……状況終了」

 腰の後ろに提げた革製のホルダーに拳銃を差すと同時に、纏っていた桜色の魔力光が霧散する。
 良かった。気が済んだようだ。

 獰猛な笑みが消え、人懐っこい普段の笑顔に変わる。
 救国の英雄から、一人の少女に切り替わる。

「えぇと。とりあえず、自己紹介かなー。私はオウカ。ただの町娘で、ライの家族です」
「……は?」
「え?」
「はい?」

 三人揃って訳の分からない顔をしている。
 うん。分かるぞ、その気持ち。俺もツッコミ入れてぇし。
 でもそれより先に、誰でもいいからさ。

 早く俺を助けてくれねぇかな。
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