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1章 合法ロリ店長!

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「あ~あ、やっちゃったなぁ」

 家に着いた僕はすぐに自分の部屋に入ると、ベッドにダイブしてスマホを眺めながら反省していた。
 あの時は助かることしか考えてなかったの!!だってお姉さんの反対はロリじゃん!ロリコンって言えば助かると思うじゃん!!社会的に死ぬとは思わないじゃん!!自分に自分で言い訳をしていると、スマホが震えた

『登録名 バイト先 店長』

 きてしまった。震える手で僕は電話をとった

「もしもし、おはようございます岩松です」
「あぁ、おはよう」

 なんで朝じゃないのにおはようございますというかと言うと、仕事場での挨拶はおはようございますだからだ!僕のところだけじゃなくて、他の会社もそういう所が多いと思う。ここ!テストに出るから気をつけろよ!!

「それで・・・やっぱり僕はクビですか。ですよね、そうですよね。ロリコンが一緒の職場ってキモいですよね。いや、本当に今までありがとうございました。短い間でしたけど、楽しかったです」
「うん、その事なんだが、やっぱり電話じゃケジメがつかんから、直接会わんか?」
「え?でももう夜の7時ですよ?」
「ちょうど店の片付けが終わったところだ。食事はもうとったのか?」
「いえ、まだですけど」
「なら丁度いい、1回店まで来てくれ」
「あっ、ちょっと・・・」

 ピーピーピーピー

 店長はいつも自分の言いたいことを言い終えると、すぐに電話を切ってしまう。前にも治してって言ったじゃないですか!その癖のせいで僕が何度シフトを増やされたと・・・トホホ。
 まぁでも、僕もちゃんとケジメを付けておきたいからお店に向かうことにした。

カランカラーン


「店長、岩松です」
「あぁ優月待ってたぞ、じゃあ行こうか」

 奥から出てきた店長の姿に僕は固まってしまった。まず、店長はガチガチのロリっ子だ。身長149cm(1人で149じゃ足りない足りないと言っていたから間違いないだろう)、髪は長めで後ろでまとめている。本人曰く、ポニーテールにすると大人に見えるらしい。そして、なんと言っても服装だ。店長の服は喫茶のエプロン姿しか見たことがなかったけど、今の店長は可愛いピンク色のワンピースを着ている。

「なんでさっきから何も言わないんだ?ど、どうかな?似合ってる・・・かな?」

 少し頭をかしげて、上目遣いで僕に聞いてくる。うぅ、これは反則級に可愛い・・・いやいや、僕はロリコンじゃないんだ!落ち着け落ち着け、いくら歳上でもロリっ子だ!胸もない!だからドキドキするな僕!!

「は、はい!似合ってますよ!!」
「そっか、なら良かった」

 ふふっ、と笑った店長がすごく魅力的に見えたのはきっと僕の気のせいだろう。

「店長、それでどこに行くんですか?」

 僕が質問をすると、店長はむぅっ、という顔をして

「もう店は終わってる。だからもう私は店長じゃない!ちゃんと名前で呼んでくれ。苗字の麻枝あさえでも、名前の由乃ゆのでもいいから」
「わ、わかりました麻枝さん」
「むっ、まぁ今はまだそれでいいか」

 店長!店長!!今はまだってなんですか?!

「じゃあ行くから私についてこい」
「あっ、ちょっと待ってくださいよ店長!」
「店長?」
「じ、じゃなくて麻枝さーん!」




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 着いたのは居酒屋さんだった。店長は何も気にしない感じで入っていく。多分ここの常連なんだろう。っていうか、居酒屋って未成年入っていいのかな?!

「早く来い」

 店長に急かされて僕も後ろをつけて行った。

「らっしゃいませ!テーブルとカウンター、それから個室とどれがいいっすか?」
「ゆっくり話がしたいから個室を頼む」
「りょっかいしやしたーっ!個室2名様入りまーす!」
「「「「「らっしゃいませー!」」」」」

 熱気がすごい。店員さんも皆元気だ。店内の様子を見て呆けていると、店長が僕の手を引いて個室に連れていってくれた。あっ、店長の手小さくて柔らかくて温かい・・・

「何にする?」
「僕このお店というか、居酒屋初めてなので麻枝さんにお任せしてもいいですか?」
「じゃあとりあえず生2つかな?」
「いやいや、僕はまだ未成年ですよ?!だからソフトドリンクで!」

 まったく、この人は未成年に酒を進めてどうするんだ。


 それからは、店長が注文してくれて、来たものを食べた。味はとても美味しかった。それにしても、店長はよく飲む。ビールから始まって、日本酒、日本酒を飲み終えたかと思ったらまたビール。外見がロリっ子なのにがぶがぶお酒を飲む姿がとても面白かった。そして、いい感じに仕上がってきたところで、店長が話を切り出した。

「なぁ優月」
「どうしたんですか?麻枝さん」
「お前、ロリコンってあれほんとなのか?」

 僕は本当はお姉さんが好きですと言おうと、店長の顔を見た瞬間、ドキッとした。お酒のせいか、顔が赤くなっていて、ワンピースの襟のところから鎖骨がチラッと顔を見せていて、なんていうかすごいエロい。だから僕は、今の気持ちを正直に答えることにした。

「わ、わかりません。僕自身はお姉さんが好きだと思っていました。でも、その、今の店長の姿を見ていると、なんというか、凄い魅力的に感じます」

 僕が思ったことを口にすると、店長は顔を真っ赤にして

「そ、そうか?!な、なんというかありがとうな」

 その後、少しの間沈黙が続いたが、店長がもう我慢出来ないという風に残っていたお酒を全部飲み干した。

「ゆじゅきぃ、もぉかえるじゅお~」

 やばい!最後のお酒が決め手になって、店長がベロンベロンに酔っている!!僕は慌てて店長に方を貸してから店を出た。



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 店長は今僕の背中で寝ている。これからどうしようかと悩みながら僕はスマホを見た。もう11時半かぁ、この時間なら親も寝ていると思うし、こっそり家に入って店長は僕の部屋で寝かせよう。僕は床に布団をしいて寝たらいいしね。
 ちょうど明日は水曜日で喫茶もお休みだ。僕は学校だけどテストだから午前中授業だ!ん?なんでテスト前日なのにバイト入ってんだって?ふふふっ、こう見えて僕の順位は学年全体でも上位だ。なのでバイトに入ってても問題ないのだよ!
 などと思っているうちに家に着いた。音を立てないように家に入り、僕のベッドに店長を寝かせてから僕も夢の世界に旅立った。
 寝るか寝ないかの狭間ら辺で僕は思い出した。あっ、クビになるのかどうか聞いてないやぁ・・・
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