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静かな本当の世界のはじまり
~1~
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【計画の日】それをいざ実行するとなるとなぜか緊張していたけど、この為に長い準備をしてきた。
本当に長い日々を準備に費やした。だから、失敗するわけには、いかない。
決意を固めて、部屋を見渡す。
よし、完璧。
今日の服は、白い襟なしのワイシャツに黒のパンツにした。これが私の中の一番の正装だ。
車に乗り込み私は、″計画の場所に向かう。
目的の場所は、緊張がほぐれる前に到着してしまった。いざ目の前にすると噂通り綺麗で立派なお家だ。
時計を確認する。
ふぅ、もうすぐかな。
コツコツ
足音の方へ体を向けると学校帰りであろう一人の白く細い女の子が歩いてきた。
その子には、まるで私が見えていないのか、目が合うこともなく家の方へ歩いていく。
やっと会えた。
小さな声で無意識に発した言葉をその場に置き去りにし、私は、その子に声をかける。
ねぇ、そこの子!私と一緒に行こう!
その声を聴いて、その子は、やっと私を認識する。きっと不審な人だと認識されているんだろうな。
それでもこの計画は、私の全てをかけた自己満足なのだから、ここで引くことなんて頭にもない。
もしも、死にたいなら、生きたいなら、私と行こう。
女の子は、少し考えて、たった一言答えた。
どうして、私?
そんなの考えなくても答えられる質問だ。だから、なるべくまっすぐ目を見て聞こえやすい声で、
好きだからだよ。信じなくてもいい。利用でもいいから、今は私についてきて。
その子は、その答えに何も言わず、家の中へ入って行ってしまった。
と、思っているとまた家のドアが開く。
女の子は、たった一つトートバックを持って戻ってきた。
行く。
女の子と車に乗り込む。
ありがとう。ついてきてくれて。とりあえず私の家で暮らしてもらおうと思うんだけど
その前にドライブしながら少しお話ししようと思うんだけどいい?
はい。
その返事をきっかけに私は、車を走らせた。
まず、私の名前からだね。
私の名前は、古城 六花(こじょうろっか)今年で22歳だよ。
あなたの名前は?
雷華、海門 雷華(うみかどらいか)17
らいか、綺麗な名前だね。
じゃあキラには、私の家で暮らしてもらうんだけど部屋は、一人部屋だから安心して。
それから日中は、基本的にずっと仕事で家を空けているからそこまで、気を遣うこともないと思うの。
家事は私が基本するつもりだから、キラは遊ぶなり、ゆっくり過ごすなりしてくれればいいかな。
キラってなんですか。
雷華、かみなりって綺麗に光るでしょう?だからキラ!
キラは、基本的に笑わないし戸惑ったり感情の変化が少ない。思っていた以上だった。
会話も端的で、無駄なことは話さないし聞かない。でもまだ私の″計画は始まったばかりだ。
家に到着し、部屋や、基本的な説明を終わらす。
今日は、もう遅いので、ご飯は買ってきたもので済ませた。使った食器を洗っていると
手が滑って、持っていたお皿がシンクに落ち割れてしまった。慌ててキラを見る。
キラの目は、泣いているわけではなく、その逆に光が消えてしまったようにただシンクを見ていた。
キラ?ごめんね、びっくりさせたね。
私のことが好きってほんとうですか?
私を見ているはずのキラの目には、私はまだきっと映っていない。
うん、本当だよ嘘じゃない。そうだなぁ。
私は、シンクで割れているお皿の破片を一つ取り出し、思いっきり握った。
キラが初めて驚いた顔をした。私は、それが嬉しくて、悲しくて。言葉をつづけた。
どうしたら信じてくれるのかわからないし、すぐに信じてほしいわけじゃない
私は、痛いのは、嫌いだし怖い。でもこれでお揃いだね。
キラの手首には、傷があった。たった一つだけどかなりの深さであるのは、目視でもわかる。
同じものが欲しかった。その痛みを悲しみを苦しみをほんの少しでも私が肩代わりできるように。
キラは、私の言葉を聞いた後、私の前まで距離を詰めてまた無表情でそっと私の手からお皿を取り出した。
分かりました。六花さん。ここに住みます。
そういってタオルで血を拭きとってくれた。キラの手は、冷たく細くて私は、ずっとキラの手から
目を離せなかった。自分で手当てを終えた後、キラには明日のすることを伝えるため部屋をノックした。
返事を聞き部屋を開けると明日の予定を伝える。そして最初のおやすみを伝えた。
部屋に戻り私も眠ることにする。とりあえず″計画の最初の段階は成功だ。
ただ、予想の百倍、手が痛い。痛みと戦い眠りについた。
カタッ。物音で目を覚ますと目の前にキラが立っていた。
眠れないの?なにか困ったことでもあった?
キラに問いかけても返事はない。不思議に思って起き上がろうとすると
キラは、そっと動き出した。
布が擦れる音がする。まだ暗くてキラが何をしているのかわからず音のする方へ目線を向けていると
月の光がちょうど部屋に入ってきて、キラがさっきまで服を脱いでいたことを知った。
なに?
私は、何もできることもあげれるものもないから。好きって言われたから、こうすればいいのかなって。
そう真顔で答えながらキラは、私の布団へ入ってくる。
キラ。私のこと好き?
そう聞くとキラの動きが止まる。
キラ、そんなに言うなら、一つこの家にいる条件つけてもいいかな?
好き?なんて問いの答えなんて聞きたくもない私は、条件を一つつけることにした。
私は、いつものように起床後のたばこを吸っていた。そこにキラが現れて私の背後に立つ。
キラは、細い腕をそっと私の肩に回し小さな声で おはよう。といった。その言葉で私の世界は動き始めた。やっと始まったんだ。
・・・・・・
条件は、毎日一回私とハグして。朝でもいいし私が仕事終わりでもいい。いつでもいいから
キラから私を抱きしめてくれればいいよ。
なんですか?その条件。そんなことで・・・。
私は、キラが好きだけど別に変なことがしたいからここへ連れてきたわけじゃない。
だから、その条件を飲んでくれれば私は嬉しい。そうしてくれれば私は、その日一日がキラとの一日だと
思えるから。お願いできるかな?
・・・・・・・
私の家はとても大きく綺麗だ。ただ外面だけ。
静かに心が砕ける音がしていた、砕けて無くなるのをどこかで
待っていたんだと思う。
家に帰りたくない。それでも帰るところは他になかった。
だけどその日から変わった。
私を好きだというその人は多分あった事がない人。
私に対して何も聞かないし求めない、優しい人。きっと誰にでもだから。
お揃いなんて、、。
家に着くなり荷物を広げるけどそんなに物は、ない。私の部屋には寝具にテレビ洋服棚があり、
洋服棚にある服は、着てくれて構わないと言ってくれた。寝具もテレビも服もすべてから
新品の匂いがした。まるで誰かが生活してたように快適なのに全てが新品なのがどこか歪で、
それが不思議と私を安心させた。部屋を見回していると部屋をノックされた。体が固まる。
声を振り出し返事をするとゆっくりドアが開く。音を立てずにドアが開く。部屋の前で、
決して部屋には、入ってこず、明日は、服や必要なものを買いに行こうといわれた。
昼頃に出かける予定だから支度しておいてほしいとだけ言って、六花さんは、部屋を離れた。
おやすみ、と言った。休んでほしいとそう願っているように聞こえた。
ますます、わからない。私を好きな理由も、なぜこんなに私に簡単に物を場所を与えてくれるんだろう。
冬の夜は、長い。
夜が長いのは、好き。学校に行く時間が遅くなるように思えて、帰るってこと自体が遅くなる
ように感じれるのが好きで、夜が長いのは怖い。消えてしまいたいのに消えられないことが辛くて
怖くて、布団は、ふかふかで聞こえるのは、時計の音だけ。ふとたまらなく怖くなって、
ここが安心できる場所だと思いたくて、私は、布団を出た。
六花さんの部屋の前に立つと匂いが強くなった。もっとその匂いを存在を感じたくて、静かにドアを開く。
真っ暗の中、寒さだけが体に刺さる。顔が見える位置まで近づく。
手には、包帯が巻かれている。綺麗には、巻けてなくて、なぜ簡単にお揃いなんて
言葉で片付けられるのか不思議になる。普通自分の手を切るなんて簡単じゃないはずなのに
あの時、お皿が割れる音に私の思考は、完全にストップした。自分のいる場所が急に引き戻された
ように思えた。好きだと言って私を連れだしたこの人もきっと。そう疑ってしまいそうになる。
なのに迷いなく破片を握るその行動に驚いた。
家の前で、好きだといった六花さんの顔は、とてもとても苦しそうだった。
嬉しそうなんかじゃなくて、苦しそうに泣き出しそうに好きだと言った。
破片の握りながら好きだといった顔は、ただ私だけを見ていた。私に言葉を優しく投げるように
好きだといった六花さんを少しだけ信じてしまいたいと思った。お揃いだと嬉しそうにいう
六花さんの好きをただ何も疑わずに聞けるような子じゃないことが申し訳なった。
寒い部屋で眠る六花さん寝顔は
泣いた跡がついていた。
私に気づいた六花さんは、優しく怒ることなく私を心配する。優しさが苦しい。怖い。
何も返せないことが怖い。返せるもの。そして私は、服を脱いだ。それしか思いつかなかった。
私のこと好き?
まただ。苦しそう、悲しそう。泣き出してしまいそうな顔をする。
その問いに対して答えたいのに言葉が思いつかなくて、その顔が月に照らされて綺麗で。
なにも言い出せない私に六花さんは、条件をくれた。
それを聞いて、部屋に戻る。自分の服からは濃く六花さんの匂いがした。
朝になった。あまり眠れなかったけど、気分は悪くない。条件いつやればいいんだろう。
考えながら部屋から出ると昨日と匂いが変わっていた。速足でリビングに向かうと六花さんの姿が見えた。
タバコを吸うことの意外さに驚く前に、私は、六花さんの背後から抱き着いていた。
ここにいる、夢じゃなかった。
その安心感から久しぶりに私は本当の意味で、声を出した。
おはよう。
本当に長い日々を準備に費やした。だから、失敗するわけには、いかない。
決意を固めて、部屋を見渡す。
よし、完璧。
今日の服は、白い襟なしのワイシャツに黒のパンツにした。これが私の中の一番の正装だ。
車に乗り込み私は、″計画の場所に向かう。
目的の場所は、緊張がほぐれる前に到着してしまった。いざ目の前にすると噂通り綺麗で立派なお家だ。
時計を確認する。
ふぅ、もうすぐかな。
コツコツ
足音の方へ体を向けると学校帰りであろう一人の白く細い女の子が歩いてきた。
その子には、まるで私が見えていないのか、目が合うこともなく家の方へ歩いていく。
やっと会えた。
小さな声で無意識に発した言葉をその場に置き去りにし、私は、その子に声をかける。
ねぇ、そこの子!私と一緒に行こう!
その声を聴いて、その子は、やっと私を認識する。きっと不審な人だと認識されているんだろうな。
それでもこの計画は、私の全てをかけた自己満足なのだから、ここで引くことなんて頭にもない。
もしも、死にたいなら、生きたいなら、私と行こう。
女の子は、少し考えて、たった一言答えた。
どうして、私?
そんなの考えなくても答えられる質問だ。だから、なるべくまっすぐ目を見て聞こえやすい声で、
好きだからだよ。信じなくてもいい。利用でもいいから、今は私についてきて。
その子は、その答えに何も言わず、家の中へ入って行ってしまった。
と、思っているとまた家のドアが開く。
女の子は、たった一つトートバックを持って戻ってきた。
行く。
女の子と車に乗り込む。
ありがとう。ついてきてくれて。とりあえず私の家で暮らしてもらおうと思うんだけど
その前にドライブしながら少しお話ししようと思うんだけどいい?
はい。
その返事をきっかけに私は、車を走らせた。
まず、私の名前からだね。
私の名前は、古城 六花(こじょうろっか)今年で22歳だよ。
あなたの名前は?
雷華、海門 雷華(うみかどらいか)17
らいか、綺麗な名前だね。
じゃあキラには、私の家で暮らしてもらうんだけど部屋は、一人部屋だから安心して。
それから日中は、基本的にずっと仕事で家を空けているからそこまで、気を遣うこともないと思うの。
家事は私が基本するつもりだから、キラは遊ぶなり、ゆっくり過ごすなりしてくれればいいかな。
キラってなんですか。
雷華、かみなりって綺麗に光るでしょう?だからキラ!
キラは、基本的に笑わないし戸惑ったり感情の変化が少ない。思っていた以上だった。
会話も端的で、無駄なことは話さないし聞かない。でもまだ私の″計画は始まったばかりだ。
家に到着し、部屋や、基本的な説明を終わらす。
今日は、もう遅いので、ご飯は買ってきたもので済ませた。使った食器を洗っていると
手が滑って、持っていたお皿がシンクに落ち割れてしまった。慌ててキラを見る。
キラの目は、泣いているわけではなく、その逆に光が消えてしまったようにただシンクを見ていた。
キラ?ごめんね、びっくりさせたね。
私のことが好きってほんとうですか?
私を見ているはずのキラの目には、私はまだきっと映っていない。
うん、本当だよ嘘じゃない。そうだなぁ。
私は、シンクで割れているお皿の破片を一つ取り出し、思いっきり握った。
キラが初めて驚いた顔をした。私は、それが嬉しくて、悲しくて。言葉をつづけた。
どうしたら信じてくれるのかわからないし、すぐに信じてほしいわけじゃない
私は、痛いのは、嫌いだし怖い。でもこれでお揃いだね。
キラの手首には、傷があった。たった一つだけどかなりの深さであるのは、目視でもわかる。
同じものが欲しかった。その痛みを悲しみを苦しみをほんの少しでも私が肩代わりできるように。
キラは、私の言葉を聞いた後、私の前まで距離を詰めてまた無表情でそっと私の手からお皿を取り出した。
分かりました。六花さん。ここに住みます。
そういってタオルで血を拭きとってくれた。キラの手は、冷たく細くて私は、ずっとキラの手から
目を離せなかった。自分で手当てを終えた後、キラには明日のすることを伝えるため部屋をノックした。
返事を聞き部屋を開けると明日の予定を伝える。そして最初のおやすみを伝えた。
部屋に戻り私も眠ることにする。とりあえず″計画の最初の段階は成功だ。
ただ、予想の百倍、手が痛い。痛みと戦い眠りについた。
カタッ。物音で目を覚ますと目の前にキラが立っていた。
眠れないの?なにか困ったことでもあった?
キラに問いかけても返事はない。不思議に思って起き上がろうとすると
キラは、そっと動き出した。
布が擦れる音がする。まだ暗くてキラが何をしているのかわからず音のする方へ目線を向けていると
月の光がちょうど部屋に入ってきて、キラがさっきまで服を脱いでいたことを知った。
なに?
私は、何もできることもあげれるものもないから。好きって言われたから、こうすればいいのかなって。
そう真顔で答えながらキラは、私の布団へ入ってくる。
キラ。私のこと好き?
そう聞くとキラの動きが止まる。
キラ、そんなに言うなら、一つこの家にいる条件つけてもいいかな?
好き?なんて問いの答えなんて聞きたくもない私は、条件を一つつけることにした。
私は、いつものように起床後のたばこを吸っていた。そこにキラが現れて私の背後に立つ。
キラは、細い腕をそっと私の肩に回し小さな声で おはよう。といった。その言葉で私の世界は動き始めた。やっと始まったんだ。
・・・・・・
条件は、毎日一回私とハグして。朝でもいいし私が仕事終わりでもいい。いつでもいいから
キラから私を抱きしめてくれればいいよ。
なんですか?その条件。そんなことで・・・。
私は、キラが好きだけど別に変なことがしたいからここへ連れてきたわけじゃない。
だから、その条件を飲んでくれれば私は嬉しい。そうしてくれれば私は、その日一日がキラとの一日だと
思えるから。お願いできるかな?
・・・・・・・
私の家はとても大きく綺麗だ。ただ外面だけ。
静かに心が砕ける音がしていた、砕けて無くなるのをどこかで
待っていたんだと思う。
家に帰りたくない。それでも帰るところは他になかった。
だけどその日から変わった。
私を好きだというその人は多分あった事がない人。
私に対して何も聞かないし求めない、優しい人。きっと誰にでもだから。
お揃いなんて、、。
家に着くなり荷物を広げるけどそんなに物は、ない。私の部屋には寝具にテレビ洋服棚があり、
洋服棚にある服は、着てくれて構わないと言ってくれた。寝具もテレビも服もすべてから
新品の匂いがした。まるで誰かが生活してたように快適なのに全てが新品なのがどこか歪で、
それが不思議と私を安心させた。部屋を見回していると部屋をノックされた。体が固まる。
声を振り出し返事をするとゆっくりドアが開く。音を立てずにドアが開く。部屋の前で、
決して部屋には、入ってこず、明日は、服や必要なものを買いに行こうといわれた。
昼頃に出かける予定だから支度しておいてほしいとだけ言って、六花さんは、部屋を離れた。
おやすみ、と言った。休んでほしいとそう願っているように聞こえた。
ますます、わからない。私を好きな理由も、なぜこんなに私に簡単に物を場所を与えてくれるんだろう。
冬の夜は、長い。
夜が長いのは、好き。学校に行く時間が遅くなるように思えて、帰るってこと自体が遅くなる
ように感じれるのが好きで、夜が長いのは怖い。消えてしまいたいのに消えられないことが辛くて
怖くて、布団は、ふかふかで聞こえるのは、時計の音だけ。ふとたまらなく怖くなって、
ここが安心できる場所だと思いたくて、私は、布団を出た。
六花さんの部屋の前に立つと匂いが強くなった。もっとその匂いを存在を感じたくて、静かにドアを開く。
真っ暗の中、寒さだけが体に刺さる。顔が見える位置まで近づく。
手には、包帯が巻かれている。綺麗には、巻けてなくて、なぜ簡単にお揃いなんて
言葉で片付けられるのか不思議になる。普通自分の手を切るなんて簡単じゃないはずなのに
あの時、お皿が割れる音に私の思考は、完全にストップした。自分のいる場所が急に引き戻された
ように思えた。好きだと言って私を連れだしたこの人もきっと。そう疑ってしまいそうになる。
なのに迷いなく破片を握るその行動に驚いた。
家の前で、好きだといった六花さんの顔は、とてもとても苦しそうだった。
嬉しそうなんかじゃなくて、苦しそうに泣き出しそうに好きだと言った。
破片の握りながら好きだといった顔は、ただ私だけを見ていた。私に言葉を優しく投げるように
好きだといった六花さんを少しだけ信じてしまいたいと思った。お揃いだと嬉しそうにいう
六花さんの好きをただ何も疑わずに聞けるような子じゃないことが申し訳なった。
寒い部屋で眠る六花さん寝顔は
泣いた跡がついていた。
私に気づいた六花さんは、優しく怒ることなく私を心配する。優しさが苦しい。怖い。
何も返せないことが怖い。返せるもの。そして私は、服を脱いだ。それしか思いつかなかった。
私のこと好き?
まただ。苦しそう、悲しそう。泣き出してしまいそうな顔をする。
その問いに対して答えたいのに言葉が思いつかなくて、その顔が月に照らされて綺麗で。
なにも言い出せない私に六花さんは、条件をくれた。
それを聞いて、部屋に戻る。自分の服からは濃く六花さんの匂いがした。
朝になった。あまり眠れなかったけど、気分は悪くない。条件いつやればいいんだろう。
考えながら部屋から出ると昨日と匂いが変わっていた。速足でリビングに向かうと六花さんの姿が見えた。
タバコを吸うことの意外さに驚く前に、私は、六花さんの背後から抱き着いていた。
ここにいる、夢じゃなかった。
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おはよう。
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