6 / 15
ニート、やる気を出す
しおりを挟む
あたりをキョロキョロと見渡せば、頭ひとつ分周りより高い金髪の男性を見つけた。スーさんだ。向こうもこちらに気がつき、手招きしている。
門の前に並ぶ人たちの邪魔にならないように、ゆっくりと合間を縫って進み、スーさんの前に出る頃には、また彼は眉間に皺を溜めていた。
「遅い!」
「人にぶつからないように歩いていたので、遅くなっちゃいました」
「言い訳をするな。移動はダッシュ! いいか、肝に銘じろ」
「ああ、はい」
「ああ、はいらない!」
「ああ」
「こいつ……!」
プルプルと拳を振るわせていたので、また怒られると思ったのだが。
彼はそのままグッと拳を握ったかと思うと、それを引っ込め、ため息をつき、深呼吸をして自身を落ち着けたようだ。
「いいか、お前の今日の役目は、そこの見張り台に登って、読み込んだリストに合致する人物がいないかどうか確認することだ。誰かいれば俺に知らせろ。わかったな」
「あの、お昼休憩とかありますか。あと終業時刻とかを教えていただけると」
「わかりました、は?」
「あ、はい、わかりました」
「ったく……。12時から1時の間は、門自体を締める。その間に昼食を取れ。また、開門は9時で閉門が五時だ。その間はずっと、今のような形で出入国審査をやっている。時間外は夜勤の門番が対応する。余程の緊急事態でない限り、開門時間外の出入国は認めていない」
「え、あの私、交代とかは。ずっと監視しっぱなしですか?」
じろり、と胡乱な目を向けられた。「わかりました」と慌てて言うと、スーさんは説明を続ける。
「お前の任務は、試験的な『特別任務』だ。出入国審査を行う門番たちも、怪しい人物がいないか目を凝らしている。開門時間内、お前は『できるだけ』怪しい人物をチェックしろ。だから交代人員はいない」
「ええ~」
「ええ~じゃない。他にお前にできる仕事はあるのか。何か得意な雑用は。書類整理は? 掃除は?」
「……ないです。どっちも苦手です」
「よし。頑張れるな?」
「……はい」
「いい返事だ」
しぶしぶ見張り台へと上がっていく。この城門は内側から見て左が出国口、右手が入国口になっているようで、それぞれ二列ずつに分かれて人や物資が並ばされている。
(ああ、あれか。ヘテルって。へえ、門のアーチ下の床自体に埋め込まれてるんだ)
門のアーチの下だけ、床の色が違う。そこだけペールグリーンのタイルがひかれていて、数字が書かれたディスプレイがついていた。ちょうど荷馬車に載せた積荷を計測するところで、床が発光したかと思うと、数字がディスプレイ上に浮かぶ。
「うわああ。面白い」
「すごいだろ。首都の門のヘテルはどれも最新式を設置してる。今はマーケットの直前だから特に荷物が多いな」
いつの間にかスーさんが横にいた。さっき別れたと思ったのに。
「マーケットって?」
「各地から集められた商品を売る市場のことだ」
「へええ」
見張り台はちょうど出国・入国口を分ける真ん中の柱に設置されている。
そこに続く階段を登り切ったところには、人が5人ほど入れる程度の待機スペースがあった。
「あのう」
「なんだ」
「あの、スーさんまでここにいなくても」
仁王立ちで私の隣にいるスーさんに視線を向ける。
「異変があればお前は俺に知らせなければならないだろ」
「別にスーさんに直接知らせなくても。偉い人なんじゃないですか、スーさんて。いいんですか、こんなところにいて」
そう問えば、彼は不本意そうな顔をする。
「お上から、お前は俺直属の雑用係にせよ、落ち着くまではしっかり見張っておけと言われててな。俺はここで自分の仕事をしながら、お前を見張る。いったい何をしたんだお前は。普通門番長が直接下っ端の雑用係を指導しろなんて通達、ありえない」
「えーと、それは」
ざっくりとでも事情を説明しようと口を開いたその時。
首輪がチリチリと熱を持ち、首にぴたりと張り付いた。ぐんぐんと首輪は狭まり、圧迫感が増してくる。
脳の芯が冷えた。言葉では聞いていても、これまでは現実感がなかった。しかし話せば命が捩じ切られるということを実感した今、額からは冷や汗が吹き出す。
慌ててその先を言うのをやめれば、首輪は元の冷たさを取り戻していった。
(焦った……)
「おい、どうした。顔が真っ青だぞ。何か言いかけたんじゃないのか」
「あ、いえ……なんでもないです」
ポケットに突っ込んでいたハンカチを取り出し、額を拭く。
虚な眼差しを漂わせながらも、話そうとした内容を誤魔化すように入国者の列に視線を戻し––––気がついた。
「あっ」
慌ててスーさんの裾を引く。
「おいっ、急になんだ!!」
びっくりしてあとずさるスーさんには構わず、私は裾を捕まえたまま彼の方を向いて答えた。
「指名手配番号211番。カイル・アンダーソン。出身地ロベルタ。21歳。薬物の運び屋です。3ヶ月前に手配書が回ってきてます」
「なんだと、どの男だ」
「あれ、あれ、あの猫背の、この柱寄りの列の、ほら、あの小柄な緑色のシャツの」
「あいつか。おい、ミゲル、2番列、今審査中の男。あいつを面談室まで連れて行け。適当な言い訳をつけてしょっぴけ。悟られるなよ」
「はっ!」
びっくりした。
スーさんだけでなく、階段の方にもう一人控えていたのに気が付かなかった。
「次はもっと手短に、詳細情報はいいから。どいつが手配書に書かれているやつか知らせろ。詳細はあとで聞く」
「あー、顔を見た瞬間に、先に番号が浮かんじゃって。どうしても記憶の内容を読み上げたくなっちゃうんですよね……」
ハッとして、口を押さえた時には遅かった。スーさんの眉間に皺が寄っている。
また、やってしまった。
「また言い訳か。ったく、どういう教育受けてきてんだ」
何度も言われてきたことだった。しかし、どうしても衝動的に「なぜ自分がそういう行動に至ったか」の説明をしてしまう。
「……すいません」
どこへいっても同じことを言われる。
異世界でも、きっとこのまま怒られ続けるのだ。
社会に適合するためには、自分を変えなければならないというのはわかっているのだけど。
衝動的にやってしまう行動を直すことは、なかなか難しい。
しかもこの世界においては自分を慰めてくれるものは何もない。
逃げ込めるゲームの世界も、甘えられる親も、友達も。
そう思ったら、途端に辛くなってきた。
憤りと寂しさと、悲しみの波が混じり合って、涙となって溢れてくる。
「……おい! 泣くなよ。ああ、もう」
スーさんは自分の髪をわしゃわしゃと掻きむしり、落ち着きなく私の周囲をウロウロしたあと。何を思ったか私の頭にぽん、と手を置いた。
いきなりそんなことをされると思ってなくて、びっくりしてスーさんの顔を見上げた。
「……よくやった」
「へ」
「薬の運び屋を捕まえられたのはお前の手柄だ。よくやった。……すまん。まず褒めるべきだった」
空気が読めない。
人の輪に馴染めない。
自分の興味のままに動いてしまう。
そんな自分は、どこへいってもお荷物だった。
「私、力になれたんですか」
ヨレヨレした情けない声が出て、視界がまた歪む。
「そうだ。この調子で頼む。お前の働きに期待している」
不器用に微笑むスーさんの顔が、心に沁みる。
「俺はついつい、口うるさく言ってしまう癖がある。叱ってばかりでは部下が伸びない、良いところを褒めて伸ばせ、と上からも注意されているんだ。また、反省だ」
自分の顎を親指でさすりながら、スーさんはそう付け加える。
「スーさんでも反省するんですね」
「でも、とはなんだ!」
「あはは」
じわじわと褒められた余韻が、体をくすぐる。緩んでしまう頬を隠すのに難儀した。
(ちょっとだけ、ここで頑張ってみようかな)
褒められるのは嬉しい。
特に普段、口うるさく言ってくるスーさんみたいな人に褒められるのは。
私は制服の襟を正すと、見張り台の上から再び視線を巡らせた。
門の前に並ぶ人たちの邪魔にならないように、ゆっくりと合間を縫って進み、スーさんの前に出る頃には、また彼は眉間に皺を溜めていた。
「遅い!」
「人にぶつからないように歩いていたので、遅くなっちゃいました」
「言い訳をするな。移動はダッシュ! いいか、肝に銘じろ」
「ああ、はい」
「ああ、はいらない!」
「ああ」
「こいつ……!」
プルプルと拳を振るわせていたので、また怒られると思ったのだが。
彼はそのままグッと拳を握ったかと思うと、それを引っ込め、ため息をつき、深呼吸をして自身を落ち着けたようだ。
「いいか、お前の今日の役目は、そこの見張り台に登って、読み込んだリストに合致する人物がいないかどうか確認することだ。誰かいれば俺に知らせろ。わかったな」
「あの、お昼休憩とかありますか。あと終業時刻とかを教えていただけると」
「わかりました、は?」
「あ、はい、わかりました」
「ったく……。12時から1時の間は、門自体を締める。その間に昼食を取れ。また、開門は9時で閉門が五時だ。その間はずっと、今のような形で出入国審査をやっている。時間外は夜勤の門番が対応する。余程の緊急事態でない限り、開門時間外の出入国は認めていない」
「え、あの私、交代とかは。ずっと監視しっぱなしですか?」
じろり、と胡乱な目を向けられた。「わかりました」と慌てて言うと、スーさんは説明を続ける。
「お前の任務は、試験的な『特別任務』だ。出入国審査を行う門番たちも、怪しい人物がいないか目を凝らしている。開門時間内、お前は『できるだけ』怪しい人物をチェックしろ。だから交代人員はいない」
「ええ~」
「ええ~じゃない。他にお前にできる仕事はあるのか。何か得意な雑用は。書類整理は? 掃除は?」
「……ないです。どっちも苦手です」
「よし。頑張れるな?」
「……はい」
「いい返事だ」
しぶしぶ見張り台へと上がっていく。この城門は内側から見て左が出国口、右手が入国口になっているようで、それぞれ二列ずつに分かれて人や物資が並ばされている。
(ああ、あれか。ヘテルって。へえ、門のアーチ下の床自体に埋め込まれてるんだ)
門のアーチの下だけ、床の色が違う。そこだけペールグリーンのタイルがひかれていて、数字が書かれたディスプレイがついていた。ちょうど荷馬車に載せた積荷を計測するところで、床が発光したかと思うと、数字がディスプレイ上に浮かぶ。
「うわああ。面白い」
「すごいだろ。首都の門のヘテルはどれも最新式を設置してる。今はマーケットの直前だから特に荷物が多いな」
いつの間にかスーさんが横にいた。さっき別れたと思ったのに。
「マーケットって?」
「各地から集められた商品を売る市場のことだ」
「へええ」
見張り台はちょうど出国・入国口を分ける真ん中の柱に設置されている。
そこに続く階段を登り切ったところには、人が5人ほど入れる程度の待機スペースがあった。
「あのう」
「なんだ」
「あの、スーさんまでここにいなくても」
仁王立ちで私の隣にいるスーさんに視線を向ける。
「異変があればお前は俺に知らせなければならないだろ」
「別にスーさんに直接知らせなくても。偉い人なんじゃないですか、スーさんて。いいんですか、こんなところにいて」
そう問えば、彼は不本意そうな顔をする。
「お上から、お前は俺直属の雑用係にせよ、落ち着くまではしっかり見張っておけと言われててな。俺はここで自分の仕事をしながら、お前を見張る。いったい何をしたんだお前は。普通門番長が直接下っ端の雑用係を指導しろなんて通達、ありえない」
「えーと、それは」
ざっくりとでも事情を説明しようと口を開いたその時。
首輪がチリチリと熱を持ち、首にぴたりと張り付いた。ぐんぐんと首輪は狭まり、圧迫感が増してくる。
脳の芯が冷えた。言葉では聞いていても、これまでは現実感がなかった。しかし話せば命が捩じ切られるということを実感した今、額からは冷や汗が吹き出す。
慌ててその先を言うのをやめれば、首輪は元の冷たさを取り戻していった。
(焦った……)
「おい、どうした。顔が真っ青だぞ。何か言いかけたんじゃないのか」
「あ、いえ……なんでもないです」
ポケットに突っ込んでいたハンカチを取り出し、額を拭く。
虚な眼差しを漂わせながらも、話そうとした内容を誤魔化すように入国者の列に視線を戻し––––気がついた。
「あっ」
慌ててスーさんの裾を引く。
「おいっ、急になんだ!!」
びっくりしてあとずさるスーさんには構わず、私は裾を捕まえたまま彼の方を向いて答えた。
「指名手配番号211番。カイル・アンダーソン。出身地ロベルタ。21歳。薬物の運び屋です。3ヶ月前に手配書が回ってきてます」
「なんだと、どの男だ」
「あれ、あれ、あの猫背の、この柱寄りの列の、ほら、あの小柄な緑色のシャツの」
「あいつか。おい、ミゲル、2番列、今審査中の男。あいつを面談室まで連れて行け。適当な言い訳をつけてしょっぴけ。悟られるなよ」
「はっ!」
びっくりした。
スーさんだけでなく、階段の方にもう一人控えていたのに気が付かなかった。
「次はもっと手短に、詳細情報はいいから。どいつが手配書に書かれているやつか知らせろ。詳細はあとで聞く」
「あー、顔を見た瞬間に、先に番号が浮かんじゃって。どうしても記憶の内容を読み上げたくなっちゃうんですよね……」
ハッとして、口を押さえた時には遅かった。スーさんの眉間に皺が寄っている。
また、やってしまった。
「また言い訳か。ったく、どういう教育受けてきてんだ」
何度も言われてきたことだった。しかし、どうしても衝動的に「なぜ自分がそういう行動に至ったか」の説明をしてしまう。
「……すいません」
どこへいっても同じことを言われる。
異世界でも、きっとこのまま怒られ続けるのだ。
社会に適合するためには、自分を変えなければならないというのはわかっているのだけど。
衝動的にやってしまう行動を直すことは、なかなか難しい。
しかもこの世界においては自分を慰めてくれるものは何もない。
逃げ込めるゲームの世界も、甘えられる親も、友達も。
そう思ったら、途端に辛くなってきた。
憤りと寂しさと、悲しみの波が混じり合って、涙となって溢れてくる。
「……おい! 泣くなよ。ああ、もう」
スーさんは自分の髪をわしゃわしゃと掻きむしり、落ち着きなく私の周囲をウロウロしたあと。何を思ったか私の頭にぽん、と手を置いた。
いきなりそんなことをされると思ってなくて、びっくりしてスーさんの顔を見上げた。
「……よくやった」
「へ」
「薬の運び屋を捕まえられたのはお前の手柄だ。よくやった。……すまん。まず褒めるべきだった」
空気が読めない。
人の輪に馴染めない。
自分の興味のままに動いてしまう。
そんな自分は、どこへいってもお荷物だった。
「私、力になれたんですか」
ヨレヨレした情けない声が出て、視界がまた歪む。
「そうだ。この調子で頼む。お前の働きに期待している」
不器用に微笑むスーさんの顔が、心に沁みる。
「俺はついつい、口うるさく言ってしまう癖がある。叱ってばかりでは部下が伸びない、良いところを褒めて伸ばせ、と上からも注意されているんだ。また、反省だ」
自分の顎を親指でさすりながら、スーさんはそう付け加える。
「スーさんでも反省するんですね」
「でも、とはなんだ!」
「あはは」
じわじわと褒められた余韻が、体をくすぐる。緩んでしまう頬を隠すのに難儀した。
(ちょっとだけ、ここで頑張ってみようかな)
褒められるのは嬉しい。
特に普段、口うるさく言ってくるスーさんみたいな人に褒められるのは。
私は制服の襟を正すと、見張り台の上から再び視線を巡らせた。
10
あなたにおすすめの小説
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる