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布石
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殺伐とし大都会。
気づいたらそこにいた。
吹き溜まり。
無意識にそこを求めていた。
人の波。
飲み込まれそうだ。
這い上がるなどという努力などしない。
流れに身を委ねる。
腹が減った。
行くあてもない。
近くの公園で一夜を過ごす。
朝日で目が覚めた。
昨日とは別の道を行く。
同じ道は行かない。
仲間が次々に殺された。
嫌な臭いがした。
脳裏をよぎる。
時々あの惨劇を。
その時、小さな隙間から逃げ出す自分を振り返る。
仲間になにもしてやれなかった。
後悔だけが残る。
自分は生き延びた。
それだけのことだ。
過去を振り払うように頭を振る。
記憶が消えたりはしない。
するべきでもない。
心の奥底に閉じ込める。
時々のぞいてやればいい。
裏路地を右に曲がると住宅街に出た。
通行人に気づかれぬよう、伏し目がちに辺りの家に目をやる。
あった。
駐車スペースは2台分。
住人の帰りを待つかのように空になったそこは、日の光を浴びている。
塀の向こう側に目をやると、わずかに開いた窓があった。
空腹をこらえて塀を越える。
その窓から微かな音を立てて室内へと忍び込む。
誰にも気づかれずに侵入はあっさりと成功した。
ソファーに身を委ねて住人の帰りを待つ。
白いレースのカーテンが、朱みを帯びていた。
眠ってしまったようだ。
玄関から物音がした。
とっさにソファーの下へと潜り込む。住人が帰ってきたのだ。
駐車スペースは2台分。
少なくともあと一人は帰ってくるだろう。
途中で帰って来られたらやっかいだ。
そのままもう一人が帰って来るのを待とう。ソファーの下で息を殺す。
住人がソファーに腰を下ろす。
しばらくし、車のバック音が聞こえた。
もう一人の住人が帰ってきたようだ。
玄関で物音がしたが、こちらには来ない。
キッチンで夕食の準備でもするのだろう。
まだその時ではない。
そのまま待った。
ふと、あの時の事を思い出す。
仲間と過ごした日々。
倒れていく仲間たち。
そしてあの時の臭い。
昔を振り返っていると、時間はあっという間に過ぎた。
住人たちが寝室に向かったようだ。
しばらく待ち、ソファーの下から這い出る。
もう眠った頃だろう。
物音を立てずに二階へと移動する。
寝息が聞こえた。
扉は二つある。
奥の部屋からだ。
換気のためか二部屋とも扉がわずかに開いている。
奥の部屋に向かう。
扉の隙間から忍び込む。
獲物を捕らえたも同然だ。
自ずと笑みが浮かぶ。
獲物に近づこうとした次の瞬間。
あの匂い。
とっさに扉に向かい部屋の外に転がり出た。
あの時を思い出す。
あの匂い。
部屋を出る一瞬。
目の端で捕らえた。
渦巻き。
目が霞む。
全身が硬直する。
激しすぎる鼓動。
その場にうずくまる事しかできない。
待った。
ひたすら待った。
恐るべき。
あのぐるぐる。
先端が赤く、そこから煙りと匂いが立ち昇る。
ヤツが仲間を殺したのだと、その時初めて知った。
呼吸が落ち着いてきた。
視界も鮮明になってきた。
ゆっくりと体を動かす。
大丈夫だ。
動ける。
隣の部屋に賭けた。
隙間から無造作に入る。
いた。
近づいた。
ゆっくりと耳元に。
その瞬間、、、パチッ。
音と共に激しい衝撃が全身を襲う。
息絶えていた。
両の手のひらで挟まれたのだ。
無造作に入った。
慎重さを失っていた。
羽音を響かせていたのだ。
気づかれて当たり前だ。
血を吸いたかった。
俺の名は、、、ヒトスジシマ⚪(メス)。
来世では、蚊取り線香と羽音には気をつけよう、、、
気づいたらそこにいた。
吹き溜まり。
無意識にそこを求めていた。
人の波。
飲み込まれそうだ。
這い上がるなどという努力などしない。
流れに身を委ねる。
腹が減った。
行くあてもない。
近くの公園で一夜を過ごす。
朝日で目が覚めた。
昨日とは別の道を行く。
同じ道は行かない。
仲間が次々に殺された。
嫌な臭いがした。
脳裏をよぎる。
時々あの惨劇を。
その時、小さな隙間から逃げ出す自分を振り返る。
仲間になにもしてやれなかった。
後悔だけが残る。
自分は生き延びた。
それだけのことだ。
過去を振り払うように頭を振る。
記憶が消えたりはしない。
するべきでもない。
心の奥底に閉じ込める。
時々のぞいてやればいい。
裏路地を右に曲がると住宅街に出た。
通行人に気づかれぬよう、伏し目がちに辺りの家に目をやる。
あった。
駐車スペースは2台分。
住人の帰りを待つかのように空になったそこは、日の光を浴びている。
塀の向こう側に目をやると、わずかに開いた窓があった。
空腹をこらえて塀を越える。
その窓から微かな音を立てて室内へと忍び込む。
誰にも気づかれずに侵入はあっさりと成功した。
ソファーに身を委ねて住人の帰りを待つ。
白いレースのカーテンが、朱みを帯びていた。
眠ってしまったようだ。
玄関から物音がした。
とっさにソファーの下へと潜り込む。住人が帰ってきたのだ。
駐車スペースは2台分。
少なくともあと一人は帰ってくるだろう。
途中で帰って来られたらやっかいだ。
そのままもう一人が帰って来るのを待とう。ソファーの下で息を殺す。
住人がソファーに腰を下ろす。
しばらくし、車のバック音が聞こえた。
もう一人の住人が帰ってきたようだ。
玄関で物音がしたが、こちらには来ない。
キッチンで夕食の準備でもするのだろう。
まだその時ではない。
そのまま待った。
ふと、あの時の事を思い出す。
仲間と過ごした日々。
倒れていく仲間たち。
そしてあの時の臭い。
昔を振り返っていると、時間はあっという間に過ぎた。
住人たちが寝室に向かったようだ。
しばらく待ち、ソファーの下から這い出る。
もう眠った頃だろう。
物音を立てずに二階へと移動する。
寝息が聞こえた。
扉は二つある。
奥の部屋からだ。
換気のためか二部屋とも扉がわずかに開いている。
奥の部屋に向かう。
扉の隙間から忍び込む。
獲物を捕らえたも同然だ。
自ずと笑みが浮かぶ。
獲物に近づこうとした次の瞬間。
あの匂い。
とっさに扉に向かい部屋の外に転がり出た。
あの時を思い出す。
あの匂い。
部屋を出る一瞬。
目の端で捕らえた。
渦巻き。
目が霞む。
全身が硬直する。
激しすぎる鼓動。
その場にうずくまる事しかできない。
待った。
ひたすら待った。
恐るべき。
あのぐるぐる。
先端が赤く、そこから煙りと匂いが立ち昇る。
ヤツが仲間を殺したのだと、その時初めて知った。
呼吸が落ち着いてきた。
視界も鮮明になってきた。
ゆっくりと体を動かす。
大丈夫だ。
動ける。
隣の部屋に賭けた。
隙間から無造作に入る。
いた。
近づいた。
ゆっくりと耳元に。
その瞬間、、、パチッ。
音と共に激しい衝撃が全身を襲う。
息絶えていた。
両の手のひらで挟まれたのだ。
無造作に入った。
慎重さを失っていた。
羽音を響かせていたのだ。
気づかれて当たり前だ。
血を吸いたかった。
俺の名は、、、ヒトスジシマ⚪(メス)。
来世では、蚊取り線香と羽音には気をつけよう、、、
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