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しおりを挟む明日はいよいよ結婚式です。
待ちに待った晴れの舞台。
カリス王国で1番に広大な領土を収めている、アラモード公爵家の令嬢の私の結婚式は、王国内を問わず、全世界からも注目されるものでした。
ですので、それなりに私は緊張しておりました。
「はぁ、少し前まではお馬鹿なことをして遊んでいたというのに……。私にこんな大役が務まるのかしら」
私は少し不安な気持ちになってきました。
胸の鼓動が激しく、熱いものとなっていきます。
「あの人のところへ行って、慰めてもらおうかしら」
野外に設置された大浴場の湯船のなかで、私は体を伸ばして、明日のこと、あの人のこと、これからのことを考えます。
「まぁ、なんとかなるわよね。あの人がいてくれれば……」
私はちゃぷり、とお湯の中で体を動かして、ゆっくりと体を温めるのでした。
★★★★★
明日は結婚式なので、彼はもう私の屋敷の寝室に入っている頃でしょう。
「少しだけ甘えにいきましょうか」
私は足取り軽く、大理石で作られた大きな廊下を歩いていきます。
そして、彼が泊まっているであろう、寝室の前までやってくるのでしたが……
「おい、もっとこっちを向いてごらん。可愛い顔をもっと見せてくれ……」
(……んん??)
何やら寝室のなかから、あの人らしき声がします。しかも、その声がかなり色っぽく、誰かに向けられたものなのです。
「い、いやっっ。何度も私は遠慮させていただいていたと言うのに……。どうして」
(これは、妹の声、かしら……」
「はぁ~綺麗なピンク色だ。今すぐにでもかぶりついてしまいたいよ」
「や、やめてっっっっ」
(ど、どういうことなの? あの人と妹の声がするわ! しかも何かとてもいかがわしいことを……)
私は寝室のドアの前に立っていましたが、その中かから聞こえてくる声で全てのことを理解しました。
「い、いやっっ。私はあなたのことなんて、何も好きじゃないんだからっっ。第一、あなたにはお姉さまが……」
「おらっっ、俺のこの立派なちんぽを咥えてみろっっっ!!!!」
「あああああっっっ、うぷぅっっ」
(…………あの人ってこんな人間だったかしら? 今の彼は最低のクズ男としか思えないのだけれど)
私は悲しいという気持ちよりも、激しい怒りのようなものが、ふつふつと腹の底から込み上げてくるのを感じています。
(はぁ……。わかっていました。私の家の財産を目当てに、寄ってくるハイエナのような貧乏貴族がこの王国内にはたくさんいるということなんて……。あの人もその類の人間だったというわけですね。善人がこのようなことをするわけがありませんもの……)
私は結婚式前日の高揚感と緊張感を全て、憤怒の精神で上書きしました。
もう何もかもが、どうでもいい。
彼との思い出、彼との快感、彼との淫乱。
全て、全て……
消えて無くなってしまえっっ!!!!!
「Vanishing dick !!!!!!!!!!!!」
私はそう叫びながら、ドアを勢いよく押し開けて、今思いついた、創作魔法を彼に向けて放ちました。
すると……
「あああああっっっっ!!!!!」
私の妹におちんちんを擦り付けていた、あの人の体全体が、淡い光に包まれて……
★★★★★
数十秒後。
「大丈夫?」
「姉様っ!!!! 怖かったです!!!」
「もう大丈夫だからね」
「でも、姉様。明日は結婚式だったと言うのに」
「いいのよ、こんなクソ男。結婚式前にわかってよかったわ」
「姉様っっ!!!!!」
妹は私の胸へ豪快に飛び込んで、わんわんと泣き喚きました。
胸元の服はだけており、今にも強姦が始まろうとしてた瞬間であったことが見て取れます。
本当に……
本当に。
「このクソ男がっっ」
私は仰向けになって、大の字で寝転がっている彼の姿を見ながら、そう吐き捨てたのだった。
彼の股間には、あの立派なちんぽが……
ついていなかった……
完
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