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5-2 夢の浮橋 side B
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◆
「まず、今回の依頼人」
「はい、高橋さんですね」
「彼はさっきも言った通り、トラウマを抱えていた。過去、女性に騙された挙げ句にフラれるっていうことがあったらしくてね」
織歌としては、うわあ、とお労しやの間の感情を抱くしかない。
思わず口を開けてしまい、それを手で隠した。
多分顔も引きつっている。
「女性不信、と言ってもビジネス的な関係だったり、そういう対象として見れない子供や高齢者は大丈夫っぽいね、生活に支障をきたすまでではないし、オリカとのやり取り見た感じも」
「もしかして、最初先生とロビンさんで話聞きに行ったのも……」
「ナオが男連中だけで来い、って言ったから」
その時、場所が居酒屋だから晩ごはん要らない、と聞いたその日の晩ごはん当番だった弘が、既に仕込みを終えてしまっていたのですごい顔をしていたのは織歌の記憶にも新しい。
一人で唐揚げパーティしてやる、と拗ねて息巻いてたけど本当にやったのだろうか。
「まああのヒト、ある意味、わかりやすいヒトだしね……頭が良い割に、純粋でヒネてない」
――そういう素直で純情だけど頭が良い人間を、ロビンは割と気に入ってちょくちょくからかう傾向がある。特に紀美がいない時は。
というのは弘の受け売りだが、ロビンのその傾向とそもそもの能力を考えると、善良人間発見機でもある。
だから余計、そんな依頼人の身に起きた事をお労しやとも織歌は思ってしまう。
「で、女性がトラウマ、はわかりました」
「うん、で、今回確認してもらった記事。あれ、オリカが良いって判断したものは、依頼人が今回の原因の夢を見るようになった前後に書かれたもの、なんだ」
「それをリャナン・シーの特性によるものとしたんですよね」
「正確にはこじつけた。もともとアイルランド文学かじったとか言ってたから、素地はあったしね」
こじつけた。見做した。
つまり、紀美もロビンも自覚した上での力技なんだなあ、と織歌は理解する。
「ただ、穴はあってね。リャナン・シーは対象とした男の前にだけ、その理想の姿で現れ、誘惑する。夢ではなく、現実で」
「……ということは、今回、本当に夢にしか出てきてなかったと?」
「あのヒト、たぶん女性との関わりを積極的に避けてるみたいだからね。夢も印象でしか覚えてないみたいだったし……まあ覚えていたくなかったんだろうけど」
織歌の脳裏を先程あきつがむしゃむしゃしていたものがよぎる。
そりゃそうもなる、と織歌は思った。
が、口に出すのは我慢した。またロビンが紅茶噴いて咽ても困るし。
「なんだか、ヘンに気を遣われた気がするな……」
とはいえ、ロビンはそこを見透かしてしまうわけで、呟きとともに寄越された少し呆れたようなじっとりした視線と、自分の視線を交差させないようにして、織歌は薄く笑って誤魔化した。
「まず、今回の依頼人」
「はい、高橋さんですね」
「彼はさっきも言った通り、トラウマを抱えていた。過去、女性に騙された挙げ句にフラれるっていうことがあったらしくてね」
織歌としては、うわあ、とお労しやの間の感情を抱くしかない。
思わず口を開けてしまい、それを手で隠した。
多分顔も引きつっている。
「女性不信、と言ってもビジネス的な関係だったり、そういう対象として見れない子供や高齢者は大丈夫っぽいね、生活に支障をきたすまでではないし、オリカとのやり取り見た感じも」
「もしかして、最初先生とロビンさんで話聞きに行ったのも……」
「ナオが男連中だけで来い、って言ったから」
その時、場所が居酒屋だから晩ごはん要らない、と聞いたその日の晩ごはん当番だった弘が、既に仕込みを終えてしまっていたのですごい顔をしていたのは織歌の記憶にも新しい。
一人で唐揚げパーティしてやる、と拗ねて息巻いてたけど本当にやったのだろうか。
「まああのヒト、ある意味、わかりやすいヒトだしね……頭が良い割に、純粋でヒネてない」
――そういう素直で純情だけど頭が良い人間を、ロビンは割と気に入ってちょくちょくからかう傾向がある。特に紀美がいない時は。
というのは弘の受け売りだが、ロビンのその傾向とそもそもの能力を考えると、善良人間発見機でもある。
だから余計、そんな依頼人の身に起きた事をお労しやとも織歌は思ってしまう。
「で、女性がトラウマ、はわかりました」
「うん、で、今回確認してもらった記事。あれ、オリカが良いって判断したものは、依頼人が今回の原因の夢を見るようになった前後に書かれたもの、なんだ」
「それをリャナン・シーの特性によるものとしたんですよね」
「正確にはこじつけた。もともとアイルランド文学かじったとか言ってたから、素地はあったしね」
こじつけた。見做した。
つまり、紀美もロビンも自覚した上での力技なんだなあ、と織歌は理解する。
「ただ、穴はあってね。リャナン・シーは対象とした男の前にだけ、その理想の姿で現れ、誘惑する。夢ではなく、現実で」
「……ということは、今回、本当に夢にしか出てきてなかったと?」
「あのヒト、たぶん女性との関わりを積極的に避けてるみたいだからね。夢も印象でしか覚えてないみたいだったし……まあ覚えていたくなかったんだろうけど」
織歌の脳裏を先程あきつがむしゃむしゃしていたものがよぎる。
そりゃそうもなる、と織歌は思った。
が、口に出すのは我慢した。またロビンが紅茶噴いて咽ても困るし。
「なんだか、ヘンに気を遣われた気がするな……」
とはいえ、ロビンはそこを見透かしてしまうわけで、呟きとともに寄越された少し呆れたようなじっとりした視線と、自分の視線を交差させないようにして、織歌は薄く笑って誤魔化した。
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