怪異から論理の糸を縒る

板久咲絢芽

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6-1 竜馬と松浦の姫 side A

7 真打ち登場

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「まず、間違いなく神隠しにいますよ。そしてその後の事は保証できかねます。いろんな範囲で」
「いろんな範囲」
「まー、命と貞節ていせつの二択みたいなことはありそうな気はしますね、相手の目的からして……それもたぶん、蛇でしょうから……うーん、俗に言う薄い本展開というやつでは?」

軽いのだか、重いのだかの判別がつけがたいひろの言葉に、小夜せれなは、聞かなければ良かったとちょっとだけ後悔した。
そんな小夜せれなを意図的になのか無視して、ひろは更に続ける。

貞節ていせつ取って命捨てたとして、遺体が見つかる保証もしかねます。いや、逆にあのあたりだと、期間が短くても白骨化して見つかる可能性もあるから困る、というか」
「せやねえ、古いけど前例はあるし。実際アレ、ほんまはどういう経緯で白骨化したか不明やし……神域いうもんの時間が現世げんせと分離してるにせよ、アレはほんま謎」

今まで誰も手を付けてなかったフライドポテトをつまんで、口にほうり込みながらしれっとよもぎが言う。

「と、いうわけで、全力でことわるか、追い払う方向でさくってるのが現状なわけです。なので、小夜せれなさんもそのつもりでいてくださいね」
「……ことわって大丈夫なんですか?」

おそるおそるそう聞いて見ると、ひろは少し小夜せれなから視線をらした。

「あー……保証はできかねます。ただ、まあ、八割方は大丈夫かと」

残りの二割を引いたらどうなるのか。
それを小夜せれなが口にする前に、スマホを持ったまま、ロビンが戻ってきた。

「うん……わかったから、ちょっと待って」

そう言いながら、ひろの隣の席にロビンが座る。どうやらまだ電話は繋がったままらしい。
そして、一度スマホを顔から離すと、眉間にしわを寄せて、口を開いた。

「センセイが、じかに話した方がいいだろうって」

ただでさえ悪い目つきが、より凶悪になっている顔でロビンが言ったのを聞いて、ひろよもぎも、少ししぶい表情をする。

「今回は、仕方ない、ですね」
「うん、ボクもそう思う」
「せやね」

先生、と呼ぶからには、何か偉くてすごい人で、だからこそ三人とも出ししぶるような感じなんだろうか。
後でこの三人が怒られちゃったりするんだろうか。
などと、小夜せれなも少しばかり緊張する。

そんな小夜せれなの前に、ロビンがスマホを置いてスピーカーモードに切り替えた。

「センセイ、聞こえる? 切り替えた」
『はーい、どーもー、こんにちはー』
「え、あ、はい、こんにちは」

スピーカーモードにされたスマホから聞こえてきたのは、緊張していたのが馬鹿らしくなるほどに柔らかく間延びした声だった。
意表を突かれたが、反射的に小夜せれな挨拶あいさつを返してしまう。
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