ガルデニアの残り香

板久咲絢芽

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回想 4 袋小路と果(はたて)

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おにいちゃんが死んだ時、私以外の人間は、暗示で仕掛しかけてある通りに忘れるだろうとおにいちゃんは言った。
ただ、暗示がほとんどけている私は忘れない可能性が高いから、とも。
だから、はっきりとおにいちゃんは私に忘れていいよ、と告げた。

――本当に、おにいちゃんは何がしたかったのだろう。
見るなの禁忌タブー
えて見ることを禁止することにより、それを意識させ、多くの物語において、それをなし得させてしまう。
それはあくまで代表がなだけであって、見ることのみにとどまらない。
強制することで、その反対が行われる傾向とも言える。

おにいちゃんは、私に「いいよ」と、許可しただけだった。
それでも、意識するには十分だった。

「おにいちゃんの言う仮説って何?」

高校二年生になった冬。
私はれたてのココアを片手にそういた。
おにいちゃんの目的を知ったその時は、おにいちゃんはその時の私でも難しいと思うから、と仮説は教えてくれなかった。

「唐突だね」

おにいちゃんは眼鏡越しに私を見た。
おにいちゃんがいつの間にかかけ始めた眼鏡は、黒縁のシンプルなもので、目が悪くなることがあるのか、老眼か、と私が問うと、イメチェンと返ってきた。
にこにこと笑いながらいわく、みぃちゃんも飽きてきたでしょ、美人は三日で飽きるとか言うし。
……無言で一発だけなぐるにとどめた私を褒めて欲しい。

「だって、おにいちゃん。全然説明してくれない」
「……説明する気、ないしねえ」

おにいちゃんはそう言って文庫本片手に首をかしげた。

「気になるじゃん」
「……そんなに気になるなら、僕のメモを解読してみればいいよ。
 生きてる限り、みぃちゃんに見せる気もないけど」
「それ、私が見れない可能性のが高くない?」
「はは、そもそも、単なるメモランダム覚書を他人に分かるように書いてると思うかい?」

私が目的を知った時には難しすぎるから、とはぐらかしておきながら、実際に教える気は微塵みじんもなかったらしい。
当然ながら、こちらとしてはカチンと来た。
おにいちゃんはそれをさっして、ため息をつくと、口を開いた。
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