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3章
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勢いよく吹き付けた突風、割れた窓ガラスの破片、突風に煽られて千切れそうになっているカーテン、部屋に散らばる膨大な紙の数。これが地獄絵図というものだろうか。
「しず、く…」
呼んだ彼の部屋は、いつもの整えられた状態が嘘のようだ。ここでどれだけ天気の勉強を教えてもらたことだろう。
部屋の中央にいるのは、雫と見知らぬ男。漆黒の着物を着用した男は、明らかに怪しげな雰囲気を醸し出していた。
雫は床に横たわっていた。ところどころ着物が裂けており、そこからのぞく肌は血がにじんでいた。苦しそうに目をぎゅっと閉じ、肩で息をしている。
見知らぬ男のしわざだろう。露は怒りの沸点を通り越し、体から湯気が出そうなほど肩をいからせて男を睨みつけた。
「あんた…誰?」
雫を見下ろす男は振り向き、女と見間違えそうなきれいな顔に、艶やかな笑みを浮かべた。着物の黒さは闇にしか見えない。
思わず露は一歩退いて身震いをした。この男は笑みだけで彼女のことを戦慄させた。精霊の中でもレベルの高い美しさで。
男は露から視線を外すと、足元の雫を見下ろした。
「おい、起きんか。見送りの精霊の登場だぞ。最期くらい、挨拶をしたらどうだ?」
(みおくり…? さいご…?)
意味が分からなかった。男が発する言葉の意味が。
「し、雫から離れて。知り合いじゃないでしょ」
「あぁそうだ。私はこの男に今日、初めて会った。だが、前々から存在は知っていた。コイツが持つ能力は…素晴らしい」
男はまたわけの分からないことを言って露を戸惑わせる。
すると、咳き込みながら雫は上半身だけ体を起こした。
「雫!」
自分でも驚くほど大きな声が出て、彼に駆け寄った。まだ咳き込んでいる背中をさすってやると、少しずつ落ち着いてきた。
「なんで、露が…」
やっと出たと思った彼の声は、ひどくかすれていて話すのがやっと、というような頼りない声。いつものように飄々としていてヘラヘラとした様子はなかった。
「雨が降ってきておかしいと思って帰ってきた。雫、何があったの? この男は?」
「コ…コイツは…てっ────」
「雫!」
彼は再び激しく咳き込んだ。男が雫の脇腹を蹴り上げた。
当たり所が悪かったのか、雫が口元で押さえた手の平には血がべっとりとついてた。
「どうして傷がずっと治らないの…?」
治癒力が高いはずなのに、彼の体は傷だらけのまま。露が雫の手の甲に自分の手を重ねると、雫は血が付着していない方の手で露の頭をなでた。いつもしている仕草なのに、その手は弱々しい。
「どうしてだろうな…」
無理矢理作った笑顔は傷が痛むのか、見ている露がつらくなる表情だった。
彼は苦しそうな表情を浮かべて片方の手を上げ、露の胸の前で広げると小さくつぶやいた。
「…『水閘』」
その瞬間、雫の手の前から水が勢いよく吹き出て、露は部屋の隅に追いやられ、壁に激しくぶつかった。
あまりの激痛に思わず目を閉じ、びしょ濡れになって寒さに震えて立ち上がった。
「来るな!」
聞いたことのない、雫が怒気を強めた声。一瞬、誰かと思うほどの鋭い声だった。誰相手でもこんな大きな声は出したことはない。驚きのあまり露は足の力が抜け、その場にへたりこんだ。言霊に押し込められたような気がした。
どうして、と問いたくて彼のことを見ると、彼は普段の優しい表情になった。露をなだめさせるような、兄貴分の顔。
「…いいコだ。そのまま…俺に近づいちゃいけない」
「なんで? 言ってる意味が分からない。いつもみたいにちゃんと説明して」
「ごめん、露…」
彼はそれ以上答えてはくれなかった。諦めを混ぜた表情でこちらを見ているだけ。
それまでずっと黙っていた男は、雫の前髪をひっつかんで立たせ、彼の額に人差し指を当てた。
男が唇を動かすと、雫は気を失って青い光に包まれ、姿が見えなくなった。その光が砂のようにさらさらとこぼれてはじけ散り、青の小さな玉が現れた。青い水晶のような、内から光をゆらゆらと放っている。
露は声も表情も出ないほど、驚いていた。目の前で起きたことは────。
「て…天災地変…」
震える声でつぶやくのと同時に男は結晶を掴み、和服の袖の中に落とした。
「そなたは若いようだがよく知っているな。そうだ、私が天災地変の零だ」
存在だけは知っていた。だが本人を見るのは初めてで、改めて恐怖がどっと押し寄せてくる。
もしかして、と本能的に悟った。
(私、も…?)
水で濡れた服が凍ったように冷たく感じるほど、体の芯から熱を失っていく。
指先まで冷え、感覚がなくなり、恐怖との二重奏で歯がカチカチと鳴り始める。
男は露の心情を読んだのか、男は場違いな美しい笑みを浮かべた。
「案ずるな。私はそなたのことを結晶化しようとは思っていない」
うれしいのかうれしくないのか分からない。雫がいなくなってしまったのだから、もういっそのこと結晶化しても。
「フン…そなたのような、無機質で精霊らしい美しさが無い者には興味」
────何言ってんだコイツ。
露の中で怒りがヒートアップした。今日は感情の起伏が激しい。もしかしたらこれは一生分かもしれない。
震えを取り払った足で立ち上がった。
もうこんな男なんて怖くない。気持ちの切り替えはできている。きっと、雫のおかげだ。
露は左手を差し出して、意志のこもった瞳で雫のことをにらんだ。
「返して。雫の結晶。…他の精霊も。皆、元に戻して」
突然変わった露の様子に、零は不敵に笑んだ。
「返しても…どうにもならないぞ? 結晶化したら、私を殺さなければ解けないようにまじないをかけてあるのだ。そなたに私を倒すことはできないだろう? 所詮、機械から生まれたそなたでは。それ以前に私に能力で勝てる精霊などいない。たとえ”天”でも」
彼は和服の袖を少しまくり、金と銀のブレスレットを見せた。
それは露との圧倒的な差でもあった。彼女の腕にはブレスレットはない。
正直、この男には何もかも負けている。
だからこそ悔しかった。非力で役立たずな精霊であることが。
それからの露は自室でふさぎ込んでいた。メランコリックな状態で、何もかもやる気をなくしてしまった。
雫がいない毎日はこんなにも色褪せて見える。彼は露が見る全てを、美しく鮮やかに彩りを与えてくれていた。
それに今頃気づいた。
ヤツを天災地変の零だと、もっと前から見抜いて雫を連れ回していたら、結晶化することはなかったかもしれない。雫は零のことを秘密裏に嗅ぎまわっていた。最近、露と出かけなかったのはそれが理由だ。
雫がこそこそと身辺調査をしていることに気づいた零は、雫やその身の回りのことを調べた。そこで雫の優秀さを知り、その力を手に入れようと目論み、”天”に乗り込んだ。この頃はセキュリティは甘めだった。
露が雫のことで立ち直るのには何年もかかった。それこそ、雫と過ごしたのと同じ期間だけ彼のことで落ち込んでいた。
数年ぶりに思い切って人間界に出かけ、”天”に帰ってくると蔓をはじめ”天”の精霊たちに出迎えられた。皆、一様に心配そうな顔で。
ずっと露のことが気がかりだったと言われ、我慢していた涙が溢れだした。それは止まることを知らず、曇天の空がどしゃぶりの雨を降らせたようだった。
────あの時。雫に出会った日に彼が降らさなかった雨が、巡り巡って露の涙になったのかもしれない。
「しず、く…」
呼んだ彼の部屋は、いつもの整えられた状態が嘘のようだ。ここでどれだけ天気の勉強を教えてもらたことだろう。
部屋の中央にいるのは、雫と見知らぬ男。漆黒の着物を着用した男は、明らかに怪しげな雰囲気を醸し出していた。
雫は床に横たわっていた。ところどころ着物が裂けており、そこからのぞく肌は血がにじんでいた。苦しそうに目をぎゅっと閉じ、肩で息をしている。
見知らぬ男のしわざだろう。露は怒りの沸点を通り越し、体から湯気が出そうなほど肩をいからせて男を睨みつけた。
「あんた…誰?」
雫を見下ろす男は振り向き、女と見間違えそうなきれいな顔に、艶やかな笑みを浮かべた。着物の黒さは闇にしか見えない。
思わず露は一歩退いて身震いをした。この男は笑みだけで彼女のことを戦慄させた。精霊の中でもレベルの高い美しさで。
男は露から視線を外すと、足元の雫を見下ろした。
「おい、起きんか。見送りの精霊の登場だぞ。最期くらい、挨拶をしたらどうだ?」
(みおくり…? さいご…?)
意味が分からなかった。男が発する言葉の意味が。
「し、雫から離れて。知り合いじゃないでしょ」
「あぁそうだ。私はこの男に今日、初めて会った。だが、前々から存在は知っていた。コイツが持つ能力は…素晴らしい」
男はまたわけの分からないことを言って露を戸惑わせる。
すると、咳き込みながら雫は上半身だけ体を起こした。
「雫!」
自分でも驚くほど大きな声が出て、彼に駆け寄った。まだ咳き込んでいる背中をさすってやると、少しずつ落ち着いてきた。
「なんで、露が…」
やっと出たと思った彼の声は、ひどくかすれていて話すのがやっと、というような頼りない声。いつものように飄々としていてヘラヘラとした様子はなかった。
「雨が降ってきておかしいと思って帰ってきた。雫、何があったの? この男は?」
「コ…コイツは…てっ────」
「雫!」
彼は再び激しく咳き込んだ。男が雫の脇腹を蹴り上げた。
当たり所が悪かったのか、雫が口元で押さえた手の平には血がべっとりとついてた。
「どうして傷がずっと治らないの…?」
治癒力が高いはずなのに、彼の体は傷だらけのまま。露が雫の手の甲に自分の手を重ねると、雫は血が付着していない方の手で露の頭をなでた。いつもしている仕草なのに、その手は弱々しい。
「どうしてだろうな…」
無理矢理作った笑顔は傷が痛むのか、見ている露がつらくなる表情だった。
彼は苦しそうな表情を浮かべて片方の手を上げ、露の胸の前で広げると小さくつぶやいた。
「…『水閘』」
その瞬間、雫の手の前から水が勢いよく吹き出て、露は部屋の隅に追いやられ、壁に激しくぶつかった。
あまりの激痛に思わず目を閉じ、びしょ濡れになって寒さに震えて立ち上がった。
「来るな!」
聞いたことのない、雫が怒気を強めた声。一瞬、誰かと思うほどの鋭い声だった。誰相手でもこんな大きな声は出したことはない。驚きのあまり露は足の力が抜け、その場にへたりこんだ。言霊に押し込められたような気がした。
どうして、と問いたくて彼のことを見ると、彼は普段の優しい表情になった。露をなだめさせるような、兄貴分の顔。
「…いいコだ。そのまま…俺に近づいちゃいけない」
「なんで? 言ってる意味が分からない。いつもみたいにちゃんと説明して」
「ごめん、露…」
彼はそれ以上答えてはくれなかった。諦めを混ぜた表情でこちらを見ているだけ。
それまでずっと黙っていた男は、雫の前髪をひっつかんで立たせ、彼の額に人差し指を当てた。
男が唇を動かすと、雫は気を失って青い光に包まれ、姿が見えなくなった。その光が砂のようにさらさらとこぼれてはじけ散り、青の小さな玉が現れた。青い水晶のような、内から光をゆらゆらと放っている。
露は声も表情も出ないほど、驚いていた。目の前で起きたことは────。
「て…天災地変…」
震える声でつぶやくのと同時に男は結晶を掴み、和服の袖の中に落とした。
「そなたは若いようだがよく知っているな。そうだ、私が天災地変の零だ」
存在だけは知っていた。だが本人を見るのは初めてで、改めて恐怖がどっと押し寄せてくる。
もしかして、と本能的に悟った。
(私、も…?)
水で濡れた服が凍ったように冷たく感じるほど、体の芯から熱を失っていく。
指先まで冷え、感覚がなくなり、恐怖との二重奏で歯がカチカチと鳴り始める。
男は露の心情を読んだのか、男は場違いな美しい笑みを浮かべた。
「案ずるな。私はそなたのことを結晶化しようとは思っていない」
うれしいのかうれしくないのか分からない。雫がいなくなってしまったのだから、もういっそのこと結晶化しても。
「フン…そなたのような、無機質で精霊らしい美しさが無い者には興味」
────何言ってんだコイツ。
露の中で怒りがヒートアップした。今日は感情の起伏が激しい。もしかしたらこれは一生分かもしれない。
震えを取り払った足で立ち上がった。
もうこんな男なんて怖くない。気持ちの切り替えはできている。きっと、雫のおかげだ。
露は左手を差し出して、意志のこもった瞳で雫のことをにらんだ。
「返して。雫の結晶。…他の精霊も。皆、元に戻して」
突然変わった露の様子に、零は不敵に笑んだ。
「返しても…どうにもならないぞ? 結晶化したら、私を殺さなければ解けないようにまじないをかけてあるのだ。そなたに私を倒すことはできないだろう? 所詮、機械から生まれたそなたでは。それ以前に私に能力で勝てる精霊などいない。たとえ”天”でも」
彼は和服の袖を少しまくり、金と銀のブレスレットを見せた。
それは露との圧倒的な差でもあった。彼女の腕にはブレスレットはない。
正直、この男には何もかも負けている。
だからこそ悔しかった。非力で役立たずな精霊であることが。
それからの露は自室でふさぎ込んでいた。メランコリックな状態で、何もかもやる気をなくしてしまった。
雫がいない毎日はこんなにも色褪せて見える。彼は露が見る全てを、美しく鮮やかに彩りを与えてくれていた。
それに今頃気づいた。
ヤツを天災地変の零だと、もっと前から見抜いて雫を連れ回していたら、結晶化することはなかったかもしれない。雫は零のことを秘密裏に嗅ぎまわっていた。最近、露と出かけなかったのはそれが理由だ。
雫がこそこそと身辺調査をしていることに気づいた零は、雫やその身の回りのことを調べた。そこで雫の優秀さを知り、その力を手に入れようと目論み、”天”に乗り込んだ。この頃はセキュリティは甘めだった。
露が雫のことで立ち直るのには何年もかかった。それこそ、雫と過ごしたのと同じ期間だけ彼のことで落ち込んでいた。
数年ぶりに思い切って人間界に出かけ、”天”に帰ってくると蔓をはじめ”天”の精霊たちに出迎えられた。皆、一様に心配そうな顔で。
ずっと露のことが気がかりだったと言われ、我慢していた涙が溢れだした。それは止まることを知らず、曇天の空がどしゃぶりの雨を降らせたようだった。
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