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創手 カケラ

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二人旅、出会うは神樹の鹿

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「ふぁー……あ……おい。龍……朝だぞ……出発だ……」

「んっ……もう……朝……ですか?」

まだ薄暗く、辺りを白いもやが包む。鳥の囀りが聞こえて、朝なのは分かる。日の出前は少し寒かった。体を起こして軽く体を伸ばす。辺りはやはり森のなか、すべては夢でなく目の前の虎鉄も血のついた制服も現実だった。
虎鉄も欠伸しつつ体を伸ばしたりして、足で焚き火跡に土をかけている。

「よし……うんで、朝食っても……こんなもんかな?ほら」

「ありがとうございます」

リンゴみたいな実とカチカチの細い棒状のパン?をもらいいただく。とても固い、乾パンってやつみたいだ。チョコのお菓子みたいに食べれないかと思ったが、固さはそんなものではなかった。両手で折るが食べ物の固さとは思えないもの、くわえて噛みつつ手でパキっとさらに折り口の中へ。塩味が強く、唾液でふやかすが固さはあまり変わらない堅焼煎餅より固い。

「ホントかてえな……歯は大丈夫か?」

「っ……なんとか……」

固いと言うが、虎鉄はポリポリと食べ進めている。人間じゃない種族って話だけど歯も丈夫なのだろうか。少し羨ましい。口の中の乾パンをやっと噛み砕け、飲み込み次はリンゴみたいなのを食べる。リンゴみたいのは瑞々しくって口の中が潤う。酸っぱさのなかに甘味があり美味しい。

「水とかいるか?」

「あ、大丈夫です。ホントにありがとうございます」

「そうか?じゃあ、食い終わったら歩くぞ。町までつければいいが着けなくても宿につけるかな?」

襲われたときも助けてくれたし、気にかけてくれるし……虎鉄はホントにいい人だ。柄は悪いがっていうと失礼だけど……轢かれそうになってた児童を助けて代わりに轢かれて、こっちの世界でも僕みたいのを助けてくれたわけだ。偶然出会っただけなのに、正直物のついでなはずだしね……必ずなにか恩返しをしたいな。

なんとか食べ終わり、町を目指して歩くことに。荷物をまとめて出発する。スクールバッグ一つに腰に剣の差した僕。腰に下げる幾つかの袋と背中に背負うくの字型の剣を二振りの虎鉄。直ぐに準備は終わり、歩き始める
前を進む虎鉄の足は裸足だった。自分は通学に使ってた運動靴だけど、虎鉄は裸足で、スタスタ歩いているしかも足が早い。爪も長いのもあって靴を履いてると逆に歩きづらいのか?裸足なのにずんずん進み間が開いていく。

「うん?大丈夫か?疲れたか?」

「大丈夫です!足が遅いだけ……なんで」

「無理はすんなよ?逆に移動できなくなるのは面倒だかんな?」

「は、はい!」

森のなかは歩きづらいのもあるが、少しずつ距離が開いてしまう。こんな森のなかでも、虎鉄は歩くのに難なく進んで、しかも裸足でって言うわけだ。こう言うところにも種族の違いとかあるんだな。僕のことを気にかけて、声をかけてくれるがただ遅いだけなのでちょっと申し訳ない。
後ろを気にしつつ、前を進む虎鉄と後ろを必死に追いかける自分。ペースを落としてくれたみたいだがそれでも間は開いたままなかなか詰まらない。しばらく歩き、虎鉄が立ち止まった。なにかを見てるみたいで、やっと自分も追い付き立ち止まる。

「珍しいもんが見れっぞ……」

「珍しい?」

この世界で見るもの全て初めてなのだが……言われた方に目をやる。虎鉄が言う珍しいの意味が分かった。こんなの何度も出会えるとは思えないものだった。

「神獣やそれこそ獣神かもな?」

「?それってどう違うんですか?」

「……えっとな……神獣が……えっと神の加護を得た?獣で……獣神が獣が神になった……だったかな?前に聞いたんだけどな……」

「戦ったりしたら……」

「間違いなく死ぬな……って戦えねえお前が言うなよ?龍」

「す、すいません」

神獣、獣神。もしも戦ったら確実に死ぬらしい。戦えない自分が言ったのもあるが、虎鉄の目が痛いとても鋭い目付きで言われてしまった。そして、それよりも恐ろしく冷たいものを感じる。
その獣の目は恐ろしく本当に殺されるかもしれないと言う。凍りそうな睨みを向けていて、静かに佇んでいる。
鹿の大型……テレビで見たようなトナカイやヘラジカより大きく。体毛は長め、大きな枝角は木々のようでありと言うより、葉を繁らせてガラスや宝石のような実が実っている。それが角や実同士でぶつかると綺麗な音色を奏でていた。

お互い動かず見つめる。戦う意思はないがもしもがあるとという感じだろうか。

ブルル……

一鳴きするようにして、頭を振る。ぶつりぶつりと角枝の実が落ちて、その獣は興味をなくしたように去っていった。歩きだした獣の足跡には草が繁り歩いた跡が残されていく。何処かで見たような力のある獣、本当に戦ったらどうなったとか考えないようにしよう。

「ふぅ……機嫌を損ねなくて良かった……前あいつじゃねえけどひどい目に遭ったからな」

「……そ、そうなんですか?」

「誰も死にはしなかったけど……な。まあ、そんなことはいいか、あの落としていったのなんだろうな?」

「……そうですね。木の実何でしょうかね?」

なにもいなくなったのを確認して、落ちているその実を確認してみる。キラキラと輝く蒼や紅の透き通った木の実。サイズはリンゴより大きめで朝食べた棒乾パンなんかよりさらに固く食べれそうにはない。

「こいつはいいもんだな……ありがたくもらっとこうぜ?」

「そ、そうですね」

なにもしなかったからか。それとも他の理由があるのか。この実を受けとることにする。まだ日は上りきっていない。この実はお互い袋やスクールバッグにしまい再び歩き出した。
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