ぼっちな魔女の魔法人形

御伽 白

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魔法人形と脱出劇

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 明らかに言動のおかしな女の子、突然の地震に暗闇。身動きの取れない状態。

 私が見たスキル欄には、擬似餌、拘束、毒の3つ。

 ここから導き出される答えは、擬似餌として用意された女の子にホイホイ近づいたお馬鹿さんが、地面に埋まっていた何者かに気付かず、まんまと丸呑みされてしまいましたとさ。

 という状況のようです。

『毒』については、どうやら生物にしか効かないものらしく、私は、厳密には物体なので、毒の効果を受けないようです。
 
 ステータス確認

 『フレン』Lv 1

 種族:ホムンクルス・コア(疑似生命体)
 所有者:イーリス・ブロッサム
 
 ATK・M(攻撃・魔法攻撃)100・100 DEF・M(防御・魔法防御)250/350 
 AGI(素早さ) 10(拘束中のため低下中) LUK(幸運) 10
 HP(体力) 550/550 MP(魔力) 60/60(供給中)

 因子:変化 

 種族スキル 『人形同化』『思念伝達』
 同化スキル 『魔力回復』『自己修復』
 固有スキル 『虚構の箱』『模倣<未保存>』
 一般スキル 『掃除』『学習』

 状態:紛失刻印


 ほら、HPが全く減っていません。

 獲物を擬似餌で誘き寄せて捕食し、拘束して毒で倒す生き物のようです。ついでに普通の生き物なら埋もれている状態なので、窒息もあるかもしれません。

 私は生物ではないので、毒の効果も受けませんし、酸素がなくても生きていけるため、効果はありませんが。

 この体に救われました。生身ならこの時点で人生終了でした。

 『思念伝達』が発動したのは、捕食した生物に接触していたからなんですね。

 そりゃあ、返事も返って来ない訳です。というか、触れていれば、人間じゃなくても思念伝達を行えるのですね。

 使ってみないと分からないものですね。

 ・・・・・・いや、どうしましょう。この状況。

 私自身が、死ぬことはありませんけど。ここから動くことも出来ません。精々、手足を少し動かせるぐらいです。

 性質上、捕食した生き物を消化液で溶かしたりしそうなので、そうなると私のコアは無事でも、体は無事では済まなさそうです。

 正直、頼みの綱は、『模倣』のスキルですけど、有効そうなスキルがないんですよね。

 『拘束』スキルは身動きの取れない状況では関係はありませんし。
 
 『毒』のスキルって、毒を持ってる本体に効果があるとは思えないんですよね。

 となると、『擬似餌』ですけど、私、この世界に来てから薬草汁しか食べてないんですよね。

 薬草の擬似餌ってなんです? 不発になりそう。

 こんなことなら、巨大な生き物でも食べていれば生み出して、この生き物の胃袋を突き破れたのに。

 ・・・・・・何か。

 と言っても食べ物なんて、今更用意出来ませ――――ん?

 そこで私の思考に引っ掛かるものがあります。

 よくよく考えてみれば、生き物と思念伝達が出来ているということは私とこの生き物は触れ合っています。

 周りが土に囲まれていますが、すぐそばに怪物の体があるのでは?

 私は、無理矢理に腕を少し動かして、顔の周りの土を指で引っ掻きます。

 <『掃除』スキルを使用し、汚れを取り除く動作を効率化します>

 嬉しい誤算です。私の想像よりも簡単に土が取り除かれ、土とは違う物質が露出します。

 私は、露出した何かに噛みつきました。やや、ブヨブヨとした肉質の何か、生臭いというより、青臭くて渋みの強い味が口の中に広がります。

 ここに来てから苦いものとか、渋いものしか食べてませんね。

 絶対に美味しいものを食べてみせます。

『模倣』発動します。『擬似餌』をコピーします。

『擬似餌』を使用して私を捕食している何かを作成します。

 <『擬似餌』を使用します。MPを消費します>

 その瞬間、土で満たされていた空間がさらに狭くなるのを感じます。圧迫感が徐々に強くなっていきます。

 そして、ブチブチっという音が聞こえます。

「キシャアアアア!」

 聞いたこともない何かの鳴き声が響き渡ります。そして、密封されていた空間が崩れていきます。そのまま私の体も一緒に勢いよく放り出されました。

 地面を転がりながらも起き上がり、周囲を確認します。

 鳴き声の方を見るとそこには、巨大な葉っぱの怪物がいました。

 2枚の巨大な葉っぱを重ね合わせたような怪物に筒のような体、酷くアンバランスな怪物の腹から、全く同じ怪物が飛び出しています。

 どうやら、私は、あの筒のような部分に閉じ込められていたようです。

 青臭い味と思いましたが、動物ではなく、植物みたいな生物だったんですね。

 鳴き声をあげてましたから、純粋な植物ではないのかもしれませんけど。

「ちょっと気持ち悪いですね」

 <魔獣を討伐しました。著しいレベル差による大量の経験値を得ました。レベルアップします。経験を元にスキルを獲得します>

 え、あ、そうですか。一応、私が倒したことになるんですね。

 質量で胃袋を突き破った形ですけど。

 <スキル『逆境』『人形強化』『人形換装』『草刈り』『高速作業』を獲得しました>
 
 おお、何か色々なスキルを獲得しました。もしかして、これで何か戦えるスキルを発動できるのでしょうか。

 ステータス確認。

『フレン』Lv 10

 種族:ホムンクルス・コア(疑似生命体)
 所有者:イーリス・ブロッサム
 
 ATK・M(攻撃・魔法攻撃)150(+50UP)・180(+80UP) DEF・M(防御・魔法防御)300(+50UP)/500(150UP)
 AGI(素早さ) 85(20UP) LUK(幸運) 60(+50UP)
 HP(体力) 650/650(+100UP) MP(魔力) 190/190(120UP)(供給中)

 因子:変化 

 種族スキル 『人形同化』『思念伝達』『人形強化』『人形換装』
 同化スキル 『魔力回復』『自己修復』
 固有スキル 『虚構の箱』『模倣<未保存>』
 一般スキル 『掃除』『学習』『逆境』『草刈り』『高速作業』

 状態:紛失刻印
 
 ステータスの伸びは、思ったよりも大きく変化しています。このレベルアップの上昇ってコアの状態でも維持されるんですかね。

 <コアの状態では、移動能力がないため、一部ステータスは凍結されます>

 まあ、それはそうですよね。ただ、コアの状態でのステータスも一応は確認したいです。
 
 <コア状態のステータスを表示します>

 『フレン』Lv 10

 種族:ホムンクルス・コア(疑似生命体)

 ATK・M(攻撃・魔法攻撃)50・90 DEF・M(防御・魔法防御)60/160
 AGI(素早さ) 0 LUK(幸運) 60
 HP(体力) 106/106 MP(魔力) 190/190
 
 攻撃とかってコアの状態でどうやって行うんでしょうか。コアを投げつけられたりすると攻撃になるんですかね。

 <はい。コアを対象に投げつけた場合、攻撃力を参照したダメージを相手に与えることが出来ます>

 投擲武器としてしか現状は使い道のないステータスですね。

 とりあえず、家に帰りましょうかね。ゆっくりスキルの確認をしたいです。

 <推奨:『人形換装』のスキルを使用し、疑似餌を回収することを提案します>

 あら、ガイドさん、急に自己主張してどうしたんですか?

 <レベル上昇に伴いガイドレベルが上昇しました>

 ああ、そういえば、最初にそういう話をしていましたね。

 『人形換装』ってちなみに何ですか?

 <『人形換装』は、人形をコア内に保管し、自由に現在の人形と入れ替えることが出来るスキルです。保管出来る数は2体です。このスキルは人形同化時のみ使用可能です>

 え、かなり便利なスキルじゃないんですか? 状況に合わせて体を変えられるってことですよね。

 変身出来るようになっちゃいましたね。私。

 まあ、変身先はただの魔物ですけど。
 
 疑似餌って厳密には、生物じゃないから、人形扱いになるんですね。

 まあ、提案されたからには、素直に従っておきましょう。損は別にないですし。

 私が疑似餌に触れると特にスキルを使う意思を示さなくても勝手に『人形換装』が発動され、コアの中に吸い込まれていきました。

 ガイドさんのレベルが上がって私の気持ちを汲んで勝手にスキルを発動してくれています。

 「さて、一通り終わりましたし、帰りましょう。服も泥だらけですしね」

 私は、そのまま来た道を引き返して、屋敷へ戻りました。
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