ぼっちな魔女の魔法人形

御伽 白

文字の大きさ
12 / 33

魔法人形はお説教を受ける

しおりを挟む
「フレンはどこに行ってたの?」

 屋敷に帰る頃には、お日様が登り始めていました。

 明るくなるまでには、帰れると思ったんですけどね。まさか、道が分からなくなるとは・・・・・・

 普通に生きていて、あんなに手入れもされていない道を歩くことなんてありませんからね。

 同じ場所をぐるぐる回っていたような気すらします。ガイドさんも成長したのなら、帰り道ぐらい教えてくれても良いのに。

 <現在のレベルでは、ナビゲーション機能は存在しません>

 ああ、レベル不足というやつですか。

 もし仮に声の主が本当に女の子だったら、助けに行って遭難するみたいなことも起こっていたかもしれませんね。

「フレン。聞いてる?」

「あ、はい。助けてくれてありがとうございます。ご主人様」

 遭難したのを助けてくれたのは、イーリスでした。箒に乗って助けに来てくれた時は、やっぱり魔女って箒で飛ぶんだ。と感動しました。

 どうやら、箒は1人乗りのようで、私と合流してからは森を歩いて屋敷に戻りました。

 少しだけ、箒に一緒に乗せてもらえるのでは? と思って期待している自分がいましたが。

 私は、今、玄関の前の庭に正座してイーリスの話を聞いていました。せっかく掃除したのに泥だらけの服で、ウロウロはしたくなかったので。

「なんで、森の中に? もしかして、・・・・・・逃げようと?」

 イーリスは、少し心配そうにそう呟いた。

 確かにそう思われても仕方ない。勤務初日で家を飛び出して。
 
「ああ、いえ、庭の整備をしようと思ってたら、女の子の声が聞こえて。助けに行こうと」

「人? 誰かいたの?」

「いえ、助けに行ったら変な葉っぱの化物で、丸呑みにされちゃったみたいな」

「丸呑み!? 大丈夫!?」

 私の言葉を聞いて、イーリスが私の側に駆け寄ると人形の胸に付けられたコアを確認します。

 なんだか、不思議な光景ですね。確かに私の本体はコアなので、正しい確認なんですけど。

「コアが破壊されたら、再生出来るか分からない。危険なことはしないで」

「すみません。でも、とりあえず、倒したので大丈夫です。それに人形も手に入れたので」

「? どういう意味」

 私の言っている意味が分からないという風な様子でイーリスは首を傾げます。

 そうですよね。説明が足りてないですよね。でもこれは、実際に見せた方が早いのでは?

『人形換装』

 私は、スキルを起動します。すると私の体が、光始めました。おお、変身フォームみたいですね。

 すぐに私は、巨大な葉っぱの怪物に姿を変えます。

 葉っぱの部分が3mから4mほどの大きさです。その巨大な葉っぱの下にツボのような胴体がくっついています。

 葉っぱと表現しましたが、非常に分厚く丈夫な作りをしているので、獣の皮のようにすら思えます。

 基本的に動くことはないのか、それほど発達していない根のような足が生えているため、自立は出来ますがこの体は動くのが非常に遅いです。

「『エンイースト』。待ち伏せして獲物を食べて、その食べた獲物を擬似餌にして、獲物を集める魔草」

「キシャアア? (エンイーストって名前なんですか?)」

「? なんて言ってるか分からない」

 あ、そうか、この体、当たり前ですけど、発声能力がないですよね。

 元に戻しましょうか。『人形換装』

 私は、再びメイドの姿に戻ります。タイムラグなく変身できるのはありがたいですね。
 
「なるほど。話は本当みたい。でも、よかった。弱い魔草で」

「え、弱い?」

 え、私的にはかなりの強敵だったんですけど、違うんですか!?

 この森の主とかそういう存在では?
 
「? うん。この森では比較的、安全な部類の子」
 
「助けに来てくれてありがとうございます」

「う、うん」

 もしかしたら、大事な体を失ってたかもしれません。最悪、コアも動物の胃のなかに入ってたかも。

「でも、エンイーストの擬似餌なんて、珍しい。エンイーストは基本的に獲物を待つから共食いなんて滅多にないのに」

「ああ、それは私の固有スキルでエンイーストの体を作ったんです」

「そういえば、フレンの固有スキルを聞いてなかった」

「『模倣』と『虚構の箱』です」

 今更、隠しても良いことはなさそうなので正直にイーリスに教えます。私の言葉にイーリスは不思議そうに首を傾げました。
 
「? 固有スキルがどうして二つ?」

「それは、私にも。異世界特典ですかね?」

「異世界人は何人かスキルが伝わってるけど、2つの固有スキルを持つなんて初めて聞いた」

 解析したくなる。と少し怖いまなざしを私に向けてくるイーリスに思わず後ずさりします。

 え、モルモットにされる?

「・・・・・・でも、その『虚構の箱』はホムンクルス・コアのフレンには相性が良い」

 イーリスも『虚構の箱』の効果は知っているようです。私が思っている通りの評価で少し安心します。
 
「そうですよね。コアが破壊されることはなくなりますし」

「ただ、しようと思えば、人形を破壊して確保するなんてことも出来る」

 私のコアだけを守るスキルですからね。

「危険なことはしないでほしい。『虚構の箱』は確かにコアを守ってくれるけど、完璧じゃない」

「はい。すみません。せっかく作ってくれた体を失うかもしれませんでしたしね」

「・・・・・・まあ、いい」

 イーリスは少し呆れるような表情を浮かべながら私を見ます。え、なんです? そのこいつ、わかってねーみたいな顔。

 かなり心外なんですけど。

 「とりあえず、許可なく森への侵入は禁止する」

 「はい。分かりました」

 まあ、危険性を聞かされた今、好き好んで、危険な森の中にわざわざ行きません。

 イーリスも言った通り、コアは破壊されなくても人形のボディを失えば、私は活動出来ないので、やはり戦い向きではない。

 とりあえず、当面は生活を安定させましょう。

「とりあえず、お風呂に入りましょう」

「じゃあ、私もついでに入る」

「あ、そうですか。ご主人様も」

・・・・・・え?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

悪役令嬢と入れ替えられた村娘の崖っぷち領地再生記

逢神天景
ファンタジー
とある村の平凡な娘に転生した主人公。 「あれ、これって『ダンシング・プリンス』の世界じゃない」 ある意味好きだった乙女ゲームの世界に転生していたと悟るが、特に重要人物でも無かったため平凡にのんびりと過ごしていた。 しかしそんなある日、とある小娘チート魔法使いのせいで日常が一変する。なんと全てのルートで破滅し、死亡する運命にある中ボス悪役令嬢と魂を入れ替えられてしまった! そして小娘チート魔法使いから手渡されたのはでかでかと真っ赤な字で、八桁の数字が並んでいるこの領地収支報告書……! 「さあ、一緒にこの崖っぷちの領地をどうにかしましょう!」 「ふざっけんなぁあああああああ!!!!」 これは豊富とはいえない金融知識と、とんでもチートな能力を活かし、ゲーム本編を成立させれる程度には領地を再生させる、ドSで百合な少女の物語である!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...