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4章
Part 280『ただ背中を押すだけ』
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「なるほど、呪術の修行をしにきたのに一向に呪術を教えてもらえないのでございますか。」
「いや、知識は教えてもらってるんだけど、技術的な指導は教えてもらえてないって話でさ。」
近くにあった喫茶店に入り、俺はハチに現在の悩みを相談した。ハチの姿は、明らかに人間離れしているはずなのだが、店員は気にすることなく席へ案内された。ハチの存在自体は知覚しているので、認識を阻害する何かをしているのだろうと思う。
「おや、知識は教えてもらっているでございますか?」
ハチは、意外そうな表情を浮かべて、改めて不思議そうに首を傾げた。
「では、何を悩んでいるでございますか?」
「なにって・・・・・・聞いてなかったのか? 技術的な指導は一切してもらってないって話」
「いえ、それはきいたのでございますよ。ですから、やってしまえば良いではございませんか。」
あっさりとしたハチの言葉に内心に感じていたことを表面化されたような気持ちになる。
「知識があって、教えてもらえないなら、もう自分でやってみるしかないでございます。何事も実践あるのみでございますよ。」
頭の中では、少なからず考えていたことではあった。毎日、コツコツと呪術の本を読み、教えられなくても出来るのではないかと。しかし、勝手にするなと言われていたので、今までは呪いを実践せずにいた。
「確かに安全面を考えているのかもしれないでございますが、その調子で間に合うのでございますか? 師匠さんは、サクヤさんのことを本当に分かっているのでございますか?」
なんとなく感じていた不安が言語化されていくのがわかる。そう。自分には、時間がないのだ。そして、篝さんは、俺がどうして焦っているのか本当に分かっているのだろうか。俺がやりたいことは、石の像を彫ることではない。
「多少のリスクを背負ってでも実践するべきではございませんか?」
「確かにそうかもしれない。もう、呪いに使う項目は勉強したし、実践出来ると思う。」
課題自体もちょっとの削り残しだけで、ほぼ完成していたのだ。
もう一度、作り直したら成功するとも限らない。もう、冬も近い。このまま、終わらなければ、絶対に後悔することになる。
「ハチ、ありがとう。悩んでたことが一つ自分の中で決着がついたよ。」
「そうでございますか。お力になれて良かったでございますよ。では、こうしている時間も惜しいでございましょう? お代は私が払っておくので、大丈夫でございますよ。」
すぐに作業に取り掛かりたい俺の気持ちを察してか、ハチが気を利かせてくれる。俺は、ハチにお礼を言うと喫茶店を出た。
とりあえずは、簡単なものからやってみよう。
そう思いながら俺は、家へ走った。
「いや、知識は教えてもらってるんだけど、技術的な指導は教えてもらえてないって話でさ。」
近くにあった喫茶店に入り、俺はハチに現在の悩みを相談した。ハチの姿は、明らかに人間離れしているはずなのだが、店員は気にすることなく席へ案内された。ハチの存在自体は知覚しているので、認識を阻害する何かをしているのだろうと思う。
「おや、知識は教えてもらっているでございますか?」
ハチは、意外そうな表情を浮かべて、改めて不思議そうに首を傾げた。
「では、何を悩んでいるでございますか?」
「なにって・・・・・・聞いてなかったのか? 技術的な指導は一切してもらってないって話」
「いえ、それはきいたのでございますよ。ですから、やってしまえば良いではございませんか。」
あっさりとしたハチの言葉に内心に感じていたことを表面化されたような気持ちになる。
「知識があって、教えてもらえないなら、もう自分でやってみるしかないでございます。何事も実践あるのみでございますよ。」
頭の中では、少なからず考えていたことではあった。毎日、コツコツと呪術の本を読み、教えられなくても出来るのではないかと。しかし、勝手にするなと言われていたので、今までは呪いを実践せずにいた。
「確かに安全面を考えているのかもしれないでございますが、その調子で間に合うのでございますか? 師匠さんは、サクヤさんのことを本当に分かっているのでございますか?」
なんとなく感じていた不安が言語化されていくのがわかる。そう。自分には、時間がないのだ。そして、篝さんは、俺がどうして焦っているのか本当に分かっているのだろうか。俺がやりたいことは、石の像を彫ることではない。
「多少のリスクを背負ってでも実践するべきではございませんか?」
「確かにそうかもしれない。もう、呪いに使う項目は勉強したし、実践出来ると思う。」
課題自体もちょっとの削り残しだけで、ほぼ完成していたのだ。
もう一度、作り直したら成功するとも限らない。もう、冬も近い。このまま、終わらなければ、絶対に後悔することになる。
「ハチ、ありがとう。悩んでたことが一つ自分の中で決着がついたよ。」
「そうでございますか。お力になれて良かったでございますよ。では、こうしている時間も惜しいでございましょう? お代は私が払っておくので、大丈夫でございますよ。」
すぐに作業に取り掛かりたい俺の気持ちを察してか、ハチが気を利かせてくれる。俺は、ハチにお礼を言うと喫茶店を出た。
とりあえずは、簡単なものからやってみよう。
そう思いながら俺は、家へ走った。
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