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4章
Part 320『ひやかし』
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俺が篝さんに弟子入りした日の夜、作業場所がないのと疲れがたまっていることから一度解散になった。
乱丸も今日は帰るというので俺とサクヤと乱丸で途中まで一緒に行くことにした。
「まあ、お前に彼女がいるとは聞いてたけど、こんな可愛い子とはなぁ」
「可愛いのは認めますけど、ジロジロ見ないでください。視線がエロいです。」
「エロくねぇよ!」
俺の軽口にツッコミを入れる乱丸は、普段と変わりない様子だった。
篝さんが引退すると話した時、明らかに呆れたような様子だったので、気になっていたのだが、それほど引きずっていないようだった。
「ていうかさ。ちょっと耳貸せ。峰」
そう言って乱丸はこちらを手招きする。近づくと耳元で小声で話し始める。
「ぶっちゃけやることやったの? 男女の営みーーーーーいてぇ!」
「人の彼女の前で何をきいてんだ! この変態!」
「だから耳打ちで聞いたんだろうが! 人の気遣いを無下にしやがって」
「だったら、タイミングを考えてください!」
頭を叩かれたことに憤る乱丸だが、明らかにタイミングがおかしいのは乱丸だ。
「あの・・・・・・どうされたんですか?」
突然勃発する言い争いに心配そうな表情を浮かべるサクヤに大丈夫だ。と答える。
「男なら性欲も湧くだろう? それを否定してなんになる。男はいつだって心に獣を飼ってんだよ。なぁ、妖精さんよ。たまにはこいつから強引に詰め寄られたいよな?」
「絡みに行かないでください!」
「強引な日向さん・・・・・・ちょっとだけ気になります。」
「サクヤ!?」
サクヤの反応に得意げな表情をこちらに向けてくる乱丸を本気で殴りたいと一瞬考えてしまった。
「ほらな。わかっただろう。草食動物は癒されるけどな、ドキドキしないんだよ。ジェットコースターがなんで好かれるか知ってるか? スリルや興奮があるからだよ。観覧車だけで人生というアトラクションは満足できないだろ? そういうことだよ。」
「い、いえ、その、ただ見たいというだけで、今の日向さんも優しくて・・・・・・その・・・・・・大すき・・・・・・ですから・・・・・・」
慌てて否定するサクヤ。照れながらもそう言ってくれるその姿が抱きしめたいほど愛おしい。
「はいはい。ごちそうさん。もういいや。円満な関係にこれ以上首を突っ込むのも野暮だしな。」
「ええ、そうしてくれるとありがたいですけどね。こっちは、ちょっと心配してたのに」
そういうとポカンとした表情を浮かべて乱丸は「なんで?」と聞いてきた。
「いや、篝さんが引退するっていうのに呆れてた様子だったし・・・・・・」
「ああ。あれか、いや、別に・・・・・・出来るもんならしてみろって感じだよ。」
「どういう意味だよ。」
「自分が凡人だって理解して努力し続けるような人間が、高々自分の限界を知った程度で辞めれるかってんだよ。そんな簡単に辞めれるほど諦めよくねぇよ。あの人は」
「んじゃ、俺は帰るわ。」と乱丸は、そういうとさっさと行ってしまった。
そこには、はっきりとした信頼が見えた。
乱丸も今日は帰るというので俺とサクヤと乱丸で途中まで一緒に行くことにした。
「まあ、お前に彼女がいるとは聞いてたけど、こんな可愛い子とはなぁ」
「可愛いのは認めますけど、ジロジロ見ないでください。視線がエロいです。」
「エロくねぇよ!」
俺の軽口にツッコミを入れる乱丸は、普段と変わりない様子だった。
篝さんが引退すると話した時、明らかに呆れたような様子だったので、気になっていたのだが、それほど引きずっていないようだった。
「ていうかさ。ちょっと耳貸せ。峰」
そう言って乱丸はこちらを手招きする。近づくと耳元で小声で話し始める。
「ぶっちゃけやることやったの? 男女の営みーーーーーいてぇ!」
「人の彼女の前で何をきいてんだ! この変態!」
「だから耳打ちで聞いたんだろうが! 人の気遣いを無下にしやがって」
「だったら、タイミングを考えてください!」
頭を叩かれたことに憤る乱丸だが、明らかにタイミングがおかしいのは乱丸だ。
「あの・・・・・・どうされたんですか?」
突然勃発する言い争いに心配そうな表情を浮かべるサクヤに大丈夫だ。と答える。
「男なら性欲も湧くだろう? それを否定してなんになる。男はいつだって心に獣を飼ってんだよ。なぁ、妖精さんよ。たまにはこいつから強引に詰め寄られたいよな?」
「絡みに行かないでください!」
「強引な日向さん・・・・・・ちょっとだけ気になります。」
「サクヤ!?」
サクヤの反応に得意げな表情をこちらに向けてくる乱丸を本気で殴りたいと一瞬考えてしまった。
「ほらな。わかっただろう。草食動物は癒されるけどな、ドキドキしないんだよ。ジェットコースターがなんで好かれるか知ってるか? スリルや興奮があるからだよ。観覧車だけで人生というアトラクションは満足できないだろ? そういうことだよ。」
「い、いえ、その、ただ見たいというだけで、今の日向さんも優しくて・・・・・・その・・・・・・大すき・・・・・・ですから・・・・・・」
慌てて否定するサクヤ。照れながらもそう言ってくれるその姿が抱きしめたいほど愛おしい。
「はいはい。ごちそうさん。もういいや。円満な関係にこれ以上首を突っ込むのも野暮だしな。」
「ええ、そうしてくれるとありがたいですけどね。こっちは、ちょっと心配してたのに」
そういうとポカンとした表情を浮かべて乱丸は「なんで?」と聞いてきた。
「いや、篝さんが引退するっていうのに呆れてた様子だったし・・・・・・」
「ああ。あれか、いや、別に・・・・・・出来るもんならしてみろって感じだよ。」
「どういう意味だよ。」
「自分が凡人だって理解して努力し続けるような人間が、高々自分の限界を知った程度で辞めれるかってんだよ。そんな簡単に辞めれるほど諦めよくねぇよ。あの人は」
「んじゃ、俺は帰るわ。」と乱丸は、そういうとさっさと行ってしまった。
そこには、はっきりとした信頼が見えた。
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