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4章
Part 323『黒の恐怖』
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山に入った瞬間、心を揺さぶるような不安感を感じた。
「・・・・・・なぁ、サクヤ・・・・・・何か感じないか?」
「え? いえ、何も感じませんけど・・・・・・」
気のせいだろうか。
しかし、以前にもこんなよく分からない恐怖が自分に迫っていたのをこの辺りで感じたことがあった。
サクヤの木がある山の方へ歩いていく。周囲を警戒しながら俺はサクヤと前に進んだ。
何もないはずなのに不安感は、一歩進むごとに大きくなっていく。
「やっぱり、何かおかしい。サクヤ、やっぱり一旦、離れよーーーーー」
第六感としか言いようのない感覚だ異常な感覚に引き返そうと振り返るとそこには、何かがそこにいた。
黒
そうとしか表現出来ない何か。夜の僅かな光すら消したような暗黒がそこにはいた。
生物かどうかすら分からないその概念的な存在であるのにしっかりと見られている実感だけがある。
何か分からない。それがどういう形で、どういう動きをするのか、それを予想することも出来ない。
しかし、明らかに違う存在だというのに俺には確信があった。
「醜穢・・・・・・?」
なぜそれがそんな姿なのか理解は出来なかった。しかし、それが間違いなく醜穢であるという確信が自分の中にはあった。
妖怪の成れの果て、確かに真冬さんに倒され消滅されたはずのあれが何故そこにいるのか。
そもそも、何故こんなにも姿が変わっているのか。
しかし、考えることは後にするべきだ。
俺の声に反応してか、音もなくゆっくりと醜穢は近づいてくる。
俺はサクヤを連れて走った。あれから逃げ切れるような気がしなかったが、逃げるしかない。
「どうする。いや、どうするんだ。マジでこれは・・・・・・そうだ。リューに連絡を・・・・・・」
走りながらスマホを取り出す。連絡をしようとするが、何故か圏外になっている。
それほど高い山でもないし、いつもはどこでも大体は電話が繋がる。
これも醜穢のしわさなのだろうか・・・・・・
逃げる俺達を追いかけて醜穢は一定の速度で機械的に近づいてくる。
早くはない。けれど、距離が離れることもない。そんな速度で相手には疲れのようなものがあるとは思えなかった。人の身で妖怪と戦うのは自殺行為だ。
しかし、体力もそう続く訳もない。
ならばどうするのか。戦うしかない。
「サクヤ、逃げろ。お前なら浮遊して逃げられる。」
「何を言ってるんですか! 日向さんを置いてなんて行けません!」
「大丈夫だ。必ず逃げ切ってみせるよ。」
ポケットを探って妖刀を取り出す。俺は自分自身に妖刀を再び突き刺した。
「・・・・・・なぁ、サクヤ・・・・・・何か感じないか?」
「え? いえ、何も感じませんけど・・・・・・」
気のせいだろうか。
しかし、以前にもこんなよく分からない恐怖が自分に迫っていたのをこの辺りで感じたことがあった。
サクヤの木がある山の方へ歩いていく。周囲を警戒しながら俺はサクヤと前に進んだ。
何もないはずなのに不安感は、一歩進むごとに大きくなっていく。
「やっぱり、何かおかしい。サクヤ、やっぱり一旦、離れよーーーーー」
第六感としか言いようのない感覚だ異常な感覚に引き返そうと振り返るとそこには、何かがそこにいた。
黒
そうとしか表現出来ない何か。夜の僅かな光すら消したような暗黒がそこにはいた。
生物かどうかすら分からないその概念的な存在であるのにしっかりと見られている実感だけがある。
何か分からない。それがどういう形で、どういう動きをするのか、それを予想することも出来ない。
しかし、明らかに違う存在だというのに俺には確信があった。
「醜穢・・・・・・?」
なぜそれがそんな姿なのか理解は出来なかった。しかし、それが間違いなく醜穢であるという確信が自分の中にはあった。
妖怪の成れの果て、確かに真冬さんに倒され消滅されたはずのあれが何故そこにいるのか。
そもそも、何故こんなにも姿が変わっているのか。
しかし、考えることは後にするべきだ。
俺の声に反応してか、音もなくゆっくりと醜穢は近づいてくる。
俺はサクヤを連れて走った。あれから逃げ切れるような気がしなかったが、逃げるしかない。
「どうする。いや、どうするんだ。マジでこれは・・・・・・そうだ。リューに連絡を・・・・・・」
走りながらスマホを取り出す。連絡をしようとするが、何故か圏外になっている。
それほど高い山でもないし、いつもはどこでも大体は電話が繋がる。
これも醜穢のしわさなのだろうか・・・・・・
逃げる俺達を追いかけて醜穢は一定の速度で機械的に近づいてくる。
早くはない。けれど、距離が離れることもない。そんな速度で相手には疲れのようなものがあるとは思えなかった。人の身で妖怪と戦うのは自殺行為だ。
しかし、体力もそう続く訳もない。
ならばどうするのか。戦うしかない。
「サクヤ、逃げろ。お前なら浮遊して逃げられる。」
「何を言ってるんですか! 日向さんを置いてなんて行けません!」
「大丈夫だ。必ず逃げ切ってみせるよ。」
ポケットを探って妖刀を取り出す。俺は自分自身に妖刀を再び突き刺した。
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