魔王に成り上がったスライム ~子育てしながら気ままに異世界を旅する~

メイ(旧名:Mei)

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「よっし。昼食の出来上がりっと……レヴィア~。こっち来ーい。ご飯にするぞ~」
「食べるのなの!」
元気にそう言いながらこっちへタタタターと駆け寄ってくるレヴィア。やべぇ、メチャクチャ可愛い~。これは婿でも連れてきた日にはそいつをぶっ飛ばそう。いや、でもそれだとレヴィアが悲しむかもしれない……。嫌われたらお父さんもう生きていけないよ……。
「……? どうしたなの? パパ」
レヴィアがコテンと首を傾げながらそう言う。ん? 今パパって言ったような……。
「レヴィア、俺の事今何て?」
「……? パパって言ったなの」
俺の胸の内から嬉しさが込み上げてきた。その嬉しさの余り俺は口元をついにやけさせてしまう。俺は優しくレヴィアの頭を撫でてやる。
「……?」
レヴィアは不思議そうにしながらも気持ち良さそうに目を細める。
「よし、レヴィア。椅子に座って。飯にするぞ」
「はーいなの」
レヴィアはそう返事をすると、俺の隣の椅子にピョン、とジャンプして座る。今日のメニューは普通の肉にサラダもどき、それとキャミスというシャリシャリとした食感でみずみずしく甘い味がするフルーツだ。ん? 魔物の肉はどうしたのかって? あ~、それは……。レヴィアに魔法を教えるのに熱中しすぎて取るの忘れたんだよ……。
 ニールがレヴィアを育て始めてから1ヶ月が経過しているが……。ニールの過保護ぶりが更に増してきている。レヴィアが可愛いが故に仕方ない事なのかもしれない。最近レヴィアの事ばかりを考えており、魔王城の事などこれぽっちも覚えていないような状態である。
「ふう~。食った食った」
「お腹いっぱい、なの」
 二人とも満足そうな顔で料理(?)を堪能したのだった。
「レヴィア、この後街に出ようと思うから準備しておいてくれ」
「分かったなの!」
レヴィアは元気よく返事をし、椅子からピョンと飛び降りて、自分の準備に取りかかった。街にいく目的は物品の確保や家を見ておく事などである。いつまでも森に住んでいるわけにもいかないしな。
 今回はキラークルの森に隣接している国、ファルン王国のブロス街に行く予定である。ファルン王国は、世界でも2、3位を争う大国であり勇者召喚がよく行われる場所の一つでもある。勇者と聞いて一番最初に思うことは、"正義が空回った哀れな奴"である。勇者の中には下劣な輩も少なからず存在している。人間は魔族を悪だと決めつけているが、事実魔族は人間の国に攻めたことなど一度もなく、勝手に人間どもがそういうふうに言っているだけである。
「パパー! 準備できたなの!」
「よし、じゃあ出掛けるか」
俺はレヴィアと共に拠点を後にするのだった。



「かぜよ、ふけー!」
レヴィアの放った魔法"風圧ウィンドプレッシャー"は"コボルト"という狼型の魔物に上から押し潰すように襲いかかった。
「ギャン!?」
 コボルトは悲鳴をあげ、必死の形相で上から押し潰して来る風に抗う。
「グルウゥゥゥゥ……!」
 だが、その抵抗も空しく風に押し潰され骨が何本か折れたような音が聞こえ、コボルトは絶命する。
「パパーー! やったなのーー!」
タタタターとこっちに駆け寄り、抱きついて来るレヴィア。俺はそれを受け止め、頭を優しく撫でてやる。レヴィアも気持ち良さそうに目を細めている。やっぱいつ見ても可愛いな~。
「よ、よし。レヴィア、そろそろ行かないとな。一旦離れてくれるか?」
「いやなの! はなれないの! レヴィアはここにいるのー!」
 レヴィアは離れたくないと言って駄々をこね始めた。俺だって離したくない……。だがこちらとて街に早めに着かなければ行けない事情があるのだ。
 基本的にファルン王国に限らず、どの国でも日が暮れた後には門が閉められてしまう。犯罪集団の暗躍をできる限り防いだり、魔物に侵入されないようにするためである。勿論門番もいるにはいるのだが、夜の魔物は他の時間帯に出る魔物に比べると一段と強くたとえ訓練を受けた門番であろうと撃退するのは困難を極める。門には結界石が付いており、門を閉めれば起動するようになっている。起動した結界は強固であり、人間も魔物も何も通さない。まあ、一応結界は破れるには破れるのだが、そうすると街中から治安維持組織が飛び出してくるだろう。出来ればそれは避けたい。レヴィアに野宿をさせるなどもっての他なので、どちらにせよ日が暮れる前には街に着きたい。
「レヴィア、日が暮れる前には街に着かないと野宿することになるぞ?」
 俺はレヴィアに優しく諭すようにそう言う。レヴィアも野宿だけは嫌なようで、
「うぅ……。分かったなの……」
そう言って俺から名残惜しそうに離れる。
「後で幾らでもしてやるから」
 俺はそう言い、レヴィアの頭をポンポンと叩き、歩き出す。
「……! 分かったなのーーー!」
 レヴィアは嬉しそうにそう言い、俺の後に続く。
(さて……。レヴィアにとってはある意味初めて街に入るかもしれない。楽しんでくれるといいな……)
 俺はそんな事を思いながら街を目指すのだった。
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