ダンジョン経営なんてロクなもんじゃない!?

メイ(旧名:Mei)

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ルーク、家へ……?

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「ふう~。やっと終わった……」
 ルークは椅子から立ち上がり、大きく伸びをする。初日から色々とトラブルはあったものの、無事ダンジョンマスターとしての初仕事を終える事ができた。
「あ、そうだ……。必要な物を取りに家に戻らなきゃなんだっけ……」
 昨日の今日でトントン拍子みたいな感じでこのダンジョンに来たので、必要な物の準備が間に合わず、家に置いてきてしまったのだ。
 ルークは家に戻ろうと思い、今日自分で創った転移魔法の事を思い出す。
「……そうだ……! 僕が創った転移魔法、ちゃんと作動するかな……」
 ルークは家に戻る際に試そうと思っていた転移魔法を発動させる。すると、灰色の魔法陣がルークの足元に出現し、それはまばゆい光を放つ。光が収まると、そこにルークの姿は無く部屋の中は静けさに包まれた。



「よし、着いた~。……ってここは……?」
 ルークは転移テレポートで家の近くまで来たはずなのだが……。どういうわけか森の中にいた。真夜中に近い時間帯でもあるので、森の中には妙な静けさがあり、不気味さをより一層極めていた。足元も暗いせいでよく見えない。少しでも集中力を欠けば、夜に活動する魔物たちの餌になってしまうだろう。当然、朝、昼に出現する魔物と夜に出現する魔物では、種類も違えば強さも違う。厄介なのは夜に出現する魔物である。高い気配隠蔽能力と優れた感性を持っている魔物が多いからである。ベテラン冒険者でもっとレベルを上げたいという人なら、夜の魔物狩りをすればいいと思うがそうでない人々は夜の不要な外出を控えているのだ。
「う~ん……。取り敢えずここは……」
(何かお困りでしょうか、ルーク様?)
 ルークがここからどうしようか様々な思考を巡らしていると、癒しの女神ファーナの声が脳内に響いてきた。
(丁度良いところに……! ちょっとここが何処かわからなくて……。ファーナ、わかる?)
(えーと……。ちょっと待ってて下さいね……)
 ファーナがそう言うと、少しの間両者に沈黙が生じる。とはいっても念話で話しているので、端から見たら沈黙しているようにしか見えない。
(……分かりましたよ。この場所は深淵の森です。ルーク様の家の方角と同じ方向の更に奥の方に位置する森で、魔物も非常に強力です。まあ……ルーク様なら問題ないかとは思いますが。……所でルーク様、どうしてこのような森に?) 
 ルークはファーナにそう言われるとフーと一回溜め息をつき、この森に来てしまった経緯を説明し始めた。



(……成る程。風のダンジョンにあった転移魔法陣を写し取って、自分の物に書き換えたと。それで、ダンジョンで生活する上で必要な物を家から取ってくるついでに転移魔法を試してみたと)
(うん……)
 ファーナはルークの説明を聞き終えると、何が原因で深淵の森に来てしまったのか、一つだけ思い当たることがあった。故にファーナはルークに問う。
(……ルーク様。転移魔法を使う際に、魔力量を意識しましたか?)
 案の定ルークは転移魔法を初めて使用したこともあり、魔力量について全く意識していなかった。
(……魔力量?)
 ファーナはやっぱりそうでしたか……と呟き小さく溜め息を漏らした。
(良いですか、ルーク様。転移魔法において最も重要なのは魔力量を意識すること、それと場所を想像することです。転移魔法陣に流した魔力量に応じて、転移できる距離も変わってきます。ルーク様は膨大な魔力量を流しすぎたせいでご自宅を通り越してしまったのでしょう。……今回は私が自宅までお送りしますから、以後このような事がないように転移魔法を練習しておいて下さいね)
(分かったよ)
 ルークがそう返事をし、それと同時に白色の魔法陣がルークの足元に出現する。ルークがやっと家に戻れる……と安堵の溜め息を吐いた、その時。
木と木の間から、突如黒い体躯の、二本の角を持ったヤギみたいな魔物が出現しこちらに向かって走ってきていた。このままでは、転移する前にルークにぶつかってしまう。ルークは考えた末に、転移魔法陣から一度抜け出しそれを避ける。ルークはこのまま戦闘になるかと思い、身構えたが……その黒い体躯二本の角を持ったヤギみたいな魔物はそのまま走り去っていってしまった。まるで、何かから逃げているかのように。
 ルークのその悪い予感は当たってしまい、木と木の間から、のそ……ともう一匹体長三メートルくらいの巨大な人型の魔物が現れた。
「あれは……ハイオーガエンペラーか……」
 全身白色に包まれており、夜にも関わらずその存在感をより誇張していた。
 ハイオーガエンペラーはこちらを向くとニヤリ……と実に気味の悪い笑みを浮かべたのだった。
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