121 / 454
6章 突如、領地経営へ
領地経営安定
しおりを挟む
数日後──────。
「こちら、新鮮な黒マグロでーす! 本日限りですが、お安くなっております! この機会に是非ご購入を! 試食も出来ますよー!」
セイレーン族が外で屋台を出して魚を売っていた。珍しい魚もあるのか、人が大分集まっている。今日も大繁盛しているようで何よりだ。
「こちら、今月の新作でーす! 試し振りだけでもしていってくださーい!」
こっちは、ドワーフ族の人達が勧誘していた。ネルフィとは別の、広く武器を売る店だ。ネルフィは今も工房で武器作りをしていることだろう。ドワーフ族は、何日か前にここを訪れてきて、武器を売りたいと言ってきたのだ。勿論、断る理由などないので、大歓迎であった。
「こちら、翼人族の名物、タコヤキでぇーっす! 熱々で美味しいですよー!」
翼人族が、プレートにのったタコヤキを次々と引っくり返しながらそう言った。翼人族も、数日前に「この土地に興味が沸いてな…………」などと言ってここにやって来たのだ。タコヤキは、異世界から伝わった料理らしい。レクスも食ってみたが、凄く美味しかった。
「結構賑わってきたね…………」
そして現在、レクスは街を見て回っていた。エレナ達は、王都の方まで出向いて、温泉を堪能中とのことらしい。さすがに領主は出歩けないため、こうしているわけだ。
領地を経営し始めた当初は、どうなることかと思ったけど…………とりあえずは順調、って思っていいのかな。
「領主様、こんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは!」
大人の男性と大人の女性、幼い少女が、レクスに挨拶してきた。
「こんにちは」
レクスは笑顔で挨拶を返した。
…………僕も、エレナといつかあんな風になるのかな?
ふとレクスはそんなことを考えた。将来結婚して、幸せに暮らして────。
そこまで考えて、すぐにハッとなって顔を赤らめるレクス。我ながら気が早いと思ってしまう。
「ねえねえ、りょうしゅさま! これ、あげる!」
少女がそう言って差し出したのは、翡翠の勾玉。勿論、レプリカである。
「いいの? 貰っても」
「うん!」
少女は無邪気な笑顔でそう言った。
「もらってやってください」
大人の男性がそう言った。ここで断るのも、無粋のような気がしたので、レクスはありがたくもらっておいた。
「お仕事がんばってね!」
「うん、ありがとう」
レクスは少女の頭を撫でながらそう言った。少女はえへへっ、と気分良さげに笑った。
「じゃあね」
「うん!」
レクスは、幼い少女に手を振ってそう言うと、再び街を見て回るために歩き出したのだった。
◇◆◇◆◇
領主の館にて──────。
「レクス、今あなただけですか、ここにいるのは?」
レクスが声のした方を見てみれば、そこには黒い穴から顔を出しているメアがいた。
「うん、フィアさんは、エレナ達と一緒に温泉に行ってるからね。この屋敷には僕とセレスさんだけかな」
「なーんだ、つまんないですね」
そう言いながら、そのまま黒い穴を抜けて執務室に入り込むメア。
「へぇ~、本もあるんですね。てっきりあなたの事だから、読まないのかと思ってました」
「失礼な。僕も本ぐらい読むよ」
そんなやり取りをしつつ、メアは適当に本を物色する。
「あっ、これ! 異国の国のお姫様を救いだす物語ですよね!? 私も好きで何回も読み返してるんですよー! 特に、最後の王国兵達を一気に薙ぎ倒してお姫様の元へ向かうシーンが──────」
そこまでペラペラ喋ったメアは、途中でハッ──と口を塞いだ。しかし、時すでに遅しだ。レクスは、微笑ましい様子でメアを見ていた。
「こ、こほん。と、ところで、なんで貴方がこれを持ってるのよ?」
「────僕もその本が好きなんだ。エレナに勧められて読み始めたんだけど、思いの外面白くて。僕も何回も読み返してるよ」
レクスの言葉に、メアは驚いたような表情に。それと同時に、話仲間を見つけたかのように目を輝かせた。
その後、暫く会話が弾んだのは言うまでもない。
「こちら、新鮮な黒マグロでーす! 本日限りですが、お安くなっております! この機会に是非ご購入を! 試食も出来ますよー!」
セイレーン族が外で屋台を出して魚を売っていた。珍しい魚もあるのか、人が大分集まっている。今日も大繁盛しているようで何よりだ。
「こちら、今月の新作でーす! 試し振りだけでもしていってくださーい!」
こっちは、ドワーフ族の人達が勧誘していた。ネルフィとは別の、広く武器を売る店だ。ネルフィは今も工房で武器作りをしていることだろう。ドワーフ族は、何日か前にここを訪れてきて、武器を売りたいと言ってきたのだ。勿論、断る理由などないので、大歓迎であった。
「こちら、翼人族の名物、タコヤキでぇーっす! 熱々で美味しいですよー!」
翼人族が、プレートにのったタコヤキを次々と引っくり返しながらそう言った。翼人族も、数日前に「この土地に興味が沸いてな…………」などと言ってここにやって来たのだ。タコヤキは、異世界から伝わった料理らしい。レクスも食ってみたが、凄く美味しかった。
「結構賑わってきたね…………」
そして現在、レクスは街を見て回っていた。エレナ達は、王都の方まで出向いて、温泉を堪能中とのことらしい。さすがに領主は出歩けないため、こうしているわけだ。
領地を経営し始めた当初は、どうなることかと思ったけど…………とりあえずは順調、って思っていいのかな。
「領主様、こんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは!」
大人の男性と大人の女性、幼い少女が、レクスに挨拶してきた。
「こんにちは」
レクスは笑顔で挨拶を返した。
…………僕も、エレナといつかあんな風になるのかな?
ふとレクスはそんなことを考えた。将来結婚して、幸せに暮らして────。
そこまで考えて、すぐにハッとなって顔を赤らめるレクス。我ながら気が早いと思ってしまう。
「ねえねえ、りょうしゅさま! これ、あげる!」
少女がそう言って差し出したのは、翡翠の勾玉。勿論、レプリカである。
「いいの? 貰っても」
「うん!」
少女は無邪気な笑顔でそう言った。
「もらってやってください」
大人の男性がそう言った。ここで断るのも、無粋のような気がしたので、レクスはありがたくもらっておいた。
「お仕事がんばってね!」
「うん、ありがとう」
レクスは少女の頭を撫でながらそう言った。少女はえへへっ、と気分良さげに笑った。
「じゃあね」
「うん!」
レクスは、幼い少女に手を振ってそう言うと、再び街を見て回るために歩き出したのだった。
◇◆◇◆◇
領主の館にて──────。
「レクス、今あなただけですか、ここにいるのは?」
レクスが声のした方を見てみれば、そこには黒い穴から顔を出しているメアがいた。
「うん、フィアさんは、エレナ達と一緒に温泉に行ってるからね。この屋敷には僕とセレスさんだけかな」
「なーんだ、つまんないですね」
そう言いながら、そのまま黒い穴を抜けて執務室に入り込むメア。
「へぇ~、本もあるんですね。てっきりあなたの事だから、読まないのかと思ってました」
「失礼な。僕も本ぐらい読むよ」
そんなやり取りをしつつ、メアは適当に本を物色する。
「あっ、これ! 異国の国のお姫様を救いだす物語ですよね!? 私も好きで何回も読み返してるんですよー! 特に、最後の王国兵達を一気に薙ぎ倒してお姫様の元へ向かうシーンが──────」
そこまでペラペラ喋ったメアは、途中でハッ──と口を塞いだ。しかし、時すでに遅しだ。レクスは、微笑ましい様子でメアを見ていた。
「こ、こほん。と、ところで、なんで貴方がこれを持ってるのよ?」
「────僕もその本が好きなんだ。エレナに勧められて読み始めたんだけど、思いの外面白くて。僕も何回も読み返してるよ」
レクスの言葉に、メアは驚いたような表情に。それと同時に、話仲間を見つけたかのように目を輝かせた。
その後、暫く会話が弾んだのは言うまでもない。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。