247 / 454
8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
ユグドラシルを追い求め⑧
しおりを挟む
エレナ達は現在、コウリン樹海の中を走っていた。というのも、最初は空を飛んで探した方が早いんじゃない? というようなことを提案したエレナだったが、トラランカいわく、空からユグドラシルは見えないらしい。ここに来る道中も飛べば良かったと思っていたエレナだったが、トラランカの言葉に納得したように頷いた。ゆえに、このような状態になったのだが…………。
「あとどれくらい!?」
「あともう少しで着く、はず…………!」
カレンの言葉に途切れ途切れながら答えるトラランカ。トラランカの表情は少し苦しそうだ。ただでさえ、常人よりもかけ離れたスピードを持つエレナ達。エレナ達はトラランカに合わせているのだが、トラランカは速く走らねえと…………! の一心で走っている。エレナ達が速すぎるから。
「見えてきたよ! あれが、ユグドラシルだよ!」
トラランカが指差す先には、巨大な大樹が圧倒的な存在感を放ちながら立っていた。
「この感じ…………ユグドラシルに、魔力が注がれてる…………」
エレナはそう言った。そう。ユグドラシルに何者かが魔力を注ぎ込んでいるような気配がするのだ。今も継続して注ぎ続けているようだ。
「…………来る」
カレンが警戒体勢に入る。他の面々も警戒体勢を取る。
「─────おや、来客のようですな」
ユグドラシルの裏側から、騎士団風のドワーフ族の男性と剣を腰に携えたドワーフ族の少年が現れた。
「それに、四人ともお綺麗ではないですか。こちらにいるニューヴィーの『聖女』候補にでもどうです?」
テギルはそんなことを言った。その顔には張り付けたような笑みが浮かんでいた。エレナ達もそれに気づいていた。
「この気配、まさか…………」
しかも、先程のテギルの発言。『聖女』というワード。まさか、この少年、ニューヴィーは─────
「お察しの通り、ニューヴィーはドワーフ族の勇者ですぞ」
テギルがエレナの考えていることを代弁するかのようにそう言った。
「いや、この四人は聖女候補にいらない」
ニューヴィーは、四人をバッサリ切った。なんか振られたみたいになっているが、こんな少年、こっちから願い下げである。こんな少年より、レクスの方がよっぽどいい。
「そうですか。まあ、いいです。それよりも────貴女達は何をしにここへ? 私達は魔力が枯渇しているユグドラシルに魔力を注いでいたところなのですが」
「─────どう見ても、ユグドラシルの魔力は枯渇してないわ。むしろ、過剰よ。今すぐやめなさい」
ミーシャはそう言った。これ以上魔物が集ってくるのも面倒なのだ。面倒事を増やさないで欲しい。早くしないと、レクスが助からなくなってしまうから。
「それはできない相談ですな。ユグドラシルの魔力が枯渇しておりますゆえ。それとも、なんですかな? 貴女達は『侵略者』ですかな? もしそうなら、容赦はしませんが」
こちらを睨みつけながらそう言うテギル。『侵略者』という言葉に反応した勇者、ニューヴィーは怒りの表情を滲ませていた。これでは、あのテギルとかいう男の目論み通りになってしまう。
「…………お前ら、『侵略者』なのか?」
「…………は? いや、違うけど─────」
否定しようとしたミーシャ。しかし、もう遅い。既にニューヴィーは冷静さを失っていた。
「ニューヴィー、彼らをやってしまいなさい。ユグドラシルを守るのです」
ニューヴィーに囁くようにそう言った。これで、ニューヴィーの心は完全に憎悪に支配された。
「『侵略者』め…………。覚悟っ!!」
そう叫ぶと、ニューヴィーは斬りかかってきたのだった。
「あとどれくらい!?」
「あともう少しで着く、はず…………!」
カレンの言葉に途切れ途切れながら答えるトラランカ。トラランカの表情は少し苦しそうだ。ただでさえ、常人よりもかけ離れたスピードを持つエレナ達。エレナ達はトラランカに合わせているのだが、トラランカは速く走らねえと…………! の一心で走っている。エレナ達が速すぎるから。
「見えてきたよ! あれが、ユグドラシルだよ!」
トラランカが指差す先には、巨大な大樹が圧倒的な存在感を放ちながら立っていた。
「この感じ…………ユグドラシルに、魔力が注がれてる…………」
エレナはそう言った。そう。ユグドラシルに何者かが魔力を注ぎ込んでいるような気配がするのだ。今も継続して注ぎ続けているようだ。
「…………来る」
カレンが警戒体勢に入る。他の面々も警戒体勢を取る。
「─────おや、来客のようですな」
ユグドラシルの裏側から、騎士団風のドワーフ族の男性と剣を腰に携えたドワーフ族の少年が現れた。
「それに、四人ともお綺麗ではないですか。こちらにいるニューヴィーの『聖女』候補にでもどうです?」
テギルはそんなことを言った。その顔には張り付けたような笑みが浮かんでいた。エレナ達もそれに気づいていた。
「この気配、まさか…………」
しかも、先程のテギルの発言。『聖女』というワード。まさか、この少年、ニューヴィーは─────
「お察しの通り、ニューヴィーはドワーフ族の勇者ですぞ」
テギルがエレナの考えていることを代弁するかのようにそう言った。
「いや、この四人は聖女候補にいらない」
ニューヴィーは、四人をバッサリ切った。なんか振られたみたいになっているが、こんな少年、こっちから願い下げである。こんな少年より、レクスの方がよっぽどいい。
「そうですか。まあ、いいです。それよりも────貴女達は何をしにここへ? 私達は魔力が枯渇しているユグドラシルに魔力を注いでいたところなのですが」
「─────どう見ても、ユグドラシルの魔力は枯渇してないわ。むしろ、過剰よ。今すぐやめなさい」
ミーシャはそう言った。これ以上魔物が集ってくるのも面倒なのだ。面倒事を増やさないで欲しい。早くしないと、レクスが助からなくなってしまうから。
「それはできない相談ですな。ユグドラシルの魔力が枯渇しておりますゆえ。それとも、なんですかな? 貴女達は『侵略者』ですかな? もしそうなら、容赦はしませんが」
こちらを睨みつけながらそう言うテギル。『侵略者』という言葉に反応した勇者、ニューヴィーは怒りの表情を滲ませていた。これでは、あのテギルとかいう男の目論み通りになってしまう。
「…………お前ら、『侵略者』なのか?」
「…………は? いや、違うけど─────」
否定しようとしたミーシャ。しかし、もう遅い。既にニューヴィーは冷静さを失っていた。
「ニューヴィー、彼らをやってしまいなさい。ユグドラシルを守るのです」
ニューヴィーに囁くようにそう言った。これで、ニューヴィーの心は完全に憎悪に支配された。
「『侵略者』め…………。覚悟っ!!」
そう叫ぶと、ニューヴィーは斬りかかってきたのだった。
10
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。